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第247号『ピンチは日本語で言うと“見せ場”ってやつだ』

「ピンチは日本語で?」

「借金でしょ?ちゃうわ滞納か」

「見せ場や」

これは週刊モーニングで連載中の野球漫画『バトルスタディーズ』の作中であった会話のやり取りです。

基本的に世の中に存在するありとあらゆるスポーツ全般(観戦)に興味がないはずの私が大好きで読んでいる数少ない野球漫画です。

もちろん作品自体は主に(PL学園をモデルとした)高校球児の姿を描いているのですが、こういう会話のやりとりが実に面白くて毎週楽しみに読んでいます。

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今現在は(弊社に限らず)世界中が窮地に立たされている状況で、みんなリモートワークや自粛ムードで常にピリピリとした状態が続いています。

かくいう弊社も勿論例外ではなく、福岡本社・東京スタジオ・モントリオールスタジオの三拠点全てが完全テレワーク体制を敷いており、全スタッフがずっと自宅でそれぞれの仕事を行っています。

総務・経理・人事・宣伝・広報・開発サポートなどのゲーム開発を支える業務部のスタッフはそれぞれ自宅のパソコンから会社にリモートアクセスすることで仕事を進行中です。

しかし現在のハイエンドなゲーム機に向けたゲームソフト開発はやはり全てがリモートアクセスというわけにはいきません。

アニメーション制作などは特にリモートによる遅延があっては正確な仕事が出来ませんので開発スタッフの多くは結局は会社においてあった開発機材をそれぞれ自宅に持ち帰りネットワークで会社のサーバーにアクセスしながら作業を行っています。

東京スタジオのメンバーの開発機は私がレンタカーを運転してそれぞれの自宅に直接届けて回りました。

今現在は自宅で仕事を継続するという観点から言うとだいぶ落ち着いてなんとかそれぞれで作業を行っています。

それでもやっぱり今までの状態での仕事の質を100とすると現在は90~50くらいまで(担当部署&作業内容にもよりますが)作業効率は落ちてしまっています。

ただそれでも仕事の手を完全にストップさせてしまうよりもマシなのでなんとか前に進めているという感じです。

また、今までは毎週月曜日にテレビ会議システムを繋いで実施していた全スタッフでの朝礼も出来なくなってしまいましたので、定期的に私や他の取締役(宮崎・西川・新里)から社内スタッフ全員に向けたビデオ動画を撮影してメッセージを伝えるようにしています。

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ビデオメッセージの内容を一部抜粋

「今は大きく環境が変わってしまって本当に苦しい状況が続いているけどそれは決して自分たちだけに起きていることではないんだから、みんなで力を合わせて踏ん張っていこう」

「必要に応じてテレビ会議(teams)も実施しているみたいだけど俺からひとつ提案というかお願いがある」

「テレビ会議を実施する際に決して仕事の話だけで終わらせないようにして欲しい。今までの仕事の一日を思い出してほしい。仕事の一日っていうのは思いのほか雑談で出来ている。仕事の合間のちょっとしたやり取りが日々のコミュニケーションを生んでいたんだ」

「みんな根が真面目だからいざテレビ会議をやっても仕事の話だけで終わったりしてるって聞いているよ?」

「それだと夜寝る前にふと一日仕事はしたはずなのに“今日も一日なんにも無かったなぁ”って思うことってない?」

「それくらいオレ達は毎日そういう一見すると取るに足らない雑談ってやつをいっぱいしてたってことなんだよ」

「お家に帰って晩御飯食べたりしながら家族に“今日会社でこんなことがあってさ”って話してた時ってのはほとんどが仕事というよりも雑談で聞いた話だったでしょ?」

「それくらい一日は雑談で出来ていて、また同時にそれはすごく大切なことだったんだよ」

「今テレビ会議やっていて仕事以外の話をなんかしにくいって気持ちもあるかもしれないけど、そんな今だからこそもっと意識して雑談して取るに足らない話ってやつを積極的にやっていこう」

「でないと心の方が先に参ってしまうよ」

「外出を控えて家の中だけで引き籠っているとだんだん心が細くなっていくよね」

「けどこういう時だからこそ試されるんだよ」

「人間の本性っていうのはさ、物凄く追い詰められた時と勝利を確信した時に一番現れやすいって言うでしょ?」

「きっとそれが今なんだ」

「5月6日までの緊急事態宣言ってやつが解除されていきなり元の平和な世の中が帰ってくるとはもう誰も思ってはいないでしょ?少なくとも俺は向こう3か月以上はこういった厳戒態勢が続くと思っている」

「みんなに開発機材を持って帰ってもらったのはそういう意味でありそうした意志からだよ」

「長期化することを前提に動こう」

「もちろん一刻も早く収まって欲しいと願ってはいるけど」

「楽観的な考えはそれこそ命の危険を呼ぶことになる」

「今はグッと堪えて乗り切らなきゃいけない時なんだよ」

「だからこそこのピンチを乗りこなそう」

「ああ、そうだ」

「ピンチって日本語で何て言うか知ってる?」

「こないだの『バトルスタディーズ』って漫画の中でさ……」

要約するとまぁこんな感じのビデオメッセージです。(一部創作して追加した部分もありますが要約するとだいたいこうだと思ってください)

特に今は私のような代表こそが中のスタッフ達やその家族にもこうしたメッセージを直接声に出して伝えることが大事だと思っていますし、むしろこういう時こそ今まで以上にたくさん伝えるべきだと思っています。

苦しい今だからこそ、声を大にして言う。

だって、抜けないトンネルは無いんだから。

その先にある光を夢見るには今はあまりにも暗い話が多すぎますので。

せめて誰かはそうじゃない話をしていくべきだと私は思うのです。

ちなみにコチラ↑は先日生配信を行った『サイバーコネクトツー2020年度新入社員向け社長講話』という研修の一環で行っているいわゆる新人に向けた質疑応答会の模様です。

いつもは完全に社内だけで会議室なんかを使ってやっているわけですが、現在はそんな新入社員(21名)もそれぞれが自宅で研修作業を行っていますので、オンライン上で実施したのですがせっかくなのでそれを一般公開する形で生配信を行いました。

YouTubeライブとTwitterライブそれぞれで同時配信を行ったのですが合わせておよそ4万人くらいの人達に見てもらえたようなのでやった甲斐はあったのかなと思います。

まぁ「他の会社ではこんな感じで新人研修をやってるのか」と得られる知見もあるかもしれませんので良かったら暇つぶしにでも見てみてください。(流しながら音声だけ聞く感じで十分楽しめると思います)

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さてそんなピンチをむしろ見せ場に変えることが出来るような心持ちで、後半部分はこれまた全く違う観点からのお話をお贈りしたいと思います。

また韓国ドラマを観ています。今観てるのは最近NETFLIXで大人気&ブレイク中の『愛の不時着』というドラマ。(毎度思うけど邦題を付ける人は本当にセンスが無いというかまるで悪意でもあるのかと思うほどダサイ邦題を付けてくれます)

韓国の財閥令嬢がパラグライダーの事故でなんと北朝鮮に不時着してしまい、そこで出会った堅物の将校と自分の身分を隠した状態で一緒に生活することになって――

というラブロマンス物です。

が、やっぱりそれだけじゃなくてちゃんと裏に陰謀だったり明確な悪の姿があって二人はそれに巻き込まれていくことになるのですが。

私もまだ観ている途中なのでこの先の展開はわかりません。

ここでちょっと『悪』というものについて語ってみたいと思います。

本当の『悪』ってなんなのでしょう?

『悪』の定義についてのある考察です。

【『正義』の反対は『悪』ではない】

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