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それでも私は大学院に行きたい

経済的な理由で一度は大学院進学を諦めたけど、やっぱり諦めきれない。何とかして進学する方法はないかと、日々頭を悩ませています。同じような方、いらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事は、私が調べに調べまくって見つけた「社会人になってから大学院に行く手段」をまとめた忘備録のようなものです。実際に体験したことではありませんが、きっと同じ境遇の方の役に立つでしょう。

なお今回は、奨学金という手段は外しています。なぜなら、奨学金が確実に頂けるかは分からないからです。給付型奨学金の多くは申請に合格証明書が必要ですよね。大学院には合格したのに、奨学金審査に落ちたから入学を諦めることになった……では悲しすぎます。

それでは「社会人になってから大学院に行く手段」を4つ、順を追ってご紹介します。

1. 働いてお金を貯めてから入学する

まずは誰でも思いつくような選択肢から。メリットは、なんの心配もせずに学問に没頭できること。2年間の学費と生活費、その他必要経費を貯めておけば、大学院生にありがちな貧乏生活とは無縁でいられます。お金の余裕は心の余裕です。

しかしデメリットは、時間がかかること。国立の大学院の学費は年間54万円、私立だと100万円近く必要です。入学金なども合わせると、実家暮らしで月10万円貯めるとしても約3年以上はかかります。そのため、必然的に社会人経験が長くなってしまうでしょう。それまで待てないというのもありますが、将来同級生となる人たちと年齢が離れてしまうという問題もあります。もちろん、社会人になって大学院に入学することは素晴らしいことですが、引け目を感じてしまう人もいるでしょう。

方法1:働いてお金を貯めてから入学する
メリット:学問に没頭できる
デメリット:時間がかかる、同級生と年齢が離れてしまう

2. 通信制の大学院に通う

メリットは、働きながら学べるということ。オンライン学習が基本で年に数回スクーリング、という学校が多いため、普通に通学するより自由度は高いです。また、仕事終わりに勉強することができるため、会社に手続きを出したりなどの事務的な作業は必要ない可能性が高いでしょう。さらに、このような形で大学院に通う人は働いている人が多く、様々な職業・年代の人と関わりを持つことができます。授業での議論が、あなたの世界をぐっと広げること間違いなし。

デメリットは、選べる大学院・研究科が少ないということ。同じく通信制でも、大学(学士)のコースより数がとても少ないです。さらに、学部も経済系や法学系は豊富にあるものの、その他の分野はかなり限られているように感じます。特に、仕事に直結しにくい文学部系の分野は探すのがかなり難しいと思いました。仕事をしながら大学院に通おうと考える人は、学んだことをそのまま仕事に役立てようとする人が多い、という背景が関係しているのでしょう。

また、オンライン授業のため、友達はできにくいかも知れません。休み時間や移動時間など、ちょっとした空き時間が存在しないので仕方ありませんが……。

方法2:通信制大学院に通う
メリット:働きながら学べる、会社に言わなくても大丈夫(の可能性が高い)、幅広い職業や年代の人と関わりを持てる
デメリット:選べる大学院や専攻が少ない、友達ができにくい

3. 長期履修制度を活用する

近年、長期履修制度を導入している大学院が増えてきています。この制度を使えば、2年間の学費で2年以上在籍できるのが最大のメリット。働きながら、修士号を手に入れられます。デメリットは、仕事と折り合いをつける必要があるところ。長期履修生は普通の大学院生と同じようにお昼に授業を受けるため、働き方改革や周りの理解と協力が欠かせません。

また、文学部系の人は苦労しそうな雰囲気です。経験者のブログを覗いてみても、仕事に直結しそうな分野を学ぶ方が多く、文学部系の方で「長期履修します!」という方にはなかなかお目にかかれませんでした。文学部系の人は、大学院での学びがいかに仕事に役立つかを、しっかり会社にアピールして交渉する必要があるのかもしれません。

方法3:長期履修制度を利用する
メリット:その名の通り「長期履修」で無理なく学べる、働きながら学べる
デメリット:仕事と折り合いをつける必要がある、仕事に直結しにくい分野の人は工夫が必要かもしれない

4. 学費の安い国の大学院に行く

日本よりも学費が安い国はたくさんあります。私がまだ欧米圏の大学院しか調べていないので情報が少ないですが、例えばフランスの大学院は1年間で約48万円ですし、ドイツに至っては留学生でも学費が無料です。日本に比べて格安の学費で進学し、それに加えて異文化の中に身を置く貴重な経験ができます。

また、語学力が身につくのはもちろん、海外の学位を持っていると海外就職の道も開けます。将来の選択肢は確実に広がるでしょう。

デメリットは、まずは入学に必要な語学力のレベルが高いことです。加えて仕事を辞め、単身海外へ飛ぶ不安慣れない文化になじむ努力が必要など、過酷な面もたくさんあります。

方法その4:学費の安い国の大学院に行く
メリット:学費が抑えられる、語学力が身につく、異文化の中に身を置く経験ができる、海外就職など、将来の選択肢が広がる
デメリット:入学に必要な語学力のレベルが高い、仕事を辞めなくてはならない、慣れない文化になじむ努力が必要

まとめ

社会人経験を積んでから学問の世界に戻ることのメリットは何でしょうか。

ストレートでの大学院進学を諦めた私ですが、改めて感じていることが2つあります。

1つ目は、選択肢が広がったこと。

今回ご紹介したような手段は、仮にストレートで大学院に行っていたら、全く縁のない手段でした。おそらく知りもしなかったでしょう。

必死に調べた中で見つけたのは、一口に「大学院で学ぶ」と行っても色々な方法があるということ。ストレート進学だけが道ではないのです。最近は会社員という身分でも多様な働き方があるように、大学院生にも多様な学び方がある事実に励まされました。

2つ目は、社会人経験を積んだことで、今後学びたいことが変わってきたこと。

私の例になりますが、学生時代は専攻していた日本史が大好きでした。そのまま大学院でもっと日本史の研究をしたいと望んでいましたがそれは叶わず、現在は大学図書館で働いています。

しかし図書館で働き始めたことで、図書館資料や文化財の保護についても興味を抱くようになりました。もともと好きだった日本史に、少し違う視点で触れたいと思うようになったのです。このように、社会に出ることで得た新たな体験から、自分の興味が深まることもあります。

どんな体験にも無駄はないのですね。また今回調べていて、本気でやり方を探したら案外できそうな道が見つかるものだと実感しました。

この記事が、私と同じように一度は大学院進学を諦めた方の希望になりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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☆参考文献
・アカリク
https://acaric.jp/articles/column/2891
(最終閲覧日:2022年4月4日)
・キャンパスフランス
https://www.japon.campusfrance.org/ja/faq/financer-ses-etudes-en-france
(最終閲覧日:2022年4月4日)
・DAAD日本
https://www.daad.jp/ja/study-in-germany/eight-steps-to-germany/finding-a-university/
(最終閲覧日:2022年4月4日)

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