石畑隆

会社員。1992年生まれ。哲学など。TwitterID:@ishihata_purple

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固定された記事

清水晶子による「学問の自由」の定義を検討する

 清水晶子の講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」が話題になっています(書き起こしはこちら)。この講演については、キャンセル・カルチャーを擁護するという講演…

石畑隆
1年前
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2022年に読んで面白かった本 5冊

 去年読んだ地理(地学)や歴史の本でおすすめの物を。 藤岡換太郎『海はどうしてできたのか』、講談社ブルーバックス、2013  山・海・川の成り立ちについて書いた三部作…

石畑隆
1年前
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齋藤・田中『ジョン・ロールズ』の読書会をやってました

 今年の5月から半年かけて斎藤純一・田中将人『ジョン・ロールズ 社会正義の探求者』(中公新書、2021)の読書会を行った。  コロナウイルスの関係で対面での読書会を…

石畑隆
1年前
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【酔っ払いエッセイ】俺なんて生きているだけで女の敵なのかもしれない

 いつも「モテない」「彼女がほしい」とtwitterに書いていると、会ったこともない人から「彼女をつくることが幸せだと思っているのがおかしいのです」とか、「あなたが幸…

石畑隆
1年前
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ミル『功利主義』第3章における「自発的な抽象化」とは?

 インディーズ電子書籍出版社である八不から、奥田伸一によるミル『功利主義』の新訳が出ていたようです。研究者ではない訳者による新訳とのことで、近いうちに読んでみよ…

石畑隆
1年前
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三浦メモに対するreply

先日投稿した「『トランス女性は女性である』という主張は何を意味しているのか」の内容について、補足の中でも取り上げた哲学者の三浦俊彦から反応をいただきました(「【…

石畑隆
1年前
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「トランス女性は女性である」という主張は何を意味しているのか

 トランス女性が女性スペース(トイレや公衆浴場など)を利用する権利をめぐる対立の中で、トランス権利拡大派による「トランス女性は女性である」という主張に対し、「ト…

石畑隆
1年前
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【書きおこし】清水晶子「学問の自由とキャンセル・カルチャー」

 twitterで話題になっている清水晶子の講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」の書きおこしを作りました。講演内容の検討に役立てていただければと思います。私自身…

石畑隆
1年前
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清水晶子による「学問の自由」の定義を検討する

清水晶子による「学問の自由」の定義を検討する

 清水晶子の講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」が話題になっています(書き起こしはこちら)。この講演については、キャンセル・カルチャーを擁護するという講演の主旨に対してだけでなく、主張の背景にある清水の「学問の自由」への理解も批判にさらされているようです。その際、ミルの『自由論』に代表される「学問の自由」への古典的な擁護を引き合いに出すものもあれば、日本国憲法第23条に対する学説・判例上の解

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2022年に読んで面白かった本 5冊

 去年読んだ地理(地学)や歴史の本でおすすめの物を。

藤岡換太郎『海はどうしてできたのか』、講談社ブルーバックス、2013

 山・海・川の成り立ちについて書いた三部作の2作目なのだが、個人的にはこれが一番面白く感じた。表題の問いには「雨が降って水が集まれば海ができる」と簡単に答えられそうだが、そうではない。海から見た地球史という感じの本で、すごくわくわくした。

小川真如『日本のコメ問題-5つ

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齋藤・田中『ジョン・ロールズ』の読書会をやってました

齋藤・田中『ジョン・ロールズ』の読書会をやってました

 今年の5月から半年かけて斎藤純一・田中将人『ジョン・ロールズ 社会正義の探求者』(中公新書、2021)の読書会を行った。

 コロナウイルスの関係で対面での読書会を行うことを控えていたのだが、今回は人数を絞ってクローズドな会にした上で対面で実施することにした。オンラインに比べて議論に集中しやすいし、表情や雰囲気によって伝わるものもあると思うので、やっぱり対面での読書会のほうがいいなと感じた(こう

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【酔っ払いエッセイ】俺なんて生きているだけで女の敵なのかもしれない

【酔っ払いエッセイ】俺なんて生きているだけで女の敵なのかもしれない

 いつも「モテない」「彼女がほしい」とtwitterに書いていると、会ったこともない人から「彼女をつくることが幸せだと思っているのがおかしいのです」とか、「あなたが幸せでない理由はモテないからではないのです」などとreplyやDMが来ることがある。俺はこれまでの人生で親密な関係のパートナーがいた時期のほうが明らかに幸せだったと思うし、知らない人から「おまえは○○だから不幸せなのだ」などと決めつけら

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ミル『功利主義』第3章における「自発的な抽象化」とは?

ミル『功利主義』第3章における「自発的な抽象化」とは?

 インディーズ電子書籍出版社である八不から、奥田伸一によるミル『功利主義』の新訳が出ていたようです。研究者ではない訳者による新訳とのことで、近いうちに読んでみようと思うのですが、その前に気になるツイートを見かけました。

 『功利主義』第3章のこの箇所における「abstraction」を「脱俗」と訳した例があることは聞いたことがあったのですが、なぜそう訳されたのかわからないままになっていました。辞

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三浦メモに対するreply

三浦メモに対するreply

先日投稿した「『トランス女性は女性である』という主張は何を意味しているのか」の内容について、補足の中でも取り上げた哲学者の三浦俊彦から反応をいただきました(「【8月20日討論会】のためのメモ」項目4)。
 まず、「トランス女性は女性である」という主張に対して「トランス女性は女性でない」と反論する人々に対して私が行った批判を振り返っておきましょう。私の考えでは、「トランス女性は女性である」という主張

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「トランス女性は女性である」という主張は何を意味しているのか

「トランス女性は女性である」という主張は何を意味しているのか

 トランス女性が女性スペース(トイレや公衆浴場など)を利用する権利をめぐる対立の中で、トランス権利拡大派による「トランス女性は女性である」という主張に対し、「トランス女性は男性である」もしくは「トランス女性は(狭義の)女性ではない」と主張することで反論しようとする動きがあります。昨日(8/13)行われたzoom討論会「トランス差別を考える」の中でも、経済学者の森田成也が「トランス女性は事実として男

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【書きおこし】清水晶子「学問の自由とキャンセル・カルチャー」

 twitterで話題になっている清水晶子の講演「学問の自由とキャンセル・カルチャー」の書きおこしを作りました。講演内容の検討に役立てていただければと思います。私自身の見解については、後日またnoteに別の記事を書きたいと思っています(書きました)。
 かなり長いので、内容に応じて小見出しをつけました。区切り方が不適切な点や、その他お気づきの点があれば、ご指摘いただければと思います。

質疑応答の

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