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「人と人が仲良くなる」ということ

OSIROを創るきっかけとなった2つの原体験

1つ目は、アーティスト活動に「終止符を打った」体験。
2つ目は、8年の間「孤独」の中にいたという体験だ。

ぼくのアーティスト人生は、誰からも評価が得られず反響もないまま、たった一人で黙々と制作を続ける日々だった。結局、才能がないことを自覚し、人生の節目である30歳の時、活動に終止符を打った。

アーティストを辞めたからといって、孤独が解消されることはなかった。通算24歳から32歳までの8年間、孤独を味わった。

アーティスト時代から食い扶持をつなぐためにやっていたデザインの仕事をフリーランス一本化した。そこで待っていたのは「クリエイターとしての孤独」だった。

ありがたいことに、クライアントさんからは一定の評価をいただいていたが、心と心が触れ合うようなつながりは生まれず、実質フルリモートの環境下でただ目の前の仕事と向き合っていた。

仕事を断れば次の仕事の依頼がないという恐怖から、仕事は絶対に断らず何日も徹夜をすることもあった。

一歩も外に出ず、一日にだれとも話さない日もざらだった。運動不足になるとかそういうことよりも、人間にはコミュニケーションが必要不可欠であることを身を持って体験したともいえる。

アーティストやクリエイターが活動を継続していくために必要なものは、「お金」だけでもなく、「エール」だけでもない。その両方を継続して受け取れるような仕組みが必要だ。

アーティストやクリエイターが継続的に「お金」と「エール」を受けるためには、応援者と応援者が仲良くなり、そこが居場所となる必要がある。そうすればお金とエールが継続し、結果、創作活動が続けられる。そのような仮説を立てて、世界中のサービスを探したが、どこにもなかった。ないならつくろう。

これらが、「OSIRO」を作る上でコアになる原体験だ。

いじめられっ子だったぼくの人生のテーマ

「人と人が仲良くなる」。実は、ぼくの人生のテーマでもある。なぜなら、ぼく自身がいじめられっ子だったから。小さいころから「どうすればいじめられずにすむだろう?」ではなく、「どうすればみんなと仲良くなれるのだろう?」と考えを巡らしていた。

やがていじめられることもなくなり、今では心を通わせる友人に恵まれている。それでも、いまだに「人と人が仲良くなる」ことに大きな可能性を感じているし、執拗に興味を持ち続けている。人はもっともっと仲良くなれると確信している。

ぼくは実際にOSIROで創出されたいくつかのコミュニティにメンバーとして参加している。OSIROでつくられたコミュニティは知らない人とも仲良くなりやすいことを実感しているし、それどころか大人になってから親友ができた。多くの人は大人になってから親友ができる機会は少ないだろう。こうして自分自身がユーザーとなり、コミュニティの効能を実感するのはこの上ない体験だ。

ほかにもOSIROを使っていないコミュニティにも参加しているが、そのなかで感じることがある。運営者はあるテーマを偏愛し、同じく偏愛するメンバーが参加する。当然ながら素晴らしい場なのだが、ただ、とてももったいないと思うところがある。

共通のものごとを偏愛している人たちが集まって、熱量高く語りたいと思っていても、盛り上がりきれていないことが多々あるのだ。同じ熱量で語り合うことや仲良くなれる機会はたくさんあるのに。コミュニティ運営者はもっと「人と人が仲良くなれる」可能性やポテンシャルに気づいてほしいと思っている。

「人と人が仲良くなる」をデザインする

以前、あるプロデューサーがライブで行っていた工夫について聞いたことがある。その人がプロデュースするライブの席は先着ではなく、あえて居住地で割り振っていたという。そうすることで、席が近い人同士は自ずと帰り道も一緒になる。同じライブ会場から出てきて同じグッズを持つ人がいるなら、自然に話しかけやすくなる。彼はライブだけでなく、帰路に着くまでの動線上でファン同士が仲良くなる仕組みすらもプロデュースしていた。

このように、コミュニティを通じて「人と人が仲良くなる」ためには、コミュニケーションや行動をデザインする必要がある。ただし、「人と人が仲良くなる」ためのアイデアや手法、エビデンスはたくさんあり、それをデザインできても実際に行動してもらうこと自体が難しい。OSIROではそれらを仕組みや機能として落とし込み、おせっかいのギリギリとして実装している。そして、OSIROの「人と人が仲良くなる」仕組みの効果を一番実感しているのは、オシロの社員だろう。オシロの社員は、平日朝から晩まで一緒にいるのに、週末も一緒に遊びに行く社員も多い。

「なぜオシロの社員はそんなに仲が良いのか?」

お客さまと話をしている時に、よく聞かれる質問だ。「コンウェイの法則」といわれるように、オシロの社員同士が仲良くなければ、「人と人が仲良くなる」仕組み、システムは決してつくれない

そしてシステムをつくるだけじゃなく、自分たちでOSIROを社内コミュニティツールとして使い、その効果を体験している。だから余計に、オシロの社員は仲が良いのかもしれない。

人がただ集まるだけではイノベーティブな発想が生まれることはないし、共創が起こることもない。対話を重んじ、心理的安全性のある状態がつくられてこそ、自分の考えを言い合えお互いがお互いを知っていく。こうして人間関係が構築され、やがて価値共創が生まれていく。もともとアーティストやクリエイターをエンパワーするために注力してきた「人と人が仲良くなる」仕組みは、確実に事業への好影響を与えているし、再現性はとても高い。

最近になって、企業からのお引き合いが増えたため気づいたことだが、社員同士はもっと仲良くなれる。企業内のコミュニケーションツールは数あれど、社内コミュニティを活性化するツールがないのが現状だ。実にもったいないと感じてる。

興味関心の重なっている、価値観が近い人同士であれば仲良くなることは容易に思われるかもしれないが、現代では人見知りの方々も多く、内気の人同士でもいかに仲良くなれるかを上手に設計することも重要だ。そうすることで多様性のあるメンバー同士で熱量を維持するだけじゃなく、熱量は高まり、化学反応を起こすことができ、やがてカルチャーが生まれていく。OSIROはこのようなコミュニティのエコシステムを育むことが可能だ。

先日インタビューをしていただいたWebメディア「Welulu」を運営している、博報堂の堂上さんによれば、社会人10万人を調査したところ一番の悩みは「職場の人間関係」だという。ということは、人生のうち多くのシェアを占める職場の人間関係が良好になれば、多くの人の悩みが解消されるだけじゃなく、会社にいくのが楽しくなるのでは?と思っている。

次号では、社内コミュニティでOSIROを活用する効果の一例として、オシロで起こっている興味深い現象について紹介したい。それは、日報が盛り上がるのだ。多くの企業の方々にとってはまったくもって疑問に思うことかもしれないが、オシロでは実際にそれが起こっている。お楽しみに。

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