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第292号『フランスで少女4人組のスリにあった話』

これはたぶん今から10年近く前の出来事。

毎年開催されているジャパンエキスポに参加&登壇するためにフランスに出張していた時の話です。

バンダイナムコエンターテインメント(当時はバンダイナムコゲームス)との同行だったのでたぶん『NARUTO-ナルト-』のゲームのためのプロモーションだったのでしょう。

会場での仕事を終えて夕方くらいに地下鉄に乗って移動していた時に私はスリに遭いました。

はい、私はその日フランスでスリに遭ったのでした。

今回はその時のエピソードを思い出しながらご紹介します。

フランスで少女4人組のスリにあった話

この頃の私は(現在と違って)まだ常識的な感覚があったのか手ぶらではなくリュックを持って移動していました。

(現在は海外でもどこに行くのでも基本的に手ぶらで余程のことが無い限りはスーツケースすら持って行かずにポケットにパスポートだけ入れて移動するのです=極度の荷物持参しない主義者)

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で、地下鉄に乗る時なんかはバンダイナムコの現地法人の担当者から「スリが多いのでなるだけリュックは前にかけてから乗ってください」と言われていたので素直にそうしていたのでした。

「プルルルルルルルルルルルル」

と地下鉄の扉が閉まる直前にフランスの現地の女の子4人(それぞれ10歳から12歳くらい)が飛び乗ってきたのでした。

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ただでさえほぼ満員電車だったのに子どもとはいえ4人も乗ってきたのでかなりギュウギュウになりました。

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「元気な女の子たちだなぁ」

最初はそれくらいのんきな感想をいだいていたのですが。

電車が動き出してほどなくして帽子をかぶった女の子が私に話しかけてきました。

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「ホワッタイムイズイットナウ?」

一瞬だけ戸惑いましたがそれくらいの英語は理解できるのでスマホを見せながら「はい」と時刻を伝えました。

するとその帽子の女の子は自分のアゴに手を当てながらフムフムという仕草をしたのです。

その時に感じたのは

「おお、フランスの子どもだって理解した時はこうやってアゴに手を当てるんだな、なんか微笑ましいな、ふふ」

ということではなくて、ただの違和感でした。

「(あれ、なんかわざとらしい?なんだ、これ、まるで演技?)」

ピキィィィィーーーーン

とパルスのようなものが頭の中を走っていったことを覚えています。

ハッとして、目の前にいる別の女の子をグイっと押しのけて確認すると私のリュックのありとあらゆるジッパーが開けられていて財布の中から全てのクレジットカードが抜き取られていたのでした。

「(うわ、早、やられてる)」

即座に目の前の女の子に

「おい、返しなさい」

と日本語で伝えると両手を出して「私は何も持っていません」というポーズを取りながら

「アイキャンノットスピークジャパニーズ」

とか言い出しました。

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