最所あさみ
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「懐かしさ」はどこからくるのか
昨年、はじめて台南に行った。
もともと台湾は好きで何度か行ったことがあったけれど、台北以外のエリアを訪れるのは初めての経験だった。振り返ってみると、ロシアでもモスクワには行かずにサンクトペテルブルクに一週間滞在し続けていたし、イギリスでもロンドンには目もくれずエディンバラを10日間も満喫していたし、私はどの国でも首都より地方都市にばかり惹かれる性分なのかもしれない。
それはさておき。
はじめ
恋ではなく、愛の物語
今期のドラマを観ていて、「これは恋ではなく、愛だ」とグッとくるシーンが立て続けに二回あった。
ひとつはアンメット九話のラストシーン。もうひとつは、光る君への宣孝からまひろへのプロポーズのシーンだ。
小学生の頃から恋愛ドラマが大好きで、少女漫画や恋愛小説からも「胸キュン」の栄養を受けて、ここまですくすく育ってきた。いまだにキュンとくるシーンが散りばめられた「恋」の話は大好きだし、いくつになっても
エンタメの「短期的効用」と「長期的効用」
長年ディズニーランドから足が遠のいていたのだけど、ここ最近立て続けにランドとシーに行ったら自分の中で新しい発見があったので備忘録としてまとめておきたい。とりあえず人生に疲れたら全員ディズニーへ行け!
自分の信じる価値観への葛藤
三島由紀夫、吉本隆明、城山三郎。戦前生まれの作家、特にもっとも多感な10代の頃に終戦を迎えた作家たちは、自分の信じてきたものが一夜にして覆される、という体験の衝撃を生涯かけて書き続け、書くことで自問自答していたようなところがある。生まれてからずっと当たり前とされてきた価値観は、もはや「信じる」という意識すら越えて、私たちの骨身に染み込んでいる。今の価値観の延長線上で変化することはあれど、根底から覆
もっとみるコミュニケーションとしての旅行
「一人旅って、何が楽しいの?」
これまで自分の頭では思いもつかなった質問に、思わず頭がフリーズした。生きとし生けるすべての人間が、一人旅を好むまでいかずとも、憧れをもったり、好意的に感じているものだと思い込んでいた。
なるほどこの世界には、一人で旅行して何が楽しいんだろう?と思っている人たちもいるのか!
それは思いがけない発見だった。
私は逆に人と旅行しようと思うことがあまりないので、一人
物語は、「私」を拡張させる
小説を読む。映画を観る。
ともすれば、「趣味」「娯楽」として片づけられてしまうもの。効率やわかりやすさが求められる社会において、それらは余剰の多すぎる情報でしかないと捉える人もいるかもしれない。
たしかに、一冊の本を数日かけて読む、一本の映画を2時間かけて観る、それだけの時間を費やすだけの費用対効果を示すのは難しい。同じ時間を資格試験の勉強に費やすなり、仕事にまつわる情報収集をするなりした方が
「何を言うか」より「何を言わないか」が長く発信を続ける強さをつくる
先日、けんすうさんのこんな投稿を目にした。
寄付をしたことをあえてSNSで発信しない人の考え方がとてもわかりやすくまとめてあるので、自身の影響力の大小に関わらず、ぜひ多くの人に読んでみてほしい。もし自分が多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーとなったとき、こうした「何を言い、何を言わないでおくべきか」の判断に常にさらされることになるからだ。
巷には、フォロワーを増やすために「何を発信するか」
「いちばんすきな花」で描かれたこと、描かれなかったこと(描いてみてほしかったこと)
すでに一月期のドラマが始まっているこの時期に、遅ればせながらドラマ「いちばんすきな花」の話。
もともと「silent」が好きだったのもあり、とても楽しみにしていたし実際に楽しめたドラマだった。内容とは別に、メインテーマの曲もとてもいいなあと思って調べていたら、サウンドトラックも「silent」と同じ方が担当されていてびっくり。さらによくよく見たら、私の大好きな「いつかこの恋を思い出して、きっと泣