【ほぼ毎日エッセイ】煩わしい生活は
【2019/06/11】
誰かとの生活はどうにも煩わしい。
ここ数日は六月の気候のせいでどうにも情緒が安定せず、一緒に住んでいる人に大変迷惑をかけている。
彼女が「やる!」と言ったことをしていなかったときに過剰に攻撃してしまうのだ。
例えば今朝なんかは、お弁当に入れる卵焼きを作ると昨晩彼女が話していたけれど、起きれずに果たして卵焼きは完成しなかったのである。
私は昨日の段階で2人分のお弁当のおかずを既に作っていて、それを詰める状態にしてあったので、あとはそれの完成を待って適当に野菜なんかを詰めれば完成という段取りになっていた。
けれど、卵焼きはできなかった。
どんなに声をかけても彼女は起きなかったのだ。
正直こんなことは「仕方ない、適当に詰めて持ってくかー」か「まぁ今日も適当に外で済ますかー」くらいのことだということはわかっている。
けれど、今朝はどうにもそれが受け入れられずむしゃくしゃして受け入れられないくらいむかついてしまった。
結局、昨晩のうちに詰めた弁当半分の白米を三角コーナーへとぶち込んで、身支度をしたらいつもより早い時間に家を出た。
家を出る間際に彼女が起きてきていたが、ほとんど何も会話をすることなく「行ってきます」とボソッと呟き革靴に足を突っ込んで、曇天の空へと歩き出す。
夕方降るであろう雨のせいか、頭が痛い。
自分も「そんなこと」とはわかっていたし、「どうかしてる」とも思っていたので満員の電車の中で空元気を振り絞りLINEを送った。
【おはよう!今日も頑張ろう!!】
5分経って見返すと既読がついていた。
既読をつけても返信をしてこない態度に、眉間へとシワが寄ったが、どう考えても私が悪いのはわかっている。
そして京浜東北線が田端に着きそうな頃、今朝の本音を話した。
正直一緒に何かするのが嬉しかったのである。
ここ最近はお互い忙しく、平日夜はそこまで時間が取れていなかった。
だから無理にでも早く起きて会話をしながら何かしたかったのだ。
だからこそ私は5時半過ぎには起床し、彼女が起きるのを待っていた。
もちろん「いや、早く起きたならお前が作れよ」と言うのは非常にわかる。
私もそう思う。
けれどこの場合は「卵焼きが食べたい!」と言うよりも、その調理工程を楽しむことこそが目的だということがわかったのは会社に着いてからのことだった。
なので今朝は強くこう思ったのだ。
誰かに何かを期待するのはそれが行われなかったときに酷く落ち込むだけだ、と。
「卵焼きを焼いてくれる!」とウキウキしていながらも、焼かれなくて落ち込むのなら自分が滑稽ではないか。
ならばはなっから期待などせず、自分で全て責任を持ち、完結させた方が楽だ。
と。
しかし、電車に揺られながら何も考えずに帰る今はこう思う。
相手に何かを期待しないで過ごすような恋人関係は、果たしてそれは恋人関係と呼べるのか。
と。
やはり心のどこかで期待していたのだ。
一緒に何かを楽しむささやかな時間を。
ベタベタだが一緒にお弁当を作って、それの感想を言い合うことを。
この先きっとそんな時間は更になくなるし、そういう日々がやってくるのにも怯えているのかもしれない。
何に焦っているのかわからない自分に嫌気がさして、またそれをぶつけてしまう。
それでも結局期待してしまうのだ。
悲しいけれど我々の関係は恋人だから。
そろそろ最寄駅に着きそうだ。
なんだか腹が減った。
けど、まぁあいつが帰ってくるまで何か食べるのは待つことにしようか。
誰かとの生活はどうにも煩わしい。
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