マガジンのカバー画像

小説

16
小説達
運営しているクリエイター

#夢

おしまいの夢

おしまいの夢

その夢の中で、僕はひとを殺した。

すっかり子供の姿になった僕は、おなじく子供の友達3人と暗いビルのなかで息を潜めていた。皆の手にはそれぞれ別の形の銃があり、僕はスナイパーライフルを持っていた。

だれをやろうか、なんてことを小声で話し合ったりしていた。先生に悪戯するような無邪気さだった。
クスクスと笑い声が響くなか、そっとスコープを覗きこむ。

ミニチュアになったような町のなかで、数人の大人が歩

もっとみる
ヴィクトリアと呼んで。

ヴィクトリアと呼んで。

その夢の中で、僕は一人の女性になっていた。



嵐の夜。荒れる海。沈みゆく船の上で、私は倒れていた。

隣には男がいる。老人だ。ボロボロの姿であり、今にも命が終わるようだ。
その全てを諦めたような姿を見て、私は思い出した。

そうだ。ずっと一緒に旅をしてきた。彼の愛する女性ーヴィクトリアを探して。
私は彼が好きで好きでたまらなくて、報われぬ覚悟のもと、ついてきたのだった。

嵐は暗い海に打ち付

もっとみる
夢の教室

夢の教室

自分のことが嫌い。
ぶくぶくと太った体。何度捨ててしまいたいと思ったかわからない。ぐちゃぐちゃで醜い顔は、自分の心まで汚いように思えてしまう。

鏡で自分を見るたびに、ため息を通り越して怒りが込み上げる。耐えられなくなって、鏡の中の顔を思いっきり殴ってしまったことだってある。結局鏡は割れずに、拳から血が出ただけだった。痛くて痛くてたまならなくて、それなのに、誰もいない中我慢していた。その時に映った

もっとみる