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短歌二十首「観覧車とロフト」

「観覧車とロフト」

「凍らせた豆乳をアイスコーヒーに浮かべてみた」と呟いている

夜明け前mixi見るとまたきみもこんな時間に起きているのか

封筒にダンシングくまを描き添えたあの子はきょうも手紙待ってる

雷に怯える猫を抱き上げた ここにおいでよいつでもいいよ

わたしたちしばらく子供のままいよう自然と大人になれないからは

キッチンはわたしの小さな世界です姫ひなげしは散ったけれども

焼き菓子の甘さがそっと溶かしていく自分を責めるしょっぱい気持ち

小さなロフト誰も知らない私を生まれたばかりの月が見ていた

サルビアの歌を教えてくれた人会いたがるのはいつでもわたし

支え合うことはとってもむずかしいそれぞれがみな一輪車乗り

 (もう少し笑えそうだよくちづけはしないで君と観覧車の中)

観覧車そっと泣きたい気持ちして歌くちずさみ空に近づく

これ以上生きられないと思うとき君のことばが心に灯る

今夜だけ君に電話をしたいんだまだはっきりと覚えてる肩

「傍らに二十年間置いた本だから貴女にもらって欲しい」

夕焼けの色をあなたに伝えたい悲しみでなく希望の色と

しあわせは例えば深い秋の日に枯葉の匂い感じ取ること

よく行ったプラネタリウム今はない今日もみあげるなにもない空

雪ならばあなたの肩にそっと落ち積もることなく消えてゆけたか

生きているうちに再び会えるなら探しに行こう「確かな光」


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