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そらをとべないぼくたちの

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雑記/エッセイ まとめ。
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2019年7月の記事一覧

いろんなきみが見てみたいなって思ってくれたりしませんか

 
まだここで雑記を書くのに慣れないのは、話し方が定まらないから。
 

散文を書くときと詩を書くとき、Twitterで日常のことをつぶやくとき、思考を140字にしてつぶやくとき、人と話すとき、心の中だけで話をするとき、どれも話し方や口調が全然違うような気がする。
『私』と自分を呼ぶとき、音は同じでも“わたし”のときと“あたし”のときがあるみたいな感覚的なはなしでもあるし、明確に、柔らかい話し方に

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しあわせの定義なんかわかんないけど、一緒にわらおうね

遊びに行った祖母の家でね、とつぜん、祖母が聞くんです。
「今幸せですか」、って。
いきなりどうしたのって、みんな笑ったけど、おんなじくらい多分、みんな考えてて、だってね、手放しでしあわせ!って言うの、難しいでしょう。
すごい幸せだよ、とは言えないねって、幸せな瞬間もそりゃああるけど、あぁもう、ってときだってあるし、健康でね、そんなこと考えられるのも、贅沢な悩みなのかもしんないけど、でも、やっぱりわ

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あのね。

 
すきなひとたちといるときだけは、あぁもう、なににもなれなくたっていいのかもしれないと思えるのだ、だってわたしは、なにものでもなくても、きみたちのこときっと愛おしいし。
でもね、やっぱり、なにかになるためにがんばっていないと、わたしはわたしを愛せなくて、誰かに愛されることもないんじゃないかって、明け方のまちのうつくしさに思ったの、ちょうどよく必要なものだけで成り立ったまち、必要なもの、まだ選び

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かがみのまえでいたちごっこ

きみの、はだかって、なんですか。
穴の開いたスウェットを着ているときと、つやつやのワンピースを着ているときで、その曲線のなめらかさが、変わってしまったりするのですか。
ぼくには、とてもわからないのです。
(散文『ゴースト・イン・ザ・ミラー』より)

 
自分を愛していることと自分に自信がないことは矛盾しなくて、わたしはどうしたってわたしのすべてが好きだしきみに、きみたちに見ていてほしいけれど、だか

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きょうのそうびはどれにする?

 
新品のワンピースや箱の中でころがるイヤリングを見ていると、ほんと、人生ってわかんないもんだよねって思う。
そんな大層なことじゃないんだけど、だって、中学生のころのわたしは、肌の透けるレースの袖を可愛いって思ったり、顔の横でイヤリングが揺れることで心が弾んだり、レッドブラウンのリップを選んだりするような日、一生来ないと思っていた。

 
ひとって良くも悪くも変わっていく生き物らしくて、多分、い

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なんじゅっかいめの夏ですか

 
雨がやんだら、夏が来ますね。
夏、すきですか、きらいですか。
わたしはどっちでもないんですけど、夏をきらう誰かの太陽を鬱陶しがる顔とか、想像したら綺麗だねって思います。でもそんなひとは多分、季節も表情も関係なく綺麗なんだろうね。うらやましいな。

 

あんまり季節に執着も愛着も嫌悪もなくて、夏が来ること、あぁまぁ汗かくのは面倒だなぁ、とか、夏のうたが聴きたくなったりはするけど。
それでもな

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終点のまちよ、君は知らないまちのままで

 
どこかに行ってしまいたい、とおくに旅に出たい、たまにそんなふうに思ったりすることがあるし、帰り道に、“かえりたい”と、夕焼けにつぶやくことがある。
どうせ、どこへも行かないのだけど。
だって臆病だし、めんどくさがりなんだもん、いろんなもん捨てて遠くへ行っても、どうせ帰ってくるんだし、行くとこないしね、その後の処理のことばかり思い出しちゃう、たぶんね、電車に飛び乗る理由が、飛び乗らない理由に上回

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わたしにいちばん似合う色は

おとこというのは、おんなというのは、人間よりもえらい生き物ですか、皮膚に、体内に、細胞に問うたびに、思い出すのは甲高い声のあの子、似ても似つかない喉のかたち。
(散文 『朝まではふたりアルト のデュエット』より)

“おんな”であることを求められるのは怖いのに、“おんな”でいることが限りなく好きなのは、矛盾しているのかしら、と、別におんなを強要されたわけでもないのに思う。
自分の身体に時々違和感を

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きみのすみかにおじゃましたい

 
7月になったみたいです。
おばあちゃんの育てた茄子をお味噌汁にして食べました。あとね、半袖のかわいいワンピースを買ったよ。夏が来るね。

 
住んでいるところがわりと田舎で、遊びに行く祖母の家なんてもっと田舎で、たとえば姪っ子と夕暮れの中を散歩したりするとたまに、あぁ、こんなふうでいいのかもしれないな、静かな町で、あふれる生命とかちいさな幸せから目をそらさずに、起きて、ご飯を食べて、眠って、

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