任意定数

「私は何者にもなれないんだ」そう言って君は泣くんだ、何もできない僕の横で

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心に寂しさを ー入院手記ー

「寂しい」こんな感情いつぶりだっただろうか。 胸が締め付けられるような、それでいて胸から何かせせり上がってくるような、けれど胸の中は空洞であるような、そんな感覚。 ふと目の力を緩めれば涙が零れ落ちそうな、目の前が霞んでしまいそうな、そんな感覚。 私はそんなやわな女じゃないと自分に言い聞かせ手をぐっと握る。 歯を食いしばる。 けれどなぜだろう、胸はざわめき頬には冷たい雫がつたう。 心が揺れたのだった。 私がこんな感情になったのには理由がある。 それはこの閉鎖病棟という場所に長

    • 呪いを解かせて

      文章を書くのは久しぶりだ。 いつも思うのは、私は定期的に心に溜まった澱を文章として昇華させなければならない人間なのだということ。でないと頭に靄がかかって思考が歪んでいくのだ。だから私は久々にパソコンを前に文字を紡ごうとしている。 頭の靄が消えれば良いと思いながら。 最後に文章を書いたのは10月。退院する前夜に堰を切りそうな思いを吐き出した。本当にたくさんの思い出が詰まった3ヶ月間だった。 退院してからのしばらくは病院が恋しかった。あの守られた空間、優しい雰囲気、自由はなかっ

      • 退院前夜の呟き 2022年 10月

        長かったようで短かった閉鎖病棟生活も終わりがやってきた。3ヶ月。私はこの期間の中で様々なことを感じた。刺激の少ない閉鎖病棟の中でもやはり気づきというものは存在するのだ。 今回は入院生活の中で感じたことについて少し書き記してみようと思う。 入院の経緯を知りたい人は「止まった夏」をご参照あれ。 入院の序盤、私は怒り狂っていた。「私をこんな目に遭わせたやつは絶対に許さない」と心に誓っていた。保護室にいた数日間はロクにご飯も食べず怒りと後悔に心を費やしていた。何もない部屋でただしゃ

        • 錦を飾りたかった

          母校に行ってきた。 3年ぶりのことだった。 名目としては私が所属していた生徒会執行部からの「文化祭準備に関する詳細な説明をしに来てほしい」との依頼があってのものだった。 私は卒業以来学校に行っていなかったということもあり、快諾した。 しかし大きな問題があった。私は閉鎖病棟に入院中の身であったのだ。 母校を訪ねるには外泊をしなければならない。それを主治医が認めてくれるかという壁があった。 思い切って 「母校に呼ばれたので行ってきたいんです。お願いします」 と頼んでみた。 する

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        心に寂しさを ー入院手記ー

          止まった夏

          これは私の永遠に止まったままの夏の物語 その日は夏を感じるには十分すぎるほどの日だった。 清々しい空、カッと照る太陽、白さを輝かせる雲、命を燃やして鳴く蝉。 私はその全てを感じながら部屋に一人いた。 よく晴れた夏の日差しが差す屋外とは対照的に私の心の中はどんよりと曖昧でどこか溶けそうなそんな様相だった。 曖昧な私は曖昧な意識のまま立ち上がると台所へ行きコップを手に取った。 水をグビグビと胃に流し込む。コップが空になったらまた水を注ぎまた飲む。何度かこれを繰り返した。私のお腹

          止まった夏

          モーニングルーティーン

          目覚める。部屋の明かりはついたまま。 時計を見る。針は朝の5時を指していた。 また寝落ちだ。部屋の明かりは煌々と点いていた。 明かりの眩しさに目がうまく開かない。 壁に立てかけてある鏡を覗く。自分の顔は目が少ししか開いていなくて浮腫んでいた。昨晩無理に飲酒をしたせいだろうか。心なしか頭も痛いし重い。喉がとても渇いていた。 喉を潤そうとリビングに行く。コップに水を汲む。 机に昨晩飲むはずだった就寝前の薬が落ちていた。 就寝前の薬は意外と大事で、これを飲まないと翌日の調子がとても

          モーニングルーティーン

          曖昧な日

          今日は朝早く目覚めてしまった。昨日はイベントがあってとても疲れていたはずなのに、昼過ぎまで寝ている予定だったのに目覚めてしまった。体が重い。立ちっぱなしだったせいか足も痛い。もう一度眠ろうとしてもどうも目が冴えてしまって眠ることができない。疲れているのに眠ることのできないこの感覚は非常に気持ちが悪い、というか私自身の気分も良くない。ベッドの上で横になっていてもただ時間が過ぎていくだけなので時間がもったいないと思い体を起こす。頭がぼーっとする。外は明るいが一体何時なのだろう、そ

          曖昧な日

          いかなる時でも美味しいご飯を

          みなさん、こんにちは〜! つい二週間ほど前まで任意入院で(ここ大事)閉鎖病棟にぶち込まれていた任意定数です!! シャバはいいですね、好き放題お酒も煙草も嗜めて、外出も看護師さん付帯という謎条件もない(私は最後まで医者に逃亡の可能性を危惧され、信用されず一人での外出ができなかった)!!素晴らしい!! 新歓企画ということで自己紹介をさせていただきます。 任意定数です。大学では初めは数学をやっていましたが、一念発起して臨床心理学系のことをするために転部しました!!twitterの

          いかなる時でも美味しいご飯を

          無音

          私の世界は無音だ。 遠くでけたましく鳴るサイレンの音、建物を工事する音、きっとそんな音たちがこの世界にはこだましているのかもしれないが私の鼓膜はそれらを受け付けない。 ただただ静寂が広がる世界。 目の前で誰かが口を動かしている。 きっとその口からはたくさんの情報が流れ出ているのだろう。 しかし私の頭にその情報は届かない。 届くのは、口を動かしている人間が目の前にいるという視覚情報だけ。 聴覚情報が欠落している世界。 私と人をつなぐのは紙に書かれた文字だけ。 紙に書かれたそ

          閉鎖病棟入院 2022年1月

          こんにちは!皆さん元気ですか〜!! 元気だよ〜!っていう人手を挙げて〜 普通だよ。っていう人手を挙げて〜 もう無理。不安。お先真っ暗。しんどい。っていう人手を挙げて〜!! はーーーい!!(全員挙手) そうですよね。私のこんなnote見に来る人が元気いっぱいなわけないですよね。(決めつけ) 茶番がすぎる挨拶はここまでとして、本題に入っていきましょう。 任意定数のフォロワーなら御存知の通り、私、任意定数は現在閉鎖病棟に入院しています。。 今回の入院の理由は ・休養 です。 簡単

          閉鎖病棟入院 2022年1月

          鞘を捨てて強くなれたなら

          私はどこまでいっても強くなれない。 それは私が甘いからだ。 私はよく人に優しいと言われる。 しかし私は優しくなんてない。 甘いだけなのだ。 相手の思うように動いて相手の機嫌をとってそれで満足する、それは優しさなんかではなくて甘いだけだ。 人にいいように見られようと”優しそう”という仮面を被って他人にも自分にも甘くしているだけなのだ。 ”甘い”と”優しい”は大きく異る。 ”甘い”のは端的に言えば甘えだ。ただ優しさに酷似したただただひたすらに相手にとって自分にとって心地よいも

          鞘を捨てて強くなれたなら

          自我のない私と自傷の話

          「任意入院でいいから入院しましょう」 今年も医者から入院を迫られている”任意”定数です! 去年は有無を言わさず医療保護入院となり”医療保護”定数としてアドベントカレンダーを書いていましたが今年はそんな惨劇もなく(入院を迫られている時点で問題があるが)任意定数としてアドベントカレンダーを書いていきたいと思います。 折角なのでざざっと近況報告をすると私のTwitterのアイコンにも表記されている「……もう……やめちゃってもいい…かなァ…理系」が見事達成され、理学部から心理学部

          自我のない私と自傷の話

          12月10日日記 新しい病院に行ったこと

          新しい病院に行った。 自殺未遂をしたから、入院設備のない以前の病院では面倒見きれないということでの転院だった。比較的良好な関係を築けていた医者だったので匙を投げられたのは少ししんどかった。だけど仕方ない。私が悪いので。 紹介されたのは大きい精神科専門の病院だった。 入院設備も整ってるからきっと紹介されたんだなと思った。 病院はとてもきれいで落ち着く雰囲気だった。 少し前の病院での遺恨はあるもののこの病院でまた頑張ろうという気持ちになった。 バイタル等を測って問診票を書いて

          12月10日日記 新しい病院に行ったこと

          エスケープ

          逃げなければ、この辛い現実から。 そう思った、そうとしか思えなかった私は部屋を必死に漁った。 床に散乱した荷物、PC や教科書でごった返す机、乱雑に本が入れられた本棚。全てをひっくり返すように私は漁った。 何のために?それは薬を探すために。 薬が必要なのだ。たくさんの。 たくさんの錠剤を流し込めば私はきっとこの黒くざらついた世界から離れることができる。 私は逃げることができる。 良いのだ、その逃亡劇がたとえ一瞬だったとしても。 探し当てた薬たちを目の前に置いた。 とにかく

          エスケープ

          どうしようもない

          久しぶりに腕を切った。いつぶりだろうか。思い出せない。しかし最後に切った時のことを思い出せない程には私は自傷から離れていた。 カウンセリングの効果だろうか、それとも自制心が意識するともなく高まっていたからだろうか、支えてくれる人が増えたからだろうか。これも分からない。 とにかく私は最近自傷をしていなかったのだ。腕を見ればいつも赤っぽかった皮膚が何となく肌色に落ち着き剃刀は部屋の隅で眠っていた。 しかし今日私は眠っていた剃刀を叩き起こし腕に向けていた。戸惑いはあった。傷つけら

          どうしようもない

          私じゃない

          辛いこと、苦しいこと、痛いこと、色んな不義を私は押し付けてしまったんだ。彼女一人に。たった一人に。 だからきっと彼女は怒っている。永遠に私を許すことなどないだろう。 何か最近おかしいのだ。 まずは記憶。最近記憶が不連続なのだ。確かに私はアルバイトに行って学校に行っているはずなのに、アルバイトの時何をしていたのか覚えていない。学校の授業も確かに私が受けているはずなのに何をやったか覚えていない。 記憶が不連続になってしまう時、大抵私の体が私の物ではなくなっているかのような感覚

          私じゃない