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短編・ショートショート

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小説を載せていきます。
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#掌編

昨日と同じ今日、今日と同じ明日

昨日と同じ今日、今日と同じ明日

 日付が変わった。おれは家で夕飯を兼ねた晩酌をやりつづけていた。トリスクラシックのハイボールをひたすら飲んでいた。まるでそういう業務かのように。もやし炒めの盛られていた皿にはもう何もなかった。一時間前に寝る前の薬を飲んだが、眠気はやってこない。そもそも眠りたくなかった。

 レキソタン五ミリ一錠、リスペリドン三ミリ一錠、デエビゴ五ミリを二錠、ラツーダ二十ミリを二錠にサイレース二ミリを一錠。この五種

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HOPELESS

HOPELESS

 ちょっと待ってくれ、酒を用意するから。俺はね、酔わないと喋れないんだよ。ああ、これ? チューハイだよ。スーパーのプライベートブランドの。安くてすぐに酔える。俺のエナジードリンクだよ。ハハハ。ストロングゼロなんて高級品だよ。ストロングゼロが五百ミリリットルで二百十円だろう? そう、税込みで。そうそう。これは税込みで百三十円だからね。度数は九パーセント。まあ、中になにが入ってるかなんて知ったこっちゃ

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不思議な犯罪

不思議な犯罪

 1

 都内のあるビルの谷間で、歳は三十代半ばと見られる男の死体が発見された。争った形跡はなく、かといって自殺かと思えば、遺書も見つからなかった。死因は死体の状態からしてビルからの落下だと考えられた。しかし手がかりはなにもなく、原因もわからぬままで、ただただ不思議な死であった。

 不思議といえば、男の身元がわからないということもある。男はスーツを着て革の鞄を持ったまま落下したと考えられているが

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女は二人だけでも姦しい

女は二人だけでも姦しい

 吐き気とともに目が覚めた。起き上がり時計を見ると、いつもより十分早かった。それでももう、昼前だ。まあ、どうせ毎日日曜日だし、時間通り起きる必要はどこにもないのだが。

 口の中はウイスキーとゲロの臭いで充満している。頭痛もする。カーテンを開けると、わたしを馬鹿にするかのように青空が広がっていた。それから便所に行き、ゲロを吐いてから脱糞した。多少は気分がマシになった。

 冷蔵庫からミネラルウォー

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君が教えてくれるすべてのこと

君が教えてくれるすべてのこと

 静寂が叫んでいるようだ。一見矛盾しているようで、末端は繋がっているのかもしれない。

 朝起きたときにいつも思う。ああ、またやかましい光が世界を照らしている、と。そして夜になると、約束通りに死なないでなんとか眠れそうだ、とそう思っている。

 昼間が嫌いだ。様々な情報がノイズとなって脳を侵食する。だから外に出るときはサングラスをして耳にはイヤホンをつける。そして、なるべく静かに夜を待つ。ここでい

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僕が人間であるために

僕が人間であるために

 深淵と、目が合った。

 僕を僕たらしめるすべてのものが壊れていくなか、深淵が僕を抱擁した。そこには温もりは無く、安心感も無い。愛情なんてあるはずがない。あるのはただ、絶望。底の底にある絶望。しかし僕にはそれが必要だった。それしか無かった。

 そのとき、僕は笑っていた。

「どうですか?」

 診察は主治医のその一言から始まる。どうもこうも毎日やるべきこともなくただ死ぬのを待っているだけの人生

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ジョイントを巻く女

ジョイントを巻く女

 窓から外を眺めていると、道を歩く人たちが足早になるのに気がついた。鞄から折りたたみ傘を出して、忙しなく広げている人もいる。

「降ってきたみたいだな」

 俺は視線を戻して正面に座っているタツヤに言った。タツヤはストローで、ほとんど残っていないオレンジジュースをすすりながら窓の外を見た。それから「ああ……」と気のない相槌を俺によこした。

 そうしている間にも雨はどんどんと勢いを増し、やがてスコ

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夢をあきらめないで

夢をあきらめないで

 朝。紛れもなく朝だった。二日酔いで頭痛と吐き気がした。おれはコーヒーメーカーでコーヒーをつくって、アスピリンを何錠か噛み砕いた。

 ヘッドホンをつけてブラームスの弦楽四重奏を聴いていた。煙草を吸ったが苦くてすぐに消した。もうすぐ失業保険が切れる。そろそろ仕事を探さねば。しかしそうする気には一向になれなかった。コーヒーを飲み干すと、ホワイトホースの水割りをつくった。

 美しい旋律に酔っているの

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燃焼と再生



「完全犯罪に興味はありませんか」

ツイードのキャバジンとコーデュロイを身にまとった一ッ目の男がおれにそう言った。



「なに、簡単なことですよ」

一ッ目の男が笑いながら言った。口なんてどこにあるんだ? しかし、そんなことはどうでもいい。



「生まれてきて、死ぬまで生きる、ただそれだけです」

この男は初めて会ったはずなのに、なんとなく知り合いのような気がして、いや、むしろそれ以

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銭状のメリークリスマス

銭状のメリークリスマス

 派遣の仕事が終わった。今日は横浜スタジアムでコンサート会場の設営だった。日本大通駅から地下鉄で帰路へつく。夕方の5時だった。

 明日は本業かと思うとため息も出ない。ダブルワークを始めて半年、休日はすべて派遣の仕事をしていた。なんでこんなことをしているのかって? そりゃあ、人生に失敗したからだよ。

 1年前、俺はいわゆる「せどり」を始めた。日本の製品を海外のオークションサイトで売る、というもの

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赤い炎の女

赤い炎の女

 金曜日。

 仕事が終わり、同僚から飲みの誘いがあったが、断った。別に嫌ではなかったが、それよりも早く帰って読書がしたかった。どうせなら本を読みながら酒を飲みたい。今日もいつも通りホワイトホースの水割りを飲むつもりだ。アテなんてなんでもいい。メシの代わりに野菜炒めでも作るつもりだった。

 駅のホームで電車を待っていると、電話が鳴った。高校時代の友人からだった。卒業してからは数年に一度、会うか会

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