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江國香織さんの『東京タワー』を読んで、本当にめんどくさいのは、「恋愛の真っ只中にいた自分自身」だったじゃないか、と思い出したくもないことを思い出した。
嗚呼、そうだった、女の人って、こんな感じにめんどくさい生き物だった。
と思ったそばから、
いや、違うか、めんどくさいのは「恋愛」そのものだったっけな。
と思い直した。
それでも、まだ若かったあの頃の僕は何度でも何度でも、そんな「恋愛」の真っ只中に飛び込んでいったわけで、あれはなんだったんだろうか、という問いに対する答えが、本書には散りばめられている。
そして、本書を読み終えた僕は、本当にめんどくさいのは、「恋愛の真っ只中にいた自分自身」だったじゃないか、と思い出したくもないことを思い出している。
しかし、それにしても。
江國香織という作家は、まったく無駄な文章を書かない人だ。
本書もあれだけ売れた作品でありながら、なお、世間でまだまだ過小評価されているんじゃないかと、自分のことを棚にあげて感嘆するほどの「名作ぶり」だった。
おセンチだけど、残酷。
そんな、優れた恋愛小説のお手本みたいな作品。
それでいて、世界中のどこにも存在しない、「これまで読んだことのない」ような恋愛小説。
19才の少年ふたりの物語だが、「恋愛」を卒業した気になっている大人たちにこそ読んでもらいたい、というのは余計なお世話だろうか。
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