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感情のエッセイ

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気持ちを込めて書いた文章
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2019年9月の記事一覧

土足で入ってこいよ

土足で入ってこいよ

コミュニケーションに飢えている。
それが偽物であっても、自分に向けられる好意(のようなもの)に安心感を覚えてしかたがない。

むかしからそうだった。不良のパシりに使われる時、そこに仮初めの暖かさがあるだけで惨めさと同じくらいの嬉しさがあった。自販機の前で財布をわすれて困ってるやつに奢ったことすらある。たった120円で友達のような気になれるのだから、安いもんだった。

「ナメられる」というのは僕にと

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noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

noteを始めてから、他人への視点に体温が生まれた。

むかしの僕はほんとうにダメなやつだった。努力はできないし、そのくせ武器もない。自信のなさを隠すための、偽物の自信だけがあった。

なんにもできなくて、いろんなことに怯えていた。でも、あの頃の僕は優しかったと思う。心に波たつのは自分の弱さばかりで、人を見下すようなことはなかった。そもそも見下せるだけの土台が自分になかったんだ。

いまの僕はそれなりに色々できる。あいかわらず努力はできないけど、いくつ

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親じゃないからできること

親じゃないからできること

夏休みの終わりに、双子の甥っ子ズがうちに泊まりにきた。

嫁さんのお兄さんの子供で、小学5年生。10歳だ。
僕と出会ったのは小2の頃だったから、ずいぶんおっきくなったなぁとおもう。あのころ見分けのつかなかったふたりが、最近はすっかり別タイプの顔として育ってきている。

夜勤明け。ベッドから重い体を起こしてしばらくするとチャイムが鳴り、彼らはこのアパートへなだれこんできた。来るやいなやリビングに直行

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