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創作短編集

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私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。
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記事一覧

【短編小説】別離の砂が散る

 こちらの後日譚です  壁一面に描かれた魔法陣は、魔術の発動を阻害させる類のもの。ソリト…

【短編小説】斬釘截鉄 #5

 重い瞼を開ける。  身体のパーツが全て間違ってくっついているのではと思ってしまうくらい…

【短編小説】斬釘截鉄 #4

 そういうものだろうなと思っていた。もう材料は十分に揃っていた。何も驚くようなことはなく…

【短編小説】斬釘截鉄 #3

 指でカウンターテーブルを叩く。髑髏の円舞でコバルトは文字通り頭を抱えていた。失踪事件の…

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【短編小説】斬釘截鉄 #2

 髑髏の円舞は、地区の裏道を上手く使った(ラスターが案内した)おかげで十数分歩くだけです…

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【短編小説】斬釘截鉄 #1

 真っ赤なオレンジのゼリーが、日の光に当たってキラキラと輝いている。ラスターは感嘆の息を…

7

【短編小説】踏み台のいのち

   踏み台のいのち  金魚鉢にネコが居た。友人の家でのことだった。開けっぱなしの窓から入ってきた野良猫が、金魚鉢の中で泳いでいた金魚を食うために飛び込んだのだ。先日のお祭りで、友人は金魚を五匹も掬った。友人のお母さんは「こんなにいっぱいもらってきて……」と困り顔だったが、友人は自分のお小遣いで道具一式をそろえて、五匹の金魚を飼い始めた。そのうちの二匹は一週間後に死んでしまったので、今は三匹の金魚を飼っているはずだった。  私も唖然としたが、友人は悲鳴を上げた。それもそうだ

【短編小説】決意のとき

 術者の意識がなくても効果を発揮するタイプの魔術は、アカツキにとっての生命線でもある。万…

4

【短編小説】私たちは一人で足りる

「私が感想を送るとドージン作家はみんな筆折るんだよねー」  アイスコーヒーをストローでく…

4

【短編小説】蛇と朝

 人が寝ている。  通路のど真ん中で。  これが自分の生活圏外だったら素知らぬふりして素通…

8

【短編小説】ただ一人、静かに。

 小雨が降り続いている。  ノアもラスターも、「雨宿りになるような場所」を探す目的を忘れ…

6

【短編小説】宗教

「クラテラのユーザー、サービス終了のこと長期メンテって言って騒いでるの運営に失礼だと思わ…

11

【短編小説】ヒョウガと肉を食わない娘

 床に皿が叩きつけられる。ヒョウガがびくっと体を震わせた。女は首を横に振った。床に皿の破…

5

【短編小説】赤い空の下で

「死ぬかと思ったよぉおお!」  魔物退治に失敗した魔物退治屋の女が、アカツキに担がれた状態で泣き叫んだ。が、それを気にする余裕はない。アカツキは赤い空を見やりながら合流地点まで急いでいた。  緊急救助隊という名称について「単なる救助隊でよいのではないか」という愚問を抱いていたが、その答えはすぐにすっ飛んできた。……そもそもその依頼を受けることができるくらいの手練れが助けを求める時点で切羽詰まっているのだ。そりゃあ「緊急」とつけたくもなる。 「蛇って聞いて行ってみたらさ、大蛇だ