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みじんことオーマの作品・写真を使ってくれたnote

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みじんことオーマの作品および写真を使ってくださった方のnoteまとめです!使ってくださって嬉しいです! 特にアート作品の写真を使ってくださるともだえながら喜びます!
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#読書感想文

無駄のない文体から人間の本質を理解する「刑罰」

<文学(80歩目)> 刑事専門弁護士の目から見た「犯罪」の数々から、人間の本質を見つめる。 刑罰 フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳) 東京創元社 「80歩目」はドイツの短篇の名手の作品。刑事専門弁護士としての経歴がとても生きている。 フェルディナント・フォン・シーラッハさんの作品は話題になっていることは知っていたが、何故か今まで手に取ったことが無かった。 これは結論から言うと「残念」でした。 もっと早くから出会っていたら、読書にかかわ

著…植松眞人『センパイ!その日本語まちがってます! 人に言われて赤っ恥をかく前に知っておきたいよくある誤用』

 間違って使ってしまいがちな日本語について分かりやすくまとめた本。  可愛らしいイラスト付きで、楽しく読めます。  ●的は「射る」のであって「得る」のではない。  ●汚名は「返上」するのであって「挽回」するのではない。  ●破天荒」は「豪快な様子」ではなく「誰も成しえなかったことをする」こと。  ●「確信犯」は「悪いと知っていて罪を犯す」のではなく「自分の行為を正しいと信じて疑わずに行う犯罪」という意味合いが強い。  ●「爆笑」は「一人で大笑いする」のではなく「大勢の人が

今日、誰のために生きる?【読書感想】

今日発売のこちら 先日たまたまYouTubeで宣伝を見て 面白そうだったので購入してみました。 読みながら なぜか泣いていたんですよね。 タンザニアにあるブンジュ村というところに、ティンガティンガという絵の技法を学びに行ったSHOGENさんの思い出話が前半にあるのですが そのブンジュ村がとにかくキョーレツなんです。 普段の挨拶が 「おはよう、今日も空を見上げている?」 「この晴れ渡る感じが、今日もオレたちの中にあったらいいね」 というような村です。 とにかく

そのうねりが歴史を作る「天幕のジャードゥーガル」感想文

※本noteは「天幕のジャードゥーガル」に関するネタバレを含んでおります。 はじめに わたしの歴史レベルについて わたしは歴史が好きである。 といっても頭がよろしくないので、本当に素人レベルなのだが。 その上興味があるジャンルが偏りすぎている。 たとえば、昨年の大河ドラマである「鎌倉殿の13人」は大変興味深く視聴した。理由は全く史実を知らないからである。 正確に言えば、源頼朝のことは教科書レベルで知っているし、その後息子の頼家、実朝が若くして亡くなったので頼朝の血筋が絶

東北の伝承切り紙: 神を宿し神を招く (コロナ・ブックス)

東北の伝承切り紙: 神を宿し神を招く (コロナ・ブックス)  「切り紙」を御存知でしょうか? 紙を切って作る細工ものです。日本の一部の地方では、神さまに供えるものとして、切り紙細工を作ってきました。  本書は、日本の東北地方に伝わる「切り紙」を紹介しています。  私は、本書を読むまで、東北地方に、こんな豊かな「切り紙」文化があることを、知りませんでした。  東北の「切り紙」は、世界に誇っていい文化だと思います。  ほとんどの「切り紙」は、白い紙を切っただけなのに

最近読んだ2冊~洋服と血流と

あーしまった、忘れてた読んだ本…… 労働搾取された安価な大量生産品を着るのではなく、料理をするように日々の洋服を作る……的な内容やったと思います 自分の手で独学でお母様や親しい方に作りづつけ、個展を開いたりされている方。 材料費だけで請け負ったり(交通費など赤字)プラスアルファで請け負ったら案外高いんですねって言われて悩んだ…とか… ハンドメイドって凄い手間暇かかってるけど、やらない人からしたら大量生産の安価な値段が基準になってしまってるから高いって思われるんよね。 服1

日本語上手。

自分が心奪われたものや出来事、伝えずにはいられない思いを表現する時に時折言葉に詰まる思いをすることがある。 伝えたかったはずの思いが伝わりきらなかった時、 脳裏にはその光景がありありと思い浮かんでいるのに 形を文字を結びつける相応しい表現に至らず もやっとした気分になったり悔しく感じることがある。 表現しきれない思いが手足の動きや涙に変わることも、よくある。 言葉は、相手に伝わってこそ意味をなすツールだ。 伝わらなければ意味がない。 もっと上手く伝えられるようになりたいな、

助けてくれる本に出会う(「数値化の鬼」を読んで)

「人生を変えた本」はありますか? 年100冊以上読んだときですら、 わたしは人生を変える本に 出会えませんでした。 これからも出会わないのかも。 とはいえ、助けになってくれる本には 恵まれているようです。 「数値化の鬼」がまさにそれ。 ①もともと読みたいと思っていて ②パートナーが持っていて ③仕事で数値化が課題にあがった 以上の3点が揃って スロットだったら大当たりなので すぐに読みました。すぐ読める。 点在していた知識と 自分がやりたいことを 線でつなげてくれる

監修・解説…寺門和夫『美しい顕微鏡写真』

 肉眼では見えない小さな小さな世界の面白さを教えてくれる本。  「わぁ、まるでクリスタルのアートみたい!」とウットリしたら尿素と塩素酸バリウムの写真だったり。  「これってミギー!?」とワクワクしたら住血吸虫の写真だったり。  ページを捲るたびに驚かされます。  わたしが特に美しいと思ったのは雪の結晶。  神々しいばかりに輝いていて、無神論者のわたしでさえ神の存在を信じたくなるほど!  また、わたしは水疱瘡にかかったことがあるので、水痘・帯状疱疹ウイルスの写真を見

ドイツ 人が主役のまちづくり 読書感想

「ドイツ 人が主役のまちづくりーボランティア大国を支える市民活動」松田雅央 学芸出版社(2007)  人口28万のカールスルーエ市に1200の市民協会があり、市民の4分の1が何らかの協会に参加。参加動機は、公共の役に立ちたい、人生を充実させたい、等々。  市民協会は法律でその制定運用条件が定められている。7人以上集まり、規約など揃え、財務報告もするらしい。一方で公的な支援も豊富。運営支援、PR支援、マッチング、情報提供などなど。ドイツも地方自治体はどこも財政難。環境整備やまち

ふとした瞬間に思い出す、高校時代の適職診断。教師や医者、研究者など、進学校に通う生徒らしい結果を出すクラスメイトや友人たち。ボクだけが全く毛色の違う結果を出していたことを。

ボクの結果は『映画監督』でした。 ちなみに、ほとんど嘘と冗談しか言わないのと、屁理屈で他人を丸め込むのが得意だったので、近しい友人からは『新興宗教の教祖』を勧められていました。 今はしがない、というよりも落ちこぼれのWebエンジニアもどきをやっています。 そんな話はさておき、読書記録でございます。 今回はこちらの作品。 何を隠そう(何度かどこかで書いておりますが)中学2年生の頃 初めて買った小説が赤川次郎さんの『三姉妹探偵』だったわけで。 今年35歳になりますので、かれ

『コペンハーゲン』(マイケル・フレイン 著・小田島恒志 訳 早川書房 2010)読書感想文

この本に登場するのはニールス・ボーア、ヴェルナー・ハイゼンベルクという二人の物理学者とボーアの妻であるマルグレーテの三人のみである。そして、この本には彼らが原爆開発競争の最中、コペンハーゲンで交わしたとされる会話を史実に基づいて描いた戯曲が記されている。 三人のやり取りを通して、量子力学の黎明から原爆開発に至るまでのスリリングな内容がじんじんと伝わってくる。三人のやり取りは勢いが良く、彼らのつくり出す空気感に引き込まれていく。 物理学を学んだ者であれば、会話に登場する様々

50年ぶりに読む「カラマーゾフの兄弟」

わたしは、ある大学の聴講生をしています。 大学の学生さんと一緒に講義を聞くのですが、現在はコロナ禍でオンライン授業となっています。 後期にわたしが選択した科目は、哲学に関する講義です。 その科目の先生が取り上げたのが、ドストエフスキイの「カラマーゾフの兄弟」の「大審問官」の章でした。 実は、わたしは50年以上前の大学生のときに「カラマーゾフの兄弟」を読んでいましたが、「大審問官」に関する箇所はまったく記憶にありません。 この小説は読まなければいけないみたいな義務感から読んでい

『文化系のためのヒップホップ入門』 長谷川町蔵, 大和田俊之 感想

1990年代生まれ、音楽的自我が芽生えてからはロックを聞き、近年はアイドルにハマっている女が令和に読んだ場合の一考 「ヒップホップのことが知りたいな」と思い、教科書的なものを探していた中で手に取ったのがこの本だった。 この本では1970年代〜2000年代のヒップホップについて、地域的な観点も踏まえて網羅的に記述されている。丁寧に読めば、ヒップホップの大枠は捉えられると言えるだろう。 ただしAmazonのレビューにも散見されるように、この本はまさに「文化系のための」ヒップ