マガジンのカバー画像

妻恋う鹿は笛に寄る(自作の詩と散文)

111
瀬戸内海に面する小都市で暮らし、働きながら詩や散文を詠んでいます。情景を言葉として、心で感じたことを情景にして描くことを心がけています。言葉の好きな方と交流できたらいいなと思って…
運営しているクリエイター

#言葉

想い

想い

言葉にならない

想いがあるなんて

なんて素敵なことでしょう

想いは旅して

この胸に宿るとき

わたしは新しい舞台で踊っている

弱い糸

弱い糸

何かしてもらった感じがしないように
そっと手を差し伸ばしたい

愛されていると感じられるように
何げない言葉に祈りを込めたい

怒りや悲しみや寂しさを憎まないように
弱い糸で繋がっていたい

妖精との語らい

妖精との語らい

菜の花の撮影をしていたら、花と花の間に小指の先ほどの人間の形をした妖精がいた。うっとりするようなかわいい女の子で、白いシルクでできた布のようなものを羽織っていて、僕の方を見ていた。僕は見てはいけないようなものを見てしまったような気がして、構えていたカメラを外して、目をこすって見つめた。

こういうのはそっとしておいてあげた方がいいと思って、その場を立ち去ろうとすると、妖精は待って下さいと言う。

もっとみる
bird

bird

『好き』とか 『愛してる』とか
   理性で抑制された
       感情ではなくて     

あなたをほしいという
   理性を飛び越えた
      動物的な欲求に近いように感じた

言葉よりも饒舌に
   肌と肌が語り合う
      抱擁を求めて
  
空を見つけた鳥が
   自然に羽ばたき
      空に向かうように
            
一目見たときからあなたを
   代わりの

もっとみる
バラ色の人生

バラ色の人生

バラ色の人生を描いてみた

描いてみたものの

何か違うような気がした

自分らしくない……

少し悲しみを帯びた

少し淋しさを帯びた

人生を描いてみた

描かれた私には陰があったが

描いている私は生き生きとしていた

そんなもんかい?

そんなもんだよ

遠いところで誰かが言ったような気がした

絆

固い絆を結ぶためには

優しさや愛情だけでは

弱い

憎しみ、怒り、悲しみ、淋しさを

乗り越えないと

夕暮れ

夕暮れ

一瞬の美に染まる

永遠の記憶

果てなき欲望に一瞥をくれて

日が暮れる

静寂の中、私は寝転び詩を詠み、妻は思索に耽る

雪のように白い花が咲いた日

雪のように白い花が咲いた日

雪のように白い花が咲いた日、空は澄んでいて、どんなに優れた絵描きが描いても、描き切れないような美しい色だった。それは、特別楽しいことや特別に悲しいことのない、ただただ平凡で、それは絵に描いたような平凡と思える一日だった。

しかし考えてみると、特別なものほど描きやすく、平凡なものほど描きにくいように思えるから、本当のところ、平凡な空の下、特別な一日を過ごしているのが、私たちの生活かもしれない。

もっとみる
私は狂っている。

私は狂っている。

後ろから抱きすくめられて、愛撫されながら首筋に刃物を突き立てられて、殺されたい。果汁を滴らせて果実を貪るように、大丈夫だよ、大丈夫だよと、宥める声に狙われている。あなたは必ず才能がある、誰にもないものを持っているって。誰も寄り付かない樹海の森の美しさ。スピード狂に愛されて、ブレーキ痕に刻まれた。この世の果てで咲く花と街角の公園で咲く花の無邪気な会話を聞き取る毎日。私は狂っているの。そう、確かに狂っ

もっとみる
サイコな愛し方

サイコな愛し方

第一の人格も、第二の人格も

第三の人格も、第四の人格も

第五の人格も、第六の人格も

それを司っている無意識の私も

それぞれの愛し方で

妻を見つめ、欲している

中にはサイコの私も

満たされ、癒されている

道裏

道裏

あなたのことを虐める人がいれば僕がその人を呪ってあげる。深い闇にひきずり込むような恐ろしい目に合わせてあげましょう。そうすることによって僕も一緒に深い闇に入り込むことになっても、あなたのことを守れるなら本望です。あなたがそのことに関して不幸に思うことはありません。あなたの目を見張るような美しさに寄り添えるだけで、幸せです。僕はもう汚れてしまった人間。あなたの悲しみをできるだけ遠くの方へ持ち去ってゆ

もっとみる
連 鎖

連 鎖

光の渦の中で
花が咲いていた

花の香りの中で
あなたが咲いていた

あなたの思いやりの中で
私が咲いていた

私は夢中であなたを想い
光の渦ができていた…