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境界線の向こう側 - 日常と非日常の狭間で

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私たちの日常生活の中に、時として不思議な出来事や説明のつかない体験が起こることがあります。このマガジンは、そんな日常と非日常の狭間に存在する体験談を集めた特別なコレクションです。
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記事一覧

命懸けのトンネル探検

命懸けのトンネル探検

私の住む地方都市は、周りを山に囲まれた田舎であった。街の東西に線路が伸びており、街の外れにはトンネルがあった。そのトンネルは不気味な口を開き、まるで私たちを誘っているかのように見えた。

中学に上がり、毎日何か面白いことを求めていた私は、ある日の休日、同級生の友人HとIと3人で、街外れのトンネルへ探検に出かけることにした。線路は道から2m程高い所を通っており、入れないよう柵が続いていた。しかし、田

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危険な誘惑:お菓子と誘拐犯

危険な誘惑:お菓子と誘拐犯

私はとある地方の都市で生まれ育った。町の中央を悠然と流れる川は、都市を川北と川南の二つの区域に分けていた。四つの橋が川に架かり、両岸の人々を結びつけている。穏やかな川の流れは、幼い頃の私たちにとって日常の風景であり、遊び場でもあった。

小学6年生の頃、私の町では子供を狙った連れ去り未遂事件が立て続けに発生した。見知らぬ男が「お菓子を買ってあげる」などと甘い言葉で子供たちを誘い、連れ去ろうとするの

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静寂の中の異形~病院での金縛りの夜~

静寂の中の異形~病院での金縛りの夜~


大部屋の狂騒曲私はとある病気で長期入院をしていた。病院のベッドに横たわりながら、このベッドでは過去にいくつの人生が終わったのだろうと考えるだけで、薄ら寒い気持ちになるのだ。

当初、静かな空間を望んだ私は個室を希望していたが、空きはなく、やむを得ず大部屋に入ることになった。その部屋はまさに混沌としていた。様々な患者がひしめき合い、咳やくしゃみ、いびき、さらにテレビの大音量が混ざり合うカオスな空間

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御岳山の狐憑き

御岳山の狐憑き

私は写真を撮るのが好きだった。画像生成AIが出てからはそちらにはまってしまったが、その前はニコンの一眼レフカメラを担いで車中泊をしながら撮りに行ったりしていた。

私の好きな場所の一つが霊峰御岳山である。登っても美しいし、山中にある森や滝、渓谷もすごく良い。この時は朝焼けの御岳山を撮るために出かけた。

霊峰御岳山での写真撮影御岳山は遠いので着いたころには夕方になっていた。御岳山に来るといつも車中

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死人岩の恐怖体験

死人岩の恐怖体験


子供時代の思い出私が子供だった頃、母は私たち兄弟3人を連れて、時々実家に泊りがけで帰っていた。母の実家は田舎の山の麓に建っており、広い家だった。そこには私より1つ年上のKちゃんがいた。彼は私を都会育ちのひ弱な奴だと思っていた。

私の家も地方都市で田舎だが、彼にとっては都会ということらしい。Kちゃんとはよく遊んだ。遊び場は山か川くらいであったが、私にはそれが神秘と不思議の世界だった。山奥の不気味

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小学生時代の不思議な体験

小学生時代の不思議な体験


学校の怪談との出会い私が小学生の頃、学校の怪談が流行っていた。友達と市内の小学校に伝わる怪談について、「あの学校ではこんな怪談がある」とか「この学校ではこんな怪談を聞いたことがある」などと話し合っていた。

その中の一つに、Y小学校にまつわる怪談があった。誰もいないはずのピアノが鳴り、学校裏のトイレの奥から二番目の個室に幽霊が出るというものだ。今から思えばよくある話だが、当時はわくわくドキドキし

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古い家の不思議な出来事

古い家の不思議な出来事

私がまだ小学生だった頃の話である。地方都市で生まれ育った私の家は、大正時代に建てられた古くて広い家だった。祖父母、両親、そして3人兄弟という大家族に加え、離れの家にはうちの会社の従業員家族4人が住んでいた。

とにかく古い家だったので、ラップ音なのか家鳴りなのか、誰もいなくても何かしらの音が聞こえてきた。また、皆が1階の居間でテレビを見ている時、誰もいない2階から足音が聞こえることもあった。

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