『多様化するお墓 尼僧が伝えたい令和の弔い方』の編集後記を公開!
2022年12月27日に発売された書籍『多様化するお墓 尼僧が伝えたい令和の弔い方』(著:釋 龍音)の担当編集者による「編集後記」を公開いたします!
編集後記
多様性を重んじる時代だというのに、私たちはまだまだ固定観念にがんじがらめだ。
〇〇というものだ、という「思い込み」。〇〇であるべき、という「決めつけ」。自分で考えてそう結論づけたわけではないのに、一定の価値観に縛られている。
世代や地域によっては、親から周囲から世間からの「刷り込み」によって、生まれてこの方、他の価値観もあるのだと考える隙さえ与えられなかった人もいるだろう。生涯、社会から植えつけられた価値観だけで判断してしまうこともあり得るのだ。
だからこそ思う。
現世での最後の場面くらい、思い込みから解放されてほしい。
先祖代々の墓に入らなくてもいい。親や親族とともに眠りたいなら、それもいい。お墓はあってもなくても、どんな形をしててもいい。子どもに迷惑がかかるから……まずは希望を伝えたらいい。
現世での最後だもの、自分の好きな見送られ方や墓標の在り方を、自分の頭で考え、選択してほしい。
人は生まれることも死ぬことも自ら決めるものではない。しかし、死に際しての見送られ方は、好きなように選択でき、準備することができる。こんな人生最大にして最後のチャンスを、お墓ってこういうものだから、なんて思い込みで済ませたら勿体ないではないか。
自分はどうやって見送られたいか?
どこで誰と眠りたいのか?
そう考えるのに、思い込みもしきたりも既成概念もいらない。
見送る側も同様だ。
故人のこの世の最後の場面くらい、決めつけから脱却してほしい。
生まれ育った土地の墓に埋葬しなくてもいい。お墓がなかったらかわいそう……とは限らない。墓じまいして、かえって心が重くなるならしなくてもいい。
できる限り故人の思いを汲みつつ、遺族が心安らぐ状況を優先してほしい。
故人は心の底では何を望んでいただろうか?
生きていくあなたはどうしたら安堵するのか?
その選択には、決めつけも慣例も社会通念もいらない。
現世の最後のシーンを、自由に、自分らしく、彩っていこう。
お墓は、「暗く」て「重たい」もの、といったイメージさえも脱却して。
本書が、読者の人生に役立つことを願って。
担当編集 深谷その子
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