21 坂口恭平『土になる』(読書録、2900字)
坂口恭平さんの『土になる』がおもしろい。坂口さんが二〇二〇年四月に畑を始めて、約一ヵ月が経過したところから始まる日記だ。昨日読み始めて、二・三時間かけて約四〇ページ読んだ。もともと私は本を読むスピードはかなり遅い方だと思うが、この本を読むのは輪をかけて遅いと思う。風景の描写が多い…と言い切ることも出来ず、風景と思考と人物が切り離されていない。初夏の午前中の浜辺で潮の香りと風と光と温かさと波の音と心地よさと子供たちのはしゃぐ声を明確に区別するのが難しいのと同じ意味で、坂口さん