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Saori Ogataテキストまとめ

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#東北

片葉の清水と愛馬香月【岩手の伝説⑤】

片葉の清水と愛馬香月【岩手の伝説⑤】

参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館

人皇第七十代、後冷泉天皇の、康平三年、即ち前九年の役に、

衣川の舘で敗れ、厨川柵を最後の地として拠守した安倍貞任を、

遂に火攻めの奇計を以て破り、貞任を誅し、弟宗任等を捕らえて、

陸奥(むつ)の乱を平定した源義家は、都に帰るべく、

名馬香月に打跨り、意気揚々として、今の小山字柴山にさしかかりました。

※人皇・・・じんこう、にんのう、じん

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悲恋の作神さま【岩手の伝説①】

悲恋の作神さま【岩手の伝説①】

参考文献「いさわの民話と伝説」 編:胆沢町公民館

昔々ある所に、サワという美しい娘がありました。

顔が美しいばかりでなく、気立てもよく、それに利巧で働き者でありました。

そんな訳ですから、縁談は降るようにありました。

「あの娘と一緒になれないなら死んでしまう。」

などという、のぼせ上がる若者も十人も二十人もいました。

そんな果報者のような娘でありながらサワは、持ってくる縁談、持ってくる

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天女の妻【胆沢の民話㉜】岩手/民俗

昔一人の百姓があったど。

畑さ稼ぎさ行って、小昼休みだで休んでたれば、そこの松の木さ美しいえしょ(衣装)掛かってた。

手で取って見たれば、今まで見たこともない、うすけくて(薄くて)やっけえ(柔らかい)えしょだ。

これぁきっと天の羽衣に違いないと思って、家さ帰って長持※の一番下の方さ隠してしまった。

※ながもち・・・衣類を入れる木箱。

晩方になったれば美しい女ご来て、着物失くして帰らえなく

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