まもるンち

お話を書くことが大好きです。カクヨムでも他の作品を連載中。そちらもご一読いただけたらと…

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お話を書くことが大好きです。カクヨムでも他の作品を連載中。そちらもご一読いただけたらとてもとても嬉しいです。→X(Twitter)のリンクから飛べます。 ※無断転載はお断わりしています。

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固定された記事

恐怖の手触りをさぐる ~このコンテンツの主旨について~

(※以下、あらすじに該当する序文)怖い話が好きだ。 人に聞かせるのも、人から聞くのも好き。 ホラー小説もホラーマンガも読む。ホラー映画も観る。 では怖がるのが好き…

まもるンち
6か月前
171

いつも読んでいただいている皆さんへ【報告】

本当にありがとうございます。 本格的に投稿を始めて数か月ですが、 最初はリアクションもまったくされず、 誰も読んでくれないまま粛々と投稿を続けてゆくんだろうなあ、…

まもるンち
2週間前
69

新たな恐怖の手触り

〈恐怖の手触り〉の正体がわかった。 それがこの連載を終えようと思った理由の一つだ。 だけど、もう一つある。 身体の不調だ。 ここ最近、顕著に、実に顕著に現れている。…

まもるンち
4週間前
58

〈おもしろさ〉の正体とは?

では反対に、〈わかった!〉ということ。 僕は、おもしろい話にはある程度、 常にこの〈わかった!〉がつきまとっていると考えている。 エンタメ要素の強い映画やマンガ・…

まもるンち
1か月前
55

〈恐怖の手触り〉の正体とは?

足元のグラグラ感。 不安定さ、ともいえる。頼りなさともいえるか。 つまりそれが、僕にとっての恐怖の手触りである。 僕がこれまで書いた、 というか聞いた話には大きな…

まもるンち
1か月前
37

lullaby その5

ドアを閉めているから聴こえないのではない。 確かに泣き止んでいる。 そして。 違う音が聴こえる。 違う声が聴こえる。 懐かしいメロディーが。 RとWさんしか知らない…

まもるンち
1か月前
45

lullaby その4

『覚悟していたこととはいえ、 彼の落ち込みは相当なものだったようです』 食事の量も減り、Rはげっそりと痩せた。 「しばらくウチに預けたらどう」 Rの母親はそう言…

まもるンち
1か月前
30

lullaby その3

『そうならないように二人とも気を付けていたんです。 ……でも』 その夜に限っては、 Wさんが愛しすぎたようだ。 愛し合っているからこそ避妊は徹底していた。 しかしそ…

まもるンち
1か月前
32

lullaby その2

Rはしばらくののち、 初めてのオリジナルソングを書くことになる。 “LOVE SONG”が何とか弾けるようになり、 自信をつけた彼は無謀にも作曲にチャレンジしたのだ。 たっ…

まもるンち
1か月前
48

lullaby その1

『それは彼が、生まれて初めて書いたオリジナルソングなんです』 Rは十七歳でギターを買った。 それまで楽器など弾いたこともない。 音楽的なセンスがあったわけでもない…

まもるンち
1か月前
66

見ててくれ その2

A君はオフィスの方を振り返ろうとして、やめた。 どうせ自分にしか見えていないのだ。 男はA君と目が合っている。 確実に、 男はA君が自分に気づいていることを認識し…

まもるンち
1か月前
29

見ててくれ その1

僕の周りに、自称〈見える人〉というのが何人かいる。 A君もその一人だ。 A君はいわゆる引き寄せ体質の持ち主で、 選ぶ遊び場、お気に入りの居酒屋、職場なども、 わり…

まもるンち
1か月前
26

山妖

僕の父は四国出身だ。 今より何十年も前、父がまだ少年だった頃は、 父の住む漁村はもはや隔離された感もある“超田舎”だった。 前は海。後ろは山。 その山を大きく隔て…

まもるンち
1か月前
39

押し入れ

D君の部屋の押し入れは、 夜11時ちょうどから五分間、開かなくなる。 戸は微動だにしないのではなく、 ちょうど誰かが向こうから押さえているくらいの抵抗で動かないのだ…

まもるンち
1か月前
32

何のために、の家 その3

東西南北すべての面に大きなサッシがあり、 外に出られる。 そこも妙だった。 四人は靴を脱ぎ、廊下に上がった。 すぐにふすまがある。 G君はずかずか進み、ふすまを開け…

まもるンち
1か月前
24

何のために、の家 その2

彼女が大学生の頃の話。 Eさんは合コンドライブのようなものに赴いた。 女の子はEさんともう一人Yさん。 そしてメンズが二人。 同じサークルのメンバーだ。 Yさんとは…

まもるンち
1か月前
28
恐怖の手触りをさぐる ~このコンテンツの主旨について~

恐怖の手触りをさぐる ~このコンテンツの主旨について~

(※以下、あらすじに該当する序文)怖い話が好きだ。

人に聞かせるのも、人から聞くのも好き。
ホラー小説もホラーマンガも読む。ホラー映画も観る。
では怖がるのが好きかというと、別にそうでもない。
僕はものすごく怖がりだ。
だからこそ、恐怖という感情の正体を暴いてしまいたいのかもしれない。

恐怖の正体を知りたい。
だから少しでも多くの恐怖に触れるため、色々な人から話を聞いた。
その人自身が経験した

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いつも読んでいただいている皆さんへ【報告】

いつも読んでいただいている皆さんへ【報告】

本当にありがとうございます。

本格的に投稿を始めて数か月ですが、
最初はリアクションもまったくされず、
誰も読んでくれないまま粛々と投稿を続けてゆくんだろうなあ、
でもまあそれもいっか、と思っていました。

それが、
あるときnoterの山門文治さんが「狛犬」というお話をご自身のnoteで紹介してくださり、
それがきっかけでぐぐぐぐ、とフォロワーさんが増えました。
やはり読んでもらうというのは嬉

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新たな恐怖の手触り

新たな恐怖の手触り

〈恐怖の手触り〉の正体がわかった。
それがこの連載を終えようと思った理由の一つだ。
だけど、もう一つある。
身体の不調だ。
ここ最近、顕著に、実に顕著に現れている。

以前、『オニ』という話をアップした。
その作中においても、
記事を書いたことによってかよらずか、
ケガや身体の不調に見舞われていると書いた。

実は、それがまた来ている。

どこにどういう症状が現れているか、
ということはあえて伏せ

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〈おもしろさ〉の正体とは?

〈おもしろさ〉の正体とは?

では反対に、〈わかった!〉ということ。
僕は、おもしろい話にはある程度、
常にこの〈わかった!〉がつきまとっていると考えている。
エンタメ要素の強い映画やマンガ・アニメなどは、

〈スムーズにわからせること〉

にいつもしのぎを削っている。

例えば小説の新人賞などは、
冒頭の2~3ページまでで主人公のセリフや語りが無い作品は、
無条件で落選させられるという話を聞いたことがある。

主人公が何を求

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〈恐怖の手触り〉の正体とは?

〈恐怖の手触り〉の正体とは?

足元のグラグラ感。
不安定さ、ともいえる。頼りなさともいえるか。
つまりそれが、僕にとっての恐怖の手触りである。

僕がこれまで書いた、
というか聞いた話には大きなオチというか、

「で、結局どうなったの? 何だったの?」

というところまで描かれていないことも多くある。
もちろん、

「何の因果でこんなひどい目にあったのかわからない」

という話を多く聞いたので、
自然とそういう形になってしまっ

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lullaby その5

lullaby その5

ドアを閉めているから聴こえないのではない。
確かに泣き止んでいる。

そして。

違う音が聴こえる。
違う声が聴こえる。
懐かしいメロディーが。
RとWさんしか知らないはずのメロディーが。
誰かが歌っている。

思わず哺乳瓶を取り落した。
幻聴かと疑った。
俺はこんなにこっぴどくアルコールにやられたのか、と。
だが、違った。
確かに聴こえる。
生まれてはじめて書いたオリジナルソングが。
その歌は、

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lullaby その4

lullaby その4

『覚悟していたこととはいえ、
彼の落ち込みは相当なものだったようです』

食事の量も減り、Rはげっそりと痩せた。

「しばらくウチに預けたらどう」

Rの母親はそう言った。
だが彼は断った。
昼間はずっと母親が赤ん坊を見に来てくれていたが、
夜、仕事が終わると必ず引き取ってアパートに帰った。

Wさんと二人で育てると誓ったのだ。
彼女が命を懸けて産んだ赤ん坊なのだ。
どんなに苦労しても、
必ず自分

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lullaby その3

lullaby その3

『そうならないように二人とも気を付けていたんです。
……でも』

その夜に限っては、
Wさんが愛しすぎたようだ。
愛し合っているからこそ避妊は徹底していた。
しかしその夜だけは、
たかだか0.03ミリの化学物質に互いの体温をほんの少しでも奪われたくはなかった。
それほどまでに、美しすぎる夜だったのだ。
その日は、Wさんの誕生日だった。

「俺と結婚してほしい」

Rは言った。
もし子供ができていな

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lullaby その2

lullaby その2

Rはしばらくののち、
初めてのオリジナルソングを書くことになる。
“LOVE SONG”が何とか弾けるようになり、
自信をつけた彼は無謀にも作曲にチャレンジしたのだ。

たった一曲しか弾けないのにオリジナルなんて大丈夫?
そうWさんは聞いたが、
Rは自信満々だった。
もうメロディーは思いついている、とのこと。

それから三日後。
彼は一枚のルーズリーフをWさんに見せた。
歌詞だった。
詞の一行上に

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lullaby その1

lullaby その1

『それは彼が、生まれて初めて書いたオリジナルソングなんです』

Rは十七歳でギターを買った。
それまで楽器など弾いたこともない。
音楽的なセンスがあったわけでもない。
そんな彼がギターを買った理由は一つ。
彼の幼馴染であり、また初恋の相手であり、
フォークデュオでボーカルとして歌ってみたいというWさんがそう望んだからだ。

WさんとRは仲が良かった。
幼馴染といって、
思春期の訪れとともにヘンに意

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見ててくれ その2

見ててくれ その2

A君はオフィスの方を振り返ろうとして、やめた。
どうせ自分にしか見えていないのだ。

男はA君と目が合っている。
確実に、
男はA君が自分に気づいていることを認識していた。
男の口がぱくぱく、とかすかに動く。

「……え?」

A君が問うと、今度はなぜか、
かすかにだが男の声が聞こえた。ように思えた。

「――み・て・て・く・れ?」

瞬間、男は足場からダイブした。
A君が思わず息を呑んだ。
――

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見ててくれ その1

見ててくれ その1

僕の周りに、自称〈見える人〉というのが何人かいる。
A君もその一人だ。

A君はいわゆる引き寄せ体質の持ち主で、
選ぶ遊び場、お気に入りの居酒屋、職場なども、
わりと高い確率で「一人は」見えるという。
見えるといっても、
はっきりと人の形をしていないことの方が圧倒的多数だ。
その多くは、嫌な感じを覚えるモヤのような姿だという。

それでも決していい気はしないし、
そうそういつも相手をしていられない

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山妖

山妖

僕の父は四国出身だ。

今より何十年も前、父がまだ少年だった頃は、
父の住む漁村はもはや隔離された感もある“超田舎”だった。
前は海。後ろは山。
その山を大きく隔てて隣町がある。
今はその山のど真ん中に大きなトンネルが掘られて、
かつて隔離されていた村は、
“次の町までの通路”みたいな扱いになっている。
もちろんアクセスは楽になった。
村の人は喜んでいるようだ。

子どもの頃は、
夏になると田舎に

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押し入れ

押し入れ

D君の部屋の押し入れは、
夜11時ちょうどから五分間、開かなくなる。

戸は微動だにしないのではなく、
ちょうど誰かが向こうから押さえているくらいの抵抗で動かないのだ。

5分経つと、すっと戸は動くようになる。

もちろん押し入れの中には誰もいない。

何のために、の家 その3

何のために、の家 その3

東西南北すべての面に大きなサッシがあり、
外に出られる。
そこも妙だった。

四人は靴を脱ぎ、廊下に上がった。
すぐにふすまがある。
G君はずかずか進み、ふすまを開けた。
と、中は四畳半の和室。
壁はなく、隣室とはまたふすまで仕切られている。
家具は一つもない。

「すごい。壁が全部ふすまなんて見たことねえよ」

S君がつぶやきを漏らした。

「俺、左から行くわ。S、お前は右から行けよ」

「OK

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何のために、の家 その2

何のために、の家 その2

彼女が大学生の頃の話。
Eさんは合コンドライブのようなものに赴いた。

女の子はEさんともう一人Yさん。
そしてメンズが二人。
同じサークルのメンバーだ。
Yさんとは仲が良かったが、
メンズとはほとんど面識がなかった。
だからこそのドキドキがEさんには心地よかった。

向かった先は信州。
町からもそう遠くない山。
近くにキャンプ場のような場所もペンションもある、
割合にメジャーなところだったはずだ

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