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記事一覧
草のかんむり*短歌七首
ひとりきり国王だけの王国の王のかんむり草のかんむり
曇天にレモンを一つ投げ上げる君からもらった野球帽ごと
コンビニのレジであわててしまうとき好きな音楽流れてきたら
キッチンは31.3℃カレー煮ているデリーかここは
盤面を見ても何にも分からぬが好きな駒はまっすぐの香車
夏草の匂いの記憶七月は私の中にあるはずのもの
野葡萄のまだ小さくて青い実を小鳥はいつかついばみに来る
四月を滑る*短歌八首
春がきてさみどりいろのけやきの葉ねむの葉のように風にそよいだ
ひこうき雲消えゆくときも真っすぐに君の中に見た春のはじまり
この春のいちばん大きな満月に向かってフリースローの真似を
新しいメモリスティック挿しこんで今日までのこと上書きしていく
自販機の新商品の涼し気なパインソーダをいつも見ている
花に名があってよかったきみに歌があってよかったもう少し歩ける
十月の辻を今年また歩くだろうよ