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傑作映画『グリーンブック』感想〜しがないテレビマンが見た勇気の物語〜【※ネタバレ注意】

久々に名作を見た。

日本では2019年3月に公開され、アカデミー作品賞を受賞した映画『グリーンブック』を今更ながら見た。

amazonプライムビデオで永らく“あなたにおすすめ”されていたのに、「2時間超えか、サクッと見られないから後回し〜」という愚かな思考から手を付けてこられなかった。なんともったいない!!

感想は一言、「心に残る名作だった!」に尽きる。

まだ観ていない方は、↓の予告をどうぞ!

簡単にあらすじを。

1962年、二人の男が旅に出る。黒人の天才ピアニストドン・シャーリーのコンサートツアーに付き添ったのが、イタリア人の雇われドライバーのトニー・リップだ。黒人が当たり前に差別されていた時代。白人のトニーも差別する側の人間だった。トニーの金目当てで始まった旅、彼らを待ち受ける試練とは?コンサートツアーは無事に回りきれるのか?実話を元にしたハートフルストーリー。

ざっくり話せば、人種問題を取り扱った作品だ。だけど、それだけでは語り尽くせない「勇気の物語」がそこにはあった。

ちなみにグリーンブックとは黒人専用の旅ガイドマップのようなもの。黒人が差別を受けずに安心して泊まれる宿などが掲載されている。

少しドラマ経験のあるしがないテレビマンが、ネタバレ必須で選んだ名言は以下の3つ!



↓↓↓↓↓


「寂しい時は自分から先に手を打たなきゃ」

「暴力は敗北だ。品位を保つことで勝利を得る」

「才能だけでは十分じゃないんだ。勇気が人の心を変える」

名言だけ見ても、この話良さそうだなって思うレベル。

この映画の好きなところは、価値観が違う二人が理解をし合って仲良くなっていくロードムービーであり、なにより二人が人間として本質的に大事なものを持っていることだ。

それは、相手のすごいところを素直に尊敬する気持ちを持っていること。

喧嘩は強いがおつむが弱いトニーは、ドン・シャーリーのピアノの腕や教養の高さ、ロマンチストな才能に素直に感動し認め、逆に世間知らずのドン・シャーリーは、トニーの口のうまさや野性味ある行動、庶民感覚を少しずつ受け入れ楽しんでいた。

それぞれのシーンの中で、人種という、当時越えるのが難しかった壁に立ち向かう姿を映し出しているが、現代の人に届けたいメッセージが確実にあると僕は感じた。

ただただ「人種差別は良くないよ」という安易なメッセージではなく、「人のこと、偏見で見てない?」「その人のこと本当に理解しようとしてる?」と多様性社会への問いかけをしつつ、「あなたが変わることから始まるんだ」と背中を押してもらえる気がしたのだ。

僕らが相手しているのは、常に目の前にいるひとりの人なのだと、思い知らされる。

トニーはドン・シャーリーのことを最初は“黒人”というラベルで見ていた。だけど、彼の個性を認めぶつかり合っていく中で、友達になっていく。

ドン・シャーリーは、黒人を差別する白人社会にトニーの力を借りながら正論で挑み続け、自分の存在を認めてもらおうと戦い続ける。

勇気を持って一歩を踏み続けた者にしか得られないものを二人は手にしたのだ。それはたった一人の友人かもしれないけど、かけがえのない友情は人生の宝であり財産だ

肩書で生きるの辞めない?

物語は1962年の設定だが、現代でも通用する、いや、もしかしたらより複雑で目に見えない差別が蔓延し人間関係に悩みがちな現代人こそ見るべき話なのかもしれない。

コロナウイルスという共通の未曾有の脅威と戦う僕ら地球人は、言語や距離、肌の色や国民性などを越えて、それぞれの意見を尊重し合っていかないとな、と大きな規模で考えてみてもいい。

また、もっと身近な仕事という目線で見れば、分かりやすいかもしれない。仕事相手を会社という括りで見ず、個人として接しているか?大手企業だから、中小企業だからと勝手に偏見で相手の能力を見ていないか?逆に自分自身、大きな会社にいるからと言って慢心していないか?あなたは、〇〇会社ではない。

ドラマに携わっていた頃、有名役者には媚びへつらうくせにエキストラの方をぞんざいに扱う助監督がいた。逆に監督やプロデューサーにはヘイコラするくせに、末端の助監督には興味すら持たない俳優やマネージャーもいた。

僕はそういう人が大嫌いだった。個人として人に興味を持たずに肩書で人を見ると、結局自分のことも肩書でしか見てもらえない。なんでそんなことも分からないんだろう?と首を捻るばかりだった。

肩書なんて飾りに過ぎないのだ。
生身の人間で勝負しようよ。

映画『グリーンブック』は、ひとりの人間に興味関心を持つことの素晴らしさを説いてくれた。非常に共感した。

僕の心に残る、傑作映画になった。是非まだ観ていない方にも観ていただきたい。

ちなみに名言ではないんだけど、僕が一番好きなシーンは、ケンタッキー州を走る車中でフライドチキンを食べるシーン

↓GAGA公式がYouTubeにあげてますね。

高貴な生活をしてきたため手で持って何かを食べることをしたことがないドン・シャーリーが、トニーにせっつかれて丁寧な手付きでフライドチキンを持つ仕草や、食べてみたらすごく美味しくて胸肉部分も受け取っちゃうお茶目なところ、そしてトニーのマネをして骨を窓から投げるとき非常に華麗な所作をするところが本当に可愛くて、監督の演出なのか役者の演技なのか分からないけど、とにかく最高!!!うける!!

ドリンクカップのポイ捨てだけは許さなかったドン・シャーリーの生真面目さも素敵だった!

実際の人物にどれだけ脚色加えたか分からないが、こういうシーンでキャラクターの魅力にスーッと引き込まれるのは、すごいなぁと勉強になりました。。

よろしければ怠惰な僕にサポートのお恵みを…。あ、でもお金を簡単に与えたらもっと怠惰になっちゃうから、ダメか(笑)