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君の隣⑤花言葉

「う、うー。」
「水樹、大丈夫か?」
目を開けると心配そうな彰人くんが枕元に座っていた。
「今、何時?」
「午前1時。」
「え、そんなに寝ちゃった?彰人くん起きて待っててくれたの?」
「水樹が起きたら僕の家に移動しようと思って。」
「起こしてくれたらいいのに。」
「いや、水樹の寝顔を見るのも悪くないよ。」
「またそんな冗談言って。」
彰人くんの笑顔で少し落ち着いた。

それから僕達は彰人くんの家に移動し、スープを少し飲み、お風呂に浸かって眠る準備をした。
「俺のベッド広いから一緒に寝よう。ちゃんと水樹の枕も持ってきたよ。」
「気を遣ってくれてありがとう。今日は1人では眠れなさそう。」
ベッドに横になってしばらくして、
「水樹、怖い思いをしたのにこんな事を聞くのは可哀想な気がするけど、早く事件を解決したいから教えてもらえるかな。」
「何を?」
「何か気づいた事はない?花を見た瞬間倒れたから何かあったのかと気になってて。」
「あ、うん。実はあのピンクの花はイカリソウと言って、花言葉が少し怖いんだ。」
「花言葉?どんな?」
「君を離さない。あなたを捕まえる。」
「えっ」
「だから怖かったんだ。家の中はどうだったの?」
「あ、そうだな、花が24本…」
「何の花?」
「黄色い薔薇。」
その瞬間体が震えて息が苦しくなった。
「水樹、大丈夫?」
彰人くんは僕を抱きしめ、震えが止まるまで待ってくれた。
「黄色い薔薇の花言葉は嫉妬。24本は…」
「本数も意味があるの?」
「うん。一日中想っている。」
「ほんと気味の悪い奴だな。」
その後もしばらくの間、彰人くんは僕を抱きしめてくれていた。
「ドラマの撮影は事件が解決するまで中断したから安心して。水樹はこれから毎日誰かと一緒にいるんだよ。ほとんど俺がいる予定だけどね。」
「ありがとう。実はみんなに言ってないことがあるんだ。」
「何?」
「実は中学生の時も同じような事があったんだ。毎日手紙が送られてきて、誰かにつけられていた時もあったし。その時は家の仕事手伝ってた兄貴が一緒に帰ってくれてたっけ。」
「え…」
「高校になって流風や彰人くん一緒に行動するようになってから大丈夫だったんだけど…。てか高校から2人とずっと一緒だったから無かったのかな。」
「でも何で今なんだろうな。」
「何でだろう。」
「ま、とりあえず今日は眠ろう。ほら、こっちにおいで。」
「情けないな、僕、みんなに守られてばかりで。」
「いいんだよ。水樹は甘えてる方が可愛い。」
彰人くんに抱きしめられ僕は深い眠りについた。

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