2022年に読んで面白かった本 5冊

 去年読んだ地理(地学)や歴史の本でおすすめの物を。

藤岡換太郎『海はどうしてできたのか』、講談社ブルーバックス、2013

 山・海・川の成り立ちについて書いた三部作の2作目なのだが、個人的にはこれが一番面白く感じた。表題の問いには「雨が降って水が集まれば海ができる」と簡単に答えられそうだが、そうではない。海から見た地球史という感じの本で、すごくわくわくした。

小川真如『日本のコメ問題-5つの転換点と迫りくる最大の危機 』、中公新書、2022

 近現代日本の抱えてきたコメ問題について、時系列順にたどっていく。食生活の多様化は大正時代から始まっていたとか、戦後のコメ不足は植民地の喪失に由来するもので高度経済成長期の途中まで解決されなかったとか、あいまいに理解していた部分が正されて勉強になった。


藤原辰史『給食の歴史』、岩波新書、2018

 明治以降の日本を中心に、貧困対策として発展してきた給食の歴史をまとめる。筆者のライターとしての筆力が高く、読み物として楽しい。給食についての思い出の聞き取りも多く紹介される。同じ著者の『トラクターの世界史』(中公新書、2017)も好著。

家永真幸『中国パンダ外交史』、講談社選書メチエ、2022

 『パンダ外交』(メディアファクトリー新書、2011)の増補版。日中共同声明や日中平和友好条約の締結に際して日本にパンダが送られたことは知っていたのだが、戦中の対米政策にまでパンダが活用されていたというのは驚きだった。

山本健『ヨーロッパ冷戦史』、ちくま新書、2021

ウクライナ侵攻に関連して読んだ本の中ではこれが一番面白かった。かなりマニアックな本だと思うのだが、筆者の整理がうまくよみやすい。EC・EUと冷戦の関係とかもよくわかっていなかったので、勉強になった。

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