見出し画像

自我のない私と自傷の話

「任意入院でいいから入院しましょう」
今年も医者から入院を迫られている”任意”定数です!

去年は有無を言わさず医療保護入院となり”医療保護”定数としてアドベントカレンダーを書いていましたが今年はそんな惨劇もなく(入院を迫られている時点で問題があるが)任意定数としてアドベントカレンダーを書いていきたいと思います。

折角なのでざざっと近況報告をすると私のTwitterのアイコンにも表記されている「……もう……やめちゃってもいい…かなァ…理系」が見事達成され、理学部から心理学部への転部を果たしました!!(やったね!!)
数学徒から卒業し心理学徒になりました。
私の頭を悩ませていた数学から離れることが達成され、メンタルも良くなると信じていましたがその期待は見事裏切られ入院を迫られるところまで精神がイッちゃってます(何故??)

でも今年はサークラ会誌のDTP(編集)を担当させて頂きニセNFにて売り子をするなどとても充実した時間もありました!!人生禍福は糾える縄の如しというのはあながち間違っていないのかもしれませんね。


それでは本題に入っていきたいと思います。私の脳内世界をちょっと文章にしてみました。最近私の脳内でうごめいている「自我のない私」についての話と・「自傷の話」の二本立てでいきたいと思います。
それではしばしお付き合いくださいませ。





自我のない私


鏡に写った私がニッと笑った。
不気味な笑みに私は嫌悪感を覚える。
鏡に写った私が口を開く
「お前、私の輪郭を掴めるか?」
私は鏡に手を伸ばす。鏡の中に手が入っていく。
鏡に写った私の肩のあたりを掴もうとする。
しかしどうしたことか、掴めないのだ。
掴もうとしても霧のように実体が掴めない。
鏡に写った私は再びニッと笑い
「掴めないだろ、それでいいんだ。それがお前だ」
そう言うと気体のように蒸発してしまった。

----

私には自我がない。
だからすぐに人に流されるし最悪の場合つけこまれて騙される。
自分というものが無いからだ。
自我というのは人間を形作る輪郭だと思う。
自我が強ければ強いほどその輪郭ははっきりして硬いフレームのようになる。
逆に弱ければ輪郭はぼやけその人間は気体のようにふわふわと漂うだけになる。

自我が強いと衝突が起こる。これが一番厄介だ。
人と関わる時に自我のフレームが相手のフレームと衝突してしまう。
そこで発生する火花やフレーム同士がカチ当たる音など見たくも聞きたくもない。つまり無用な喧嘩や不快な感情が発生することだ。
だから私は自我を捨てた。
輪郭を持たずただふわふわと漂えば他者のフレームの間をスルッと抜けることができる。衝突とは無縁の世界。なんて快適なんだろう。
誰かから何かを言われれば「うん」とだけ言って従う。
自分の意思など介在しない。
ふわふわと漂って誰かに流されて、流された先でも誰かに流される。

これでいいのかと問われると私にも分からない。
流された先で後悔すること傷つくことなんてたくさんある。
自分の責任で歩みを進めて、その結果自分の責任で後悔したり傷ついたりできる人を羨ましく思わないことはない。

自我を持つことは辛く厳しいことで、同時に自我を持たないことも辛く厳しいことである。
どちらが良いのかと問われても、私には判断することができない。自我が無いから。

私はもしかしたら自我がないというよりも自分を持って自分の意思で決断を下す重圧に耐えきれなくなった人間の末路なのかもしれない、とも思う。でも本当の答えなんてどこにもない。もちろん私の中にも。

どこまでも弱い私は今日も世界を浮遊する。誰も私を掴めない。私は何も決断を下せない。
鏡の中私はそれを見て嘲笑しているのだろうか。


-----------------------------------------------------------------------------

自傷の話

ああ、これは良くないな。
頭の中に悪い靄がかかっていて思考を混濁させている。
靄はどんどん増えて頭の容量を突破してしまいそうだ。
ああ、頭が破裂しそうだ。
頭の栓を抜いてこの悪い靄を追い出さなくちゃならない。
頭の栓?
そいつは一体何だ。
どこについている?どうやったら抜けるんだ?

そうか、そういうことか。
なるほどな。
分かった、やるよ。

----

私は腕を切るのがやめられない。
しばし腕を切らない期間があっても、このまま腕切りを卒業できるのではないかと思っても、腕を切ったときの快楽が欲しくてたまらなくなる瞬間が訪れるのだ。

社会で生きていれば嫌なこと不満に思うことそんなことが山ほどある。
それに対していちいち文句をつけ衝突していたらきりがない。
だから大抵のことは呑み込むのだ、どす黒い塊を。
その、どす黒い塊は私の体に入って体を侵食する。
細胞の隅々まで行き渡る。
呑み込んで呑み込んでを続けていくとだんだん体はどす黒く染まり、足の先から頭の先までどす黒い塊に支配される。
ここまで来ると何も思考ができなくなる。
”何か”が詰まっている気がしてならなくなる。
この詰まりをとるために私はカミソリを手に持つ。

刃を腕に当てて横に引く。
ツンとした痛みが頭に届く。
真っ赤な液体が白い肌から這い出てくる。
これを幾度となく繰り返す。

この痛みは、この目に飛び込む赤は、私の中にある詰まりを一瞬にして抜き去ってくれた。

どす黒い塊に支配されていた私は安堵する。
体を見ればどす黒さは消えているし、詰まっていた”何か”もなくなっていた。

「やっぱり、これじゃなくちゃね」
虚ろな目で呟いた。






明日21日は「Nergis/ハカマタ」さんです。

私の文章、朗読、なにか響くものがございましたらよろしくお願いします。