マガジンのカバー画像

創作短編集

304
私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
運営しているクリエイター

2023年10月の記事一覧

【短編小説】歴史の授業でマクドナルドについて学んだ

 歴史の授業でマクドナルドについて学んだ。  当時はまだ気候変動に関してあまり危機感がな…

7

【短編小説】夢の描き方

 待ち合わせ場所を間違えたのかと思ったのは、ノアだけではなかったらしい。隣のラスターがち…

5

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ -その後の二人-

 ヒョウガは震える手でペンを置いた。 「読んで」  傍に控えていたコガラシマルが、彼の書い…

5

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ #5(本編最終話)

 その頃、キュローナ村はパニックになっていた。  現地調査が終わり、噴水を閉ざしていた氷…

7

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ #4

 ずいぶんと粗末な部屋だな、というのがノアの感想だった。必要最低限のものしか置かれていな…

6

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ #3

 装置を止める「正しい」手段は、当然制御装置の操作である。だが、その気になれば他の手段も…

5

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ #2

 変わり果てた噴水の姿にノアもラスターも唖然とした。澄んだ水は黒く濁り、集まった村人たちは茫然とその場に立ち尽くしている。噴水の中では「我々の勝利だ、村は今すぐ花以外の環境保全に目を向けろ!」と叫んでいるバカがいる。  手に持っているのがペンキだと分かった瞬間、ラスターが飛び出していた。皆が呆然とする中で真っ先に我に返ったとはいえ、彼は冷静ではなかった。  ノアははっとして、噴水の動きを見た。水は上がっている。空めがけて黒い水を放っている。つまり噴水は今も動いていて、黒い水

【短編小説】ティニアの花とキュローナ村のひみつ #1

 秋頃にかけて、キュローナ村には観光客が増える。この村の水辺にしか咲かない「ティニアの花…

2

【短編小説】プロローグ -ティニアの花とキュローナ村のひみつ-

 シノはげんなりしていた。 「気分転換にもなるようないい依頼はないか?」 「依頼を紹介して…

4

【短編小説】八月三十二日

 八月三十二日、僕は死ぬためにN岬に向かっていた。  たいていの人たちは「どうして」だの「…

5

【短編小説】そうなってしまえばいい

 Sくんが自殺したと聞いたとき、私とE子は本当に驚いた。しかしその原因がSくんの姉であり私…

3

【超短編小説】ぼくのミニカー【走らない】

   ぼくのミニカー  走らない車を大事にとっておいてある。車、といってもホンモノではな…

18

【短編小説】冴えた眼に映るいのち

 地区には捨て子が多い。我が子がアンヒューム――生まれつき魔力を持たない人間だと分かった…

6

【短編小説】自戒

「こんにちは、私は願いの女神です。あなたの願いを一つだけ叶えてあげましょう」  そんなことを突然言われて、「はぁそうですか」と納得できる輩はどのくらいいるのだろうか。Rは目をぱちくりさせながら、自分の頭上に輝く女神を見つめていた。 「さあ、人の子よ。願いを言いなさい」  しかし、ここで「どうして私に?」とか口走れば、折角の「願いをかなえてくれるチャンス」が立ち消えになってしまう。Rはそういった失敗をいくつも見てきた。先人と同じ轍を踏むわけにはいかない。ここは素直に願いを言うべ