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おうちで学者になる方法

前回は、大学院進学を諦めきれない私が必死に探し回った「社会人で大学院に行く方法」を書きました。

https://note.com/p1834_/n/n9cf3ea3049a6

しかし、大学図書館で働き始めてから気づいたことがあります。

大学院に行かなくても、研究は続けられる!

しかし、いざ研究をするとなると出てくる問題はたくさんありますよね。その筆頭が、読みたい本や論文をどう調達するかだと思います。

そこで今回は、大学院に行かずひとりで研究を続ける、名付けて「おうちで学者になる」ときに出てくるこの問題を、1. 図書館 2. 論文 に分けて解決しちゃいます。

1. 図書館問題

研究をするために、まず必要なのは本。普通の公共図書館には、研究で必要な本は少ないですよね。

この貢は、①大学図書館の利用 ②公共図書館の利用 の順で進んでいきたいと思います。

【①大学図書館の利用】
関係者以外は利用できないと思われがちな大学図書館ですが、実は国公立大学の図書館なら、利用手続きを踏めば使えることもあります。(手続きについては、各大学のホームページをご覧下さい。)

ただし注意したいのが、その大学にしかない資料を見たい場合のみ、入館が許可されるということ。この条件は、実はどこかの大学に所属する大学院生・教職員でも同じです。

私立大学の図書館利用は、国公立に比べて難易度がぐっと上がります。しかし、最寄りの公共図書館を通して、資料を貸し出してくれることもありますよ。この場合は最寄りの公共図書館のカウンターに相談し、そこの司書さんが公式で大学にお願いをするという手順を踏みます。図書館や大学によって対応は変わりますが、それでも、どうしても読みたい本があるなら試してみる価値アリでしょう。

注意点は、やはりよそで手に入らない資料のみの対応になること。お願いする前に、古本屋やフリマサイトで調べてみた方がいいかもしれません。(これらの上手な使い方は、今後記事にする予定です。)
そして、送料は往復自己負担になるということ。大きさや地域によって変わりますが、大体2000円くらいかかります。ですが、これも院生・非常勤講師が大学内でよその資料を取り寄せる時と、条件は同じです。

【②公共図書館】
大きな図書館に行けば、あなたの悩みの80%くらいは解決するかもしれません。

まずは言わずもがな、国立国会図書館。この図書館には、日本で発行されたすべての本が揃っています。利用には登録が必要なので要注意。また、貸出はできません。(コピーはOK。)

そして関東圏なら、東京都立図書館もおすすめ。私はここの常連ですが、95%くらいの確率で欲しい本があります。国会図書館と同じく貸出はできませんが、登録などは必要ありません。

地方でも、資料が豊富に揃う県営の図書館はありますよね。たとえそこにお目当ての資料がなくても、大きな図書館はやはり優秀です。本のプロが揃っている場所なので、なんでも聞いてみてください。この資料が見たい、という要望や、こういうことを調べたいけどやり方が分からない……という悩みまで、親身になって解決に導いてくれるでしょう。

1. 図書館問題 まとめ
・手続きを踏めば、国公立大学の図書館も利用できる
・ただし「そこでしか持っていない資料」を見たい場合のみ
・送料は自己負担だが、公共図書館を通して大学図書館の蔵書を取り寄せられる可能性もある

2. 論文問題

先行研究を調べるのに、論文を読む必要があります。大学以外では縁のなさそうな「論文」ですが実は、案外簡単に手に入るのです。ここでは ①オンライン ②図書館 という2つの手段で論文を手に入れる方法をお伝えします。

【①オンラインで手に入れる方法】
論文は、オンライン上で無料で読めることがあります。

特に、「○○大学紀要」(例:立教大学観光学部紀要)という雑誌は、比較的新しめの巻号ならオンラインでも公開されていることがほとんど。Googleで「○○大学 リポジトリ」と検索してみてくださいね。リポジトリとは、情報が保管されているデータベースのこと。このリポジトリの中に、紀要も収められています。

参考までに、立教大学リポジトリのリンクを貼っておきます。

また、J-STAGEも強い味方。このサイトでも、たくさんの論文を無料で読むことができます。

このように、論文は無料で読めることも多いのです。「意外と手に入りやすいな」と思っていただけたら嬉しく思います。

さて、それでも手に入らない物もあるでしょう。そんな時は、やっぱり図書館の出番です。


【② 図書館で手に入れる方法】

欲しい論文が見つかったら、まずは最寄りの大きめの図書館(県営の図書館など)の蔵書検索で検索してみましょう。「○○図書館 蔵書検索」などで検索すれば出てくると思います。

なぜ大きめの図書館かというと、市立の図書館だと館にもよりますが、論文を収録している雑誌の所蔵がないことがほとんどだからです。

ここでの注意は、論文タイトルをそのまま入れないこと。収録雑誌名で検索しないとヒットしません。

図書館にあれば、現地でコピーすれば任務完了です。もし所蔵がない場合は図書館スタッフに相談するか、先ほど登場した国立国会図書館遠隔複写サービスがあります。こちらはコピー料金と送料がかかりますが、欲しい論文をコピーして自宅まで送ってくれる、大変便利なサービスです。

ちなみに、大学に所属する大学院生や教員も、読みたい論文がオンライン上や大学にない場合は遠隔複写を利用します。その場合は「大学を通して他の大学にお願いする」ことが多いので国会図書館よりは安いですが、さほど変わりません。条件はほぼ同じです。

利用者登録の必要がありますが、登録は無料です。とりあえず登録してみるだけでも「おうちで学者になる」ための第一歩になりますよ!

なお、論文の探し方の手引きなどは、また別の記事にまとめたいと思っています。

2. 論文問題 まとめ
・論文はオンライン上で無料で読めることがある
・図書館のOPACでは、収録雑誌名で検索する
・国立国会図書館の遠隔複写サービスもある

まとめ

「おうちで学者」になれそう!と、思っていただけましたか。大学に所属するメリットはたくさんありますが、本や論文を探す、という点では、実は条件に大差はありません。研究は、大学に所属している人だけの特権ではないのです。誰でもおうちで、気軽に楽しくできるものです!

この記事が、社会人になっても研究を続けたい!という情熱を抱えているあなたの助けになりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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