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2021年3月から東京都現代美術館で始まった4つの展覧会

東京都現代美術館では3月20日より「ライゾマティクス _マルティプレックス」、「マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在」、「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展」、「MOTコレクション コレクションを巻き戻す」の4つの展覧会が始まった。

ライゾマティクス_マルティプレックス

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「ライゾマティクス_マルティプレックス」会場エントランス《Rhizome》2021 展示風景

設立以来、常に人とテクノロジーの関係を探求してきたRhizomatiks(ライゾマティクス)。本展は世界的に活躍するアーティストであるビョーク、スクエアプッシャー、Perfume、ELEVENPLAY、狂言師・野村萬斎や研究者らとのコラボレーションに加え、さまざまなプロジェクトを通して技術と表現の新しい可能性を追求してきた彼らの初の大規模個展となる。

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Rhizomatiks《Rhizomatiks × ELEVENPLAY "multiplex"》2021

横長の舞台のように作り上げられた空間では演出振付家MIKIKO率いるダンスカンパニー「ELEVENPLAY」のダンサーの動きをモーションデータ化し、映像プロジェクションや動くロボティクスとともに構成したインスタレーションが展示される。白い箱型のオブジェがステージ上を動き回る。

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Rhizomatiks《particles 2021》2021

東京都現代美術館の地下2階から地上3階までの吹き抜けの空間を使用し、高さ8メートルある螺旋構造をもつ巨大なレールの上をボールが転がり、その動きをトラッキングしレーザーが照射される《particles 2021》を展示。2011年に国内外で多数の賞を受賞した作品のアップデート版だ。

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Rhizomatiks《Rhizomatiks Archive & Behind the scene》2006-2021

E室には国内外で意欲的に展開されてきた多様なコラボレーションやクライアントワークを展示。記録映像、ドローンやプロップなどのオリジナルデバイスの実物を展示する。

本展では新作インスタレーション、代表作のアップデート版、さらにこれまでの活動を網羅的に紹介する記録映像や開発してきたハードウエアの実物を数多く展示する。設立15周年を迎えるライゾマティクスがこれまでに試行錯誤をしてきた軌跡を辿ることができる。

展覧会概要
URL https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/rhizomatiks/
会期 2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日)
休館日 月曜日(5月3日は開館)、5月6日
開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料 一般 1,500円 / 大学生・専門学校生・65歳以上 900円 / 中高生 500円 / 小学生以下無料
会場 東京都現代美術館 企画展示室 地下2F
*予約優先チケットあり


マーク・マンダース —マーク・マンダースの不在

東京都現代美術館では、国内美術館では初となるマーク・マンダースによる個展を開催している。

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マーク・マンダース《未焼成の土の頭部》2011-2014 部分

マーク・マンダースは1968年オランダのフォルケル生まれ。現在はベルギーのロンセにスタジオを構えている。自身が18才の時に自伝的小説の執筆を試みたことから契機を得たという「建物としての自画像」と称する構想を軸として、30年以上に渡って制作を続けている。

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マーク・マンダース《夜の庭の光景》2005、ゲント市立現代美術館蔵

「建物としての自画像」とは、自身が架空の芸術家として名付けた「マーク・マンダース」という人物の自画像を「建物」の枠組みを用いて構築するというもの。その建物の部屋に置くための彫刻やオブジェをインスタレーションとして展開することで、その人物像を構築している。本展は作家本人によるディレクションのもと、30点あまりによって構成されている。

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マーク・マンダース《マインド・スタディ》2010-11、ボンネファンテン美術館蔵

近年のマンダースの重要な作品である《マインド・スタディ》も出品されている。この作品は2013年のヴェネツィア・ビエンナーレにも出品された。

プレス内覧会当日、講堂にてオンラインによるマーク・マンダースとの質疑応答が行われた。マンダースの彫刻に見られる欠落したような印象について本人は「私は未完成な状態が好きです。それが不在に繋がる。なぜ未完成にするのか、それによって次に何かが起こる感じが好きなんです。」と答えた。

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マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》2017-19

マンダースは美術学校での学生時代、新聞を読むことすらやめたという。「作品に集中することができた。その後いろんな本を読み、特に惹かれたのはカフカ。彼が次から次へと作品を書いたので妬んだこともあった。」

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右:マーク・マンダース《舞台のアンドロイド(88%に縮小)》2002-14

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マーク・マンダース《ドローイングの廊下》1990-2021

マンダースのスタジオもこのように洗濯バサミでドローイングがかけられているという《ドローイングの廊下》。

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マーク・マンダース《完了した文》2003-2020

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マーク・マンダース《3羽の死んだ鳥と墜落する辞書のある小さな部屋》2020

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質疑応答中のマーク・マンダース

展覧会概要
URL https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mark-manders/
会期 2021年3月20日(土)- 6月20日(日)
休館日 月曜日(5 月 3 日は開館)、5 月 6 日
開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の 30 分前まで)
観覧料 一般 1,500 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1,000 円 / 中高生 600 円 /小学生以下無料 会場 東京都現代美術館 企画展示室 3F


Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展

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Tokyo Contemporary Art Award (TCAA)は、2018年に東京都とトーキョーアーツアンドスペースによって創設された現代美術の賞。受賞者2組に対して海外での活動支援のほか、東京都現代美術館での展覧会およびモノグラフ(日英)の作成など、2年間に渡る継続的な支援が行われる。

選考委員は神谷幸江(ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク ギャラリー・ディレクター)、住友文彦(アーツ前橋 館長/東京藝術大学大学院 准教授)、ドリュン・チョン(M+ 副館長/チーフ・キュレーター)、マリア・リンド(キュレーター、ライター、エデュケーター)、キャロル・インハ・ルー(北京インサイドアウト美術館 ディレクター)、近藤由紀(トーキョーアーツアンドスペース プログラムディレクター(公益財団法人 東京都歴史文化財団東京都現代美術館トーキョーアーツアンドスペース事業課長))[1]

本展では第1回となる「TCAA2019-2021」の受賞者である下道基行と風間サチコがそれぞれのテーマに沿って選んだ自身の初期作品から最新作までを展示する。

旅やフィールドワークをベースにした制作活動で知られる下道基行は、プロジェクトを通じて、作家以外の人の思考が加わったり、人の手に渡る、あるいは人々の中で使われたりすることで「作品」との境界を越境するようなシリーズを展示する。

風間サチコの最新作シリーズ名であり今回の展覧会タイトルでもある「Magic Mountain」では、ドイツの作家トーマス・マンの『魔の山』から着想を得た作品群と、関連した過去作品をあわせて展示。

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下道基行 展示風景

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下道基行 展示風景

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下道基行 展示風景

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風間サチコ「Magic Mountain」展示風景

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風間サチコ「Magic Mountain」展示風景

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風間サチコ「Magic Mountain」展示風景


[1]選考委員の肩書は、事業開催当時のもの

開催概要
URL https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/TCAA_2019_2021/
会期 2021年3月20日(土・祝)~6月20日(日)
休館日 月曜日(5月3日は開館)、5月6日
開館時間 10:00-18:00
会場 東京都現代美術館 企画展示室1F (東京都江東区三好4-1-1)
主催 東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーアーツアンドスペース・東京都現代美術館
入場料 無料


MOTコレクション コレクションを巻き戻す

東京都現代美術館では、収蔵作品を「MOTコレクション」として会期ごとにさまざまな切り口で紹介してきた。今回は「コレクションを巻き戻す」と題し、現在約5,500点にのぼる収蔵作品の成り立ちに光をあてる。
第1部では明治時代から1950年代までのコレクションの中核をなす「戦後美術」へと続く歩みを展開し、第2部では美術館の開館に向けて収集された、海外作家による大型作品約40点を展示する。
出品作家は浅井忠、麻生三郎、恩地孝四郎、片谷瞹子、桂ゆき、鹿子木孟郎、岸田劉生、北代省三、五姓田義松、駒井哲郎、田中敦子、鶴岡政男、中原實、福島秀子、牧野虎雄、松本竣介、間所(芥川)紗織、山口長男、吉原治良、デイヴィッド・ホックニー、エルズワース・ケリー、ロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホルほか。

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会場エントランス

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第1部展示風景


展覧会概要
URL https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-210320/
会期 2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日)
休館日 月曜日(5月3日は開館)、5月6日
開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料 一般 500 円 / 大学生・専門学校生 400 円 / 高校生・65 歳以上 250 円 / 中学生以下無料 
会場 東京都現代美術館 コレクション展示室 1F / 3F

※TOP画像 マーク・マンダース《2つの動かない頭部》2015-2016

レビューとレポート第23号(2021年4月)

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