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描きたいものを描くんじゃあない!

これは先日あの鳥嶋和彦さんにお会いした時に聞いた話でした。

「漫画家ってさ、すぐ“自分が描きたいもの”を描こうとするんだよ。だから駄目なの。“描きたいもの”を描いているうちは駄目なんだよ」

最初にその発言を聞いた時はやはり耳を疑いました。

「え?駄目なんですか?じゃあ何を描くんですか?みんな描きたいものを描いてるんじゃあないんですか?」

「違うんだよ。“描きたいもの”を描くんじゃあなくて“描けるもの”を描くんだよ」

「描けるもの、ですか」

「そう、描けるもの。みんなね、すぐ“これが描きたいんです!”って自分が好きなものを描いて持ってくるでしょ?」

「ええ?それって駄目な事なんですか?」

「駄目だね。だから悩むしこだわっちゃうし調べるのに時間がかかりすぎるんだよ。それでどこかで手が止まっちゃう」

「じゃあ、何を描けばいいんですか?」

「だから“描けるもの”なんだって。『スラムダンク』も『テニスの王子様』も作家自身がそれぞれバスケやテニスをやってたから描けたんだよ」

「いや、それを例えに出されると何も(言えなくなる)」

「とにかく悩んじゃダメ。描けるものを描くの。とにかく描く」

もうここからは文字通り何も言えなくなってしまったわけですが。

確かに言い得て妙ですね。

「好きなものが描けるものとは限らない」

鳥嶋和彦さんはそう言いました。

“好きなもの(描きたいもの)と描けるものの不一致”が起きると絶対に良い作品にはならない。

これは確かにその通りなのかもしれません。

実体験に勝る引き出しは無い、ということなのでしょう。だいたい好きな人は自分で体験してますからね、そもそも。そこからであれば無限(とまではいかなくても)スラスラとアイデアが湧き出てくるということ。

ふむ。

なるほど。

んー。

えっと。

じゃあ。

『ドラゴンボール』は?

キャラクターも物語も鳥山明の体験談なワケないし、つか『ドラゴンボール』には夢しか詰まってないでしょう?作品自体が全部妄想で鳥山明自身が好きなものを詰め込んだ結果なのでは?

え、ちょっと鳥嶋さーん!?(今度会った時に聞いてみよう)

(まぁけど鳥山明の場合は好きなものと描けるものが“ああだった(一致していた)”からなんでしょうね。別に自分自身が宇宙に行かなくても“宇宙戦争”は描けるわけだし。地球育ちのサイヤ人でなくても漫画は夢と妄想で描くこともできるわけですから。もちろん誰もがあれほどの作品を妄想で生み出せるとは思えませんが。それこそ鳥山明の天才性の部分なんでしょうねぇ)

さてここからはせっかくなので(今まで不自然なほどあまり語ってこなかった)本作『ドラゴンボールZ KAKAROT』についての開発秘話を語ろうと思います。残念ながら内容が内容なので有料パートとなってしまいますがご了承ください。(他言無用転載禁止)

『ドラゴンボールZ KAKAROT』開発秘話

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