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舞台『象』ストーリーと感想

『象』を神奈川芸術劇場KAAT にて、4月16日(土)12:00開演を観劇しました。

ストーリーと感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。

舞台『象』



【脚本】

齋藤孝

【演出】

小林且弥

【出演】


安西慎太郎、眞嶋秀斗※、鎌滝恵利、伊藤裕一、伊藤修子、木ノ本嶺浩、大堀こういち※菅原健から眞嶋秀斗に変更。


【ストーリー】


廃業することとなった「びっくりサーカス・ノア」。解団の日に集った団員は、今後の生活への不安や不満を口にしながら後片付けをしている。
殺伐とした空気を払拭するように、不遇の過去を持つ見習いクラウンがパフォーマンスを披露することになるのだが、サーカス団所有の象が業者に引き取られていないことが判明する。
金を持ち逃げしたオーナーとは連絡がつかず、残された団員で象の処遇を話し合うのだが…。


【感想】


客入れの楽曲はチルアウト。

客席は4面のブロックに分かれており、中央に舞台が作られている。
美術はシンプル、転換はなし。劇場中央に四角い舞台、床はトリコロールカラーに塗られている。地面とおぼしき床にはゴミが散乱し、あちらこちらに片づけの途中なのか、箱に物が放りこまれている。
天井まで続く長い梯子。上にいくに従って段の幅が広がっていき、その頂点から四方に、緩やかなカーブを描いて暖色系の小さいライトをつけたロープが垂れ下がっている。

照明はシンプルでムービングのような派手さはないが、特にラストシーンは美しい。

小さなサーカス団という狭いコミュニティで起こる人間模様が、時に辛辣、時に怖く…。やたらと「ファミリー!」を連呼する団長が矛盾の塊で無責任。
ほかの団員もそれぞれに事情を抱えていて、エゴやら嫉妬やらを剥き出しにして罵倒したり、取っ組み合ったりと醜い。唯一、事務員のまりだけがまともで救われる。
スケープゴートにされるのは、子供時代に父親から暴力を受けた被虐待者、クラウン見習いの松山。心に深い癒されない傷を負い、トラウマを抱えている松山。いつも相手の顔色を窺い、へらへらと作り笑いをし、「すみません」を連呼する。それが、相手の苛立ちを増加させ、嗜虐性を刺激しているとも知らずに…。
これはサーカス団の最後の一日を描いているが、実はそこここに転がっている光景なのだと思う。学校で職場で家庭で。
処分されそうになっている象のアデナイは松山の姿でもある。アデナイは体も大きく力も強いのに、閉じ込められている狭い檻の中から出ようとしない。アデナイは‘出ていく’ことを諦めたのだ…。逃げ出すことを…。
松山がアデナイを逃がすことを決めたとき、彼自身も過去、現在の苦境から逃げ出そうとしたのではないだろうか?
ラスト。たったひとりサーカスに残った松山が梯子をゆっくり、ゆっくりと登っていく。暖色系のスポットライトを一身に浴びながら登っていく姿が美しく、哀しい…。
それは絶望なのか?希望なのか?

キャスト全員が魅力的で目が離せない。誰が欠けてもこの舞台は成り立たないと感じた。
ひとりひとりについて言及すると、ものすご~く長いことになりそうなので割愛させていただくことに。どなたも素敵だった♡

カーテンコールの後、アフタートークが20分。
小林且弥、木ノ本嶺浩、大堀こういち、眞嶋秀斗が登壇。事前にいただいたお題が箱に入っていて、それをひとりひとり引いては答える形式。稽古の裏話も聞けておもしろかった。20分があっという間♪


【余談と画像】


今回の公演はいつになくトラブル続きで、開演が危ぶまれていた。実は幕が上がるまで心配で、ぎりぎりまでチケットの購入を控えていた。なんとか15日から無事に開演となり、16日のマチネを観劇できてよかった。本当に。
主演の安西慎太郎の怪我が心配だったけど、どこを怪我していたのかわからないほどの動きを魅せてくれて、役者ってすごいなぁ。。と。
チケットは半券に名前と電話番号を記入して渡す。もしものときの対策だから、今はみんなこれだね。
フライヤーだけでも欲しかったけど、見たら一枚もなかったよ~。残念。

神奈川芸術劇場 正面玄関
お知らせ
フライヤー
パンフレット

観劇後に1階のカフェで休憩。アフタヌーンティー♪
ピンクのリボンはいただく前に取るシステム。自分で。

アフタヌーンティープレート&セイロンティー


【リンク】


る・ひまわり 舞台「象」
舞台「象」製作にあたって
舞台「象」コメント
舞台「象」魅力的な7人の俳優陣と演じる役どころについて
舞台【象】キャスト&スタッフプロフィール
小林且弥が初演出、サーカス団の最後の一日を描く舞台『象』が上演決定 主演は安西慎太郎
演出・小林且弥×主演・安西慎太郎 舞台『象』で目指す各々の新たなステージ
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