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「オーケストラ」BiSHへ*短歌二十首
くるしげなブレスで歌う少女たちつながるかなあ手をのばしてる
見上げれば空しかないね この声も涙もすべてオーケストラに
つないだ手以上に近くにいたのかな許されていたことさえ知らず
坂道であの子のうそに泣いた夜 二度と会えないから忘れない
いまどこでなにをしてるか分からない あのボタンだけしまっておいて
きみだけに見せてたぼくはもういない一人になってなにを歌うの
輝いていたことさえもわからない 君の声だけおぼえていたい
合わせたいその目とこの目 いま何を見つめているの知らない空で
わすれないさよならの声ソプラノの 翳りひとつもない君だから
今夜またイヤホンかけて歩いてるドラムと同じ速さの鼓動
どうしても君でなくてはだめだった歌だきしめてここに立ってる
ふんわりと抱きしめていたできるだけほどけやすくと解けないくせに
「イヤホンをはんぶんこしよう」一度だけ夜の散歩で求愛をした
さびしさはきみにも降っているのかなステージに立つときが来ている
オーケストラが響く明るく高く強くここからあすへ一人で行ける
高らかにあげた小指のマニキュアは夕闇の中うちらのしるし
少女らの踏むステップは軽やかに汗さえキレイ髪の先まで
歓声のゆくえは夜の果ての果てこの歌ずっと続いていてよ
手をとって去りゆく少女たちの息フロアにまでも聞こえるようだ
客席のいちばんうしろに降り立った羽を上手にたたんだ天使
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