見出し画像

人間だけの独自性

 皆さんは積極的適応というのを知っているだろうか?積極的適応というのは進化の内、環境自体を自分の都合のいいように変える進化のことを言う。例を挙げると、地球温暖化に適応するためにエアコンを作ったり、紫外線を防ぐために日焼け止めを使ったりなどである。環境に適応するために自分を変える一般的な進化とは対をなす進化である。この積極的適応の特筆すべき点は、この積極的適応ができる生物の一体が人間だけという点である。何故、人間以外に積極的適応をしないのか?自分なりの理由をここに書いてみる。
 人間しか積極的適応をしない理由としては、人間の強みである頭の良さを活かした生存戦略がこの積極的適応だからである。人間は高い知性を活かして新しいものを開発することができる数少ない生物である。この強みは人間にしかないものだが、その一方人間は足の速さや腕力など身体能力という点では他の生物には劣る。だからこそ、火を扱ったり柵や檻を作ったりして動物を寄せ付けないようにしたり、飢饉が起こらないように作物を品種改良し、気温の変化や害虫や疫病に強くなるようにしたりなどして今日まで人類は生き残ってきた。しかし、この積極的適応には同時に他の進化にはないデメリットも存在する。
 そのデメリットとは、周囲の環境を都合のいいように変えることで地球温暖化などのしわ寄せが来ることと、積極的適応の先の退化である。まず、周囲の環境を変えることで、地球温暖化に始まり、工業分野が発達したことによる酸性雨、伐採による砂漠化などがある。豊かな生活には必ず闇が存在するといってもよい。次に、積極的適応の先の退化だが、これは主にAIが挙げられる。最近、AIが人間の仕事に介入し始めているが、AIの開発も人間の積極的適応の一種である。しかし、あるところでは、AIが度を越えた介入をし、人間が何もする必要がなくなり、ある種の「退化」をしてしまう危険性があるという話を聞く。人間は積極的適応をいつしか「生存するために」から「生活を豊かに便利にしたい」に変えている。スマホやTV、ゲームなどの娯楽がいい例である。それらを追い求め、人間がそういう方向の進化を続け、自分たちで何もする必要がなくなれば、そこに人間がいる必要性はあるのか?と自分は考えてしまう。度が過ぎた進化をすれば、人間は存在価値をなくすというある種の「死」を迎えてしまう未来を迎えてしまうかもしれない。


この記事が参加している募集

私の作品紹介

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?