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雑記

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2021年10月の記事一覧

読後について

これは特に小説に顕著な現象で、本を読み終えると、何だかモヤっとした読後感が残ることが多い。あの登場人物はなぜああいう行動をしたのか、あの時の心理は、そもそも言わんとしているテーマは何か、など。

しかし、不思議なことに時の経過とともに、その理由や仮説が閃いたり、誰かとの会話からそのヒントを得ることが多々ある。

本は自分の中で日々生育していくものなんだろう。

中学の音楽

中学の音楽の授業でリコーダーの練習をする際に先生に言われた「歌うように吹きなさい」という言葉。

当時は「うるせぇ」くらいにしか思っていなかったのだが、クラシック音楽に親しむようになってようやくその意味が「うるせぇ」くらい分かるようになってきた。

少し誇張して言えば、スコアに記された音符が生命を宿すには歌が必要だ。そしてその生命の根源には作曲家の魂がある。

中坊の僕らに、あの先生は音楽を聴く上

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本を読む環境

今まで小説も概説書も専門書も場所を問わず読んでいたのだが、ある時電車に乗りながら小説を読んでいると、自分が思っているほど小説の世界に入り込めていないことに気づいた。電車の揺れや騒音によって、絶えず小説と外界を行き来しているようになっていて、全く集中できていなかった。

その経験から最近は、静かな環境では集中して読み込む必要のある小説を、逆に騒がしい環境では気が散っても問題がない新書を中心とした概説

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西行の和歌

『西行全歌集』、家の中を2,3時間探し回ってやっと発見・・

たかだか1000円くらいだからもう一冊買えば良かったんだけど、なかなか見つけられなかったからこそ改めて愛着も湧いて来る。

それにしても和歌はやっぱり面白い。
この『西行全歌集』から1首引いてみよう。

茂りゆきし原の下草尾花出でて招くはたれを慕ふなるらん

「野原に茂っている草に、尾花がひょこりと顔を出し、風にそよがれている。そよいで

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小澤征爾さんの言葉

指揮者の小澤征爾さんが、とある取材で語っていた言葉を書き留めておく。

夕日はどれも美しい。どこにいても。何でそうなるかというと、自分の状態、みるという気持ちがあるとそれを味わえる。ただ忙しいと見ることができない。そういうのがクラシック。要は自分が受けいれるつもりがあるか、余裕があるか、美しいと思う心があるかが音楽に対する大事な姿勢。

多忙の中にも余暇を見出し、どっぷり音楽に浸るということが大事

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