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民族紛争の当事者になる「タクティクスオウガ リボーン」

※「タクティクスオウガ リボーン」と「ユニコーンオーバーロード」のネタバレを含みます※

3作立て続けにシミュレーションRPGをやってます。
「ファイアーエムブレム 風花雪月」(以下、風花雪月)
「ユニコーンオーバーロード」(以下、ユニコーン)
「タクティクスオウガ リボーン」(以下、オウガ)

ストーリーでいえば、オウガが好みですが、ゲームシステム的にはユニコーンが好きです。風花雪月はそれぞれの中間くらい。

オウガは昔のゲームのリメイクなので、最近のゲームに比べるとややバトルの難易度が高い印象です。ストーリーをカジュアルに楽しみたい人のための難易度設定がないですし、ストーリーの段階ごとにレベル上限があるので、レベルを上げたゴリ押しプレイもできません。風花雪月などにもある、プレイをやり直せる「巻き戻し機能」などが追加されているので、リメイク前よりは簡単になっているようです。

ストーリーは、民族紛争なので重いです。でも、良い。ユニコーンが、王道の騎士道ファンタジーだとしたら、オウガは、権謀術数うごめく民族紛争の複雑さを描いた物語といえるでしょうか。

両作では、主人公はともに敵軍の圧政から民を助ける解放軍的な立ち位置なのですが、その描かれ方は対照的でした(主人公の身分や境遇は違いますが)。

ユニコーンでは、解放軍と名乗ると、民から「よくぞ来てくれました」的な歓迎を受けます。しかし、オウガでは「英雄気取りか?」「お前らがいなければ平和で暮らせたのに」などと罵られます。ユニコーンは、主人公は正義・敵は悪、のわかりやすい構図で進むのですが、オウガでは常に正義と悪が揺らぎます。しかも、主人公の選択次第でストーリーが分岐し、物語やキャラクターの運命が変わってしまうのです。重いな!

ユニコーンでも、揺らぎの場面はあります。例えば、疫病が流行した町を管理・統率する自警団の話です。疫病が町の外まで蔓延しないように、住民は町の外に出ることは許されません。死ぬ前に家族に会いたいと思って町を出ようとする住民を、自警団は心を鬼にして殺してしまいます。
しかし、実は疫病を流行させたのは敵国であるらしいことがわかり、ここでも敵国=悪、という構図は継続されます。

一方、オウガでは選択肢が本当に極端です。「(仲間である)村の住民を全員殺せ」と言われて、「は?」となるのですが、「それを敵国がやったと見せかけることで、戦争を有利に運べる」というのです。
理想を求めるのか、それとも別の何かを追い求めるのか…という価値観の揺さぶられ方は「Detroit: Become Human」にも似ているなと思いました。どの選択肢が正解なのか、全然わからない感じ。こちらは、アンドロイドと人間との争いでしたが。

そして、オウガは各チャプターのタイトルがとっても良いです。
チャプター1
・僕にその手を汚せというのか
チャプター2
・誰も僕を責めることはできない
・思い通りにいかないのが世の中なんて割り切りたくないから
チャプター3
・駆り立てるのは野心と欲望、横たわるのは犬と豚

などなど。チャプター4もありますし、ストーリー分岐で変わるものもありますが、これらはグッときました。1995年にプレイしてたら、人生に大きな影響を与えられていたかもしれません。

プレイしていると、イランとイスラエルの紛争がシンクロしてきます。ゲームは能動的に操作するものなので、自分事として考える度の高いメディアといえそうです。ゲームはすごいですね。そんなことを考えました。

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