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#本棚をさらし合おう【第三回読書ススメ禄】心に響く処方箋たちと、その効能
風が入ってくる。
冷たい秋風は、金木犀の香りを存分に含んでいる。
視線の先では、この間剪定した北海道生まれのライラックが、なぜか人間の扱いにめげずに季節外れの新緑を広げている。
心が歪むとき、私は風の先にある本を開く。
心が痛いとき、私は手が伸びた先にある本を開く。
心が何も感じないとき、私は目を背表紙たちに向ける。
これは、その薬たち。
実のところ、本当の薬よりも人生に響き残る処方