平間貴大

みそにこみおでん主宰「レビューとレポート」の平間貴大アカウントです。

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  • KOURYOU EBUNE特集 レビューとレポート

    • 23本

    レビューとレポートでの特集号とその後の連載記事をまとめました

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最近の記事

林香苗武「ストロー」

ペインター・林香苗武の2年ぶりの個展「ストロー」が東京・WISH LESS galleryで開催中だ。 ストロー 展示風景 武蔵野美術大学油絵科を卒業した林は絵画で速度を追求し、速度主義を掲げ、2013年に「速度/∞ /0」(HIGURE 17-15 cas)、2015年に「大木と巨大キツツキ」(CLEAR EDITION GALLERY)、2017年に「スカイジュース」(コ本や)と、一貫して「速度」をテーマとした絵画・インスタレーションを発表し続けてきた。 ある時から「

    • 「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」下道基行 インタビュー 2/2 平間貴大

      「14歳と世界と境」展示風景 このプロジェクトは、14歳(中学2年生)の子どもたちに「身の回りの境界線を探す」という特別授業を行い、彼らの発見した境界線の話をその地元の新聞に掲載するものである。(作家websiteより) ──「14歳と世界と境」ではまずワークショップという場がありそこで作られたものが新聞に掲載されて、最終的には本になるという段階が踏まれています。本は販売はせずに回し読みという方法をとっていますね。 下道:この作品でまずやってみたかったのは、中学校で

      • 「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」下道基行 インタビュー 1/2 平間貴大

        2021年3月20日から6月22日まで、東京都現代美術館企画展示室1Fでは「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」が開催された(緊急事態宣言中の4月25日から5月31日まで休館)。 Tokyo Contemporary Art Award(以下TCAA)は2018年に東京都とトーキョーアーツアンドスペース(以下TOKAS)によって創設された現代美術の賞。中堅アーティストを対象に、受賞者2組に対して海外での活動支援のほか、東

        • 資料に見る「家船」の進捗状況 2020.5 - 2021.2

          構成=平間貴大 瀬戸内国際芸術祭(以下瀬戸芸)2019に出展された「家船」は、KOURYOUの呼びかけにより様々な作家・協力者によって共同制作された。参加者達はスケジュール管理や制作状況、リサーチ結果の画像をLINEで情報共有し、制作に生かしていた。LINEグループは全員が含まれる「家船」、そして集団作業が必要な仕事ごとに「船大工」「リサーチ組」「助っ人」と分かれていた。家船グループで全員が情報共有し、各サブグループで細かいやり取りをするという仕組みだ。 この中で行われた

        林香苗武「ストロー」

        • 「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」下道基行 インタビュー 2/2 平間貴大

        • 「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」下道基行 インタビュー 1/2 平間貴大

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        記事

          2021年7月から東京都現代美術館で始まった3つの展覧会「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」「MOTコレクション Journals 日々、記す/特別展示:マーク・マンダース 保管と展示」レポート

          東京都現代美術館では2021年7月17日より「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」「MOTコレクション Journals 日々、記す/特別展示:マーク・マンダース 保管と展示」の3つの展覧会が開催中だ。 「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」企画展示室では過去最大規模の横尾忠則の個展「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が開催されている。 1960年代からグ

          2021年7月から東京都現代美術館で始まった3つの展覧会「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」「MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」「MOTコレクション Journals 日々、記す/特別展示:マーク・マンダース 保管と展示」レポート

          埼玉県立近代美術館「ボイス+パレルモ」展

          埼玉県立近代美術館では2021年7月10日(土)から9月5日(日)まで「ボイス+パレルモ」展が開催される。今年生誕百周年を迎え、20世紀を代表する芸術家ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)と、その教え子でもある画家のブリンキー・パレルモ(1943-1977)を紹介する展覧会だ。日本におけるボイスの大規模な展示は2009~10年の水戸芸術館現代美術センターでの「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」以来約10年ぶり、そしてパレルモ展は公立美術館で初となる。 本展

          埼玉県立近代美術館「ボイス+パレルモ」展

          前本彰子展「紅蓮大紅蓮」

          2021年4月26日(月)から5月8日(土)まで、コバヤシ画廊で前本彰子個展「紅蓮大紅蓮」が開催されている。本展にむけて制作された2点と、80年代に制作された代表作の2点を中心に展示。 《大紅蓮》1986 部分 ドレスの背後に地獄の炎が燃え盛る様子が表現されている《大紅蓮》は、過去に新聞で前本の作品が取り上げられた時に「マチスに似ている」と記述された前本が「じゃあ敢えてマチスっぽく作ってやるわ」と制作で遊んでみたという作品だ。1986年になびす画廊で開催された戸谷成雄との

          前本彰子展「紅蓮大紅蓮」

          2021年3月から東京都現代美術館で始まった4つの展覧会

          東京都現代美術館では3月20日より「ライゾマティクス _マルティプレックス」、「マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在」、「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」、「MOTコレクション コレクションを巻き戻す」の4つの展覧会が始まった。 ライゾマティクス_マルティプレックス 「ライゾマティクス_マルティプレックス」会場エントランス《Rhizome》2021 展示風景 設立以来、常に人とテクノロジーの関係を探求し

          2021年3月から東京都現代美術館で始まった4つの展覧会

          「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」展レポート

          2021年1月23日から4月11日まで、京都市京セラ美術館の新館「東山キューブ」で、美術評論家の椹木野衣が企画・監修した展覧会「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989-2019」が開催されている。 筆者は現地へ取材へ行くとともに、後日、椹木野衣へインタビューを行った。本稿はそのレポートである。 はじめに本展は西暦を10年ごとの年代で区切らず、元号で区切ることによって平成の30年間の美術家たちの集合的な活動のあり方を捉えようという試みである。タイトルにある「うたかたと瓦

          「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」展レポート

          「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」レポート

          国際的に通用する若手作家の支援を目的に1994年より毎年開催している「VOCA展」は今年で28回目を迎える。全国の美術館学芸員、研究者、キュレーター、ジャーナリストなどから推薦委員を選出し、それぞれが40歳以下の作家1名(1組)を推薦する。新作の平面作品が出品の条件だ。 「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」では、31名の推薦委員から推薦された30作家が出展する。グランプリとなるVOCA賞には《上野山コスモロジー》を出展した尾花賢一、VOCA奨励賞に

          「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」レポート

          佐賀町エキジビット・スペース 1983-2000 現代美術の定点観測

          2020年9月12日(土)から12月13日(日)まで、群馬県立近代美術館では「佐賀町エキジビット・スペース 1983-2000 現代美術の定点観測」が開催されている。 1983年、東京都江東区佐賀にあった食糧ビルディング(食糧ビル)内に自主運営のアートスペースとして創設された佐賀町エキジビット・スペースは美術館でも商業画廊でもないもう一つの美術現場を提唱し、発表の場を求めるアーティストに寄り沿う姿勢を打ち出す実験的な展示空間として、美術、デザイン、ファッション、建築、写真と

          佐賀町エキジビット・スペース 1983-2000 現代美術の定点観測

          生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜

          2020年10月10日から2020年12月13日まで群馬県立館林美術館で「生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜」が開催されている。 日本における水彩画の地位を確立させ、明治期を代表する水彩画家として活躍した大下藤次郎の生涯と画業、そして影響を受けた作家や同時代の画家たちを改めて振り返る展覧会だ。 プロローグ 三脚登場本展覧会は大下が愛用した三脚が「僕」の一人称を用い、「主人」の大下や周辺の仲間たちを案内するというユニークな設定となっている。この設定は大下が「汀鷗」の筆名で1

          生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜

          竹下昇平、竹下晋平 二人展『外野フォース』第2期

          2020年10月15日から21日まで神奈川県相模原市にあるCRISPY EGG Galleryで竹下昇平、竹下晋平による二人展『外野フォース』の第2期が開催されている。 第1期は大作を中心に、第2期は小品を中心に展示するというギャラリーの方針から、今回は小さめのキャンバス作品が多く出展されている。 今回の展示は旧作、そして第1期に展示したもの、さらに第1期が終わってから第2期開始前のわずかな期間に描かれた新作で構成されている。 第1期と同じ作品が出展されていても、333

          竹下昇平、竹下晋平 二人展『外野フォース』第2期

          竹下昇平・竹下晋平 二人展「外野フォース」

          2020年10月6日から10月12日まで、アーツ千代田3331ギャラリー(104号室)で竹下昇平、竹下晋平による二人展「外野フォース」(CRISPY EGG Gallery主催)が開催されている。 竹下昇平(以下、昇平)はこれまで、公園や住宅街、路地など、人々の生活の近くにある場所を多く描いてきた。その中でも画中に多く描かれているのは植物だ。CRISPY EGG Galleryのウェブサイトに掲載されている作家紹介文には、昇平の絵の特徴として、植物の強い存在感と、スマートフ

          竹下昇平・竹下晋平 二人展「外野フォース」

          「真喜志勉 TOM MAX Turbulence1941-2015」レポート

          平間貴大 2020年7月4日から9月22日まで、多摩美術大学美術館では「真喜志勉 TOM MAX Turbulence1941-2015」が開催された。 A室入り口 撮影:岡本尚文 (life goes on lnc.) 1941年生まれの真喜志勉は、その作家人生のほとんどを地元沖縄で過ごした。 真喜志は那覇高校で島田寛平から教えを受け、当時アメリカ占領下であった沖縄から本土の多摩美術大学に進学する。卒業後は沖縄で洋服の仕立て屋を営む実家を手伝いながら制作を続け、「沖縄

          「真喜志勉 TOM MAX Turbulence1941-2015」レポート

          非常事態宣言下に於けるフィクショナルエキシビションレポート2

          栗栖馬伝個展「Return it as it is」前回レポートしたギャラリーINFECTでの展覧会で発表された栗栖馬伝のパフォーマンスは私たちに、社会を混乱に陥れている原因と立ち向かう姿を、単純すぎるところもあるが、芸術に昇華する過程を体験させてくれた。 8月23日現在、厚生労働省によると国内の新型コロナウィルス陽性者数は61747人、死亡者数は1176人と発表されている(1)。非常事態宣言が発令された当初や宣言下と比べ、明らかにその数は増えているが、我々のコロナウイルス

          非常事態宣言下に於けるフィクショナルエキシビションレポート2