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短歌十首

「春十色」                   
 
 
春を待つ君にひと枝 沈丁花 香りの中で目覚めますよう
 
ちぎれゆく思い集めてつないでる君の心に春は来ている
 
冬の中に春があるなら凍てついた君に一輪 水仙は咲く
 
あと少し春が来たなら凍えてる君の心も解けゆくだろう
 
虫たちが土から這い出て来るように暗い部屋からきっと出られる
 
バス停で見送る君に手も振らず 春がみじかく呼吸している
 
咲きこぼる桜に胸が開きゆくあす一人でも生きて行くこと
 
さようなら過ぎ去る時に手を振ってやっと笑える桜が揺れる
 
窓を開け桜の空にさよならを 巡る季節が始まっている
 
花の名をひとつ覚えていく毎に握りしめてたものを手放す
 

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