Take-15:映画『オットーという男(2022)』は面白かったのか?──「おせっかい」と「本当の優しさ」の絶妙な境界線とは──
【キャッチコピー】
『町内イチの嫌われ者。だけど……好きにならずにいられない』
【作品の舞台】
アメリカ、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外。
フレドリック・バックマンによる原作小説の舞台はスウェーデンの首都ストックホルムの住宅街。
また『オットーという男』の前に映画化された『幸せなひとりぼっち』は、より閉鎖的なコミュニティにしたいという監督の意向で、より郊外にある団地という舞台設定になっている。
[原題]『A Man Called Otto』
『オットーという男』──まんまの邦題ですねw
オットーはゲルマン系の男性名、姓。フランス語形ではオトン、イタリア語形ではオットーネ。
また「otto」はイタリア語で数字の「8」の意味もあり縁起のいい数字ともされてます。『TENET』のように回文名前ですが他にも何か込められた意味や思いがあるんですかね……?
さて皆様、よき映画ライフをお過ごしでしょうか? N市の野良猫ペイザンヌです。
「孤独のスペシャリスト」であるこのボクでも、たまには朝起きて「死にてぇな」と30%くらい思うことだってあります。
ん〜、どうせ死ぬならこの映画を観てからにするか──と思いましたが、良い中身の作品だったので引き止められました(いや半分は冗談なんでご心配なく…)
本作の主人公もそんな感じで、亡き妻の後を追い、自殺を決意します。
首吊り、車内でガス自殺、電車へ飛び込み、しまいには猟銃まで──
しかし、いざという時いつも隣人の訪問や玄関先の違法駐車などが気になったり“邪魔”が入ったりで、なかなか死ねない、この“オットーという男”。
ゴミは分別されてるか? 自転車の無断駐車はないか?──など無愛想な顔で道行く人に注意してまわる、いわゆる“パトロールおじさん”ですな。
どこか厭世的で人生に嫌気がさしてるような彼の隣家にとある夫婦が引っ越してくるのだが……
多少ベタなれどやけに纏わりつく心地よさのある作品だったね〜
やはりトム・ハンクスの安心感はあるね。どれだけ偏屈で悪ぶってみても優しさがどうしても滲み出てしまうところが今回の役にピタリとハマるというか🙄
考えてみるといまだ彼が完全な悪役やヴィランに徹した作品っていまだないんよね……いよいよ「良き隣人」、現代のジェームス・スチュワートのような風格が出てきたな〜と。
ただ昨年の『ピノキオ(2022)』のゼペット役や『エルヴィス(2022)』のマネージャー役など第43回ゴールデンラズベリー賞、俗に言うラジー賞で最低助演男優賞とスクリーンカップル賞の二冠を果たしてしまうというご愛嬌もあり、ここのところ世間の風当たりが強いのも確かなのだが……
まあ何といっても今回は彼の息子のトルーマン・ハンクスとの共演。若き日の主人公に急遽抜擢されたらしく、実は本職は俳優ではないとのこと。
ややふっくらしてトム・ハンクスの若い頃に似てる……かといえばチト微妙ですが、劇中で主人公が青年期から中年期に移り変わる時、「あれ、いつ入れ替わったんだ?」みたいな瞬間もあったりも。さすがは親子w
駅のホームでベンチに座る後ろ姿など、確かに一瞬『フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)』のトム・ハンクスみたいな雰囲気にも見えたり。
正直ラスト近くになってくると「ちょっと長いような……」とも思えたかな。終わりかけで引っ張りすぎてる気もしますね。
まあこれは個人的な好みですが、もっと「起承転結」の「結」はサラッと締めてくれる方が好きであります。
監督はジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレットが主演した『ネバーランド(2004)』や、ユアン・マクレガー主演『プーと大人になったぼく(2018)』などを撮ったマーク・フォスター。
脚本のデヴィッド・マギーという方は『メリー・ポピンズ・リターンズ(2018)』や今年の夏に公開された実写版『リトルマーメイド(2023)』も書かれてる方ですね。
二人ともやや甘ったる過ぎるほどの優しい映画を作る人だなぁ──みたいなイメージボクにはありますが、決して嫌いじゃなく、たまにはそういう映画を観たくなる時も当然あるわけで。
ベストセラー小説の映画化で『オットー』より先に公開された元ネタ映画はこちら『幸せなひとりぼっち』ですが、ハリウッドでリメイクされるとやや質が落ちる……みたいなイメージがどうしても拭えませんがハタシテ作品的にはどっちが良いのでしょうか?
──と、これをアップする直前に急遽、観てみました。結果的には…
「やっぱ一応元ネタの映画は観とくか🙄」と……思っただけだったのに😅
なぜか只今絶賛ガン泣き中😭
((༎ຶ ෴ ༎ຶ)ナンデヤネン…コンナツモリジャ……
いや、想定外でした。ビックリしましたね。
🙄ストーリーはほぼ変わらないのに、なぜか「『オットーという男』の十倍くらい泣けちゃったよ、おい!」という映画マジック……😅
いざこうしてオリジナルと観比べてみると──
トム・ハンクスって、やっぱ若く見え過ぎなのかな……とも思っちゃいましたが、主人公の年齢設定は59歳だそうで、実はこっちの方が見た目的には近いのかも😅
『幸せなひとりぼっち』の俳優さん(ロルフ・ラッスゴー)が老けて見えただけらしいというw
また有名過ぎるのというのもあり、トム・ハンクスはどうやってもトム・ハンクスに見えちゃうのがかえってネックなのかも。
一方、オリジナル『幸せなひとりぼっち』は知らない俳優さんが演じてたので、より「隣のお爺ちゃん」みたいな感じでリアリティが増したせいかもしれません。
しかも先述した『オットーという男』で「終わりかけがちょっと長く感じた」てのもオリジナルの方では感じなかったんですよね。
🙄フシギ……
主人公はなぜパトロールおじさんになったのか?
なぜ誰にでもあんな風にうるさく注意して周るのか? 特に車の侵入禁止や無断駐車、「違反ごと」を嫌い「ルール」を守らせようとするのか?
そしてなぜ隣の奥さんの車の講習役などを引き受けたのか?──などなど。
今回、この「なぜ?」にもようやく気付けたというか。「ああ、そういうことなのね!」と。
実はこのストーリー構成『きみに読む物語(2004)』とよく似てるんですよね。こちら、「泣ける映画」として有名ですが、個人的には正直『きみに読む…』より本作の方がブッ刺さってしまいましたね🥹
最後に──
リメイク、オリジナル、どちらにせよこの映画で最も強く感じたのは「おせっかい」と「本当の優しさ」の絶妙な境界線でしたね。
正直、この『オットーという男』を最初に観たとき、なぜこれがベストセラーになったのか、少しわからなかったんですよ🙄
今回、改めてオリジナルの『幸せなひとりぼっち』を観て──つまり、この物語全体を二周観てみて──ようやくわかったというか。
観客は主人公オットーの深刻な悩みや自殺願望、そして過去を見て知ってますが、隣家の奥さんはそのことを知らないわけですよね。だから決して「同情」で世話を焼いてるわけじゃない。本気で歩み寄ろうとしているのね。
時に強引なくらいの「おせっかい」が、表裏のない優しさが──固く閉ざされた心を開くこともある。
隣人たちと、やいのやいの言い争いながら喧嘩の合間に見せるそんな行間を感じた時、なぜこの物語がベストセラーとなったのか少しわかった気がしましたね。
どうせ死ぬのなら、それらの気持ちに全て応えてからでも遅くはないのです。そうやってるうちに人間なんて、まあ、ほっといてもいつか勝手に──必ず死ぬんですから。
そういえばこの『オットーという男』。
映画館で入場の際、受付けでチケットをお姉さんに見せる時、つい落としちゃったんですが……
「はい、え〜『オットーという男』ですね、あちら9番スクリーン……」
「お、おーっとぉ!(あ……やべ言っちゃったよ)」
……と、口に出てしまい、なんか少し引かれた気がする。
( ゚д゚) シラ~… Σ(゚Д゚)ゲッ!!
いや、作ってないすよ! ホ、ホントにそのタイミングで落としたんす! つい口に出ちゃったんです! ハナシ盛るんならこんなつまらんネタは書かないものww
(-_-;)
裏で「オーットという男」とアダ名を付けられてるかもしれんね……😅
では、また次回に!
[原作]『幸せなひとりぼっち』
フレドリック・バックマン著