西嶋隆

もうすぐ30歳になります。 ショートノートというサイトが閉鎖してしまうため、noteに…

西嶋隆

もうすぐ30歳になります。 ショートノートというサイトが閉鎖してしまうため、noteに引っ越ししてきました。 日々あった事の日記を書いていきます。

マガジン

最近の記事

40 翼ふたたび

余計な荷物を全部捨ててしまっても、人生には残るものがある。 それは気持ちよく晴れた空や、吹き寄せる風や、大切な人のひと言といった、ごく当たり前のかんたんなことばかりだ。 そうした「かんたん」を頼りに生きていけば、幸せは誰にでも手の届くところにあるはずだ。 僕は小説を読むときに、心に刺さった文章をメモし、自分一人だけのライングループに送信する。さっき見返してみたところ、自分を励ましてくれるような文章はこれだけだった。 これは、酒、タバコ、ギャンブルを好む、結婚もせずに自

    • 隣人トラブル③

      ストーカーのラインをブロックしてから半年間、平穏な生活を送ることができていた。しかし、冬の寒い日の深夜、それは起こった。 深夜の3時頃、何やら物音がして目が冷めると、ベッドの横で僕を見下ろすように人が立っていた。どこから出たのか分からない今まで出した事のない声が出た。恐怖心で体が動かない。 お化けを見てしまったとはじめは思っていたが、顔を見るとストーカーだと分かり、更に恐怖が増していった。すると、ストーカーは無言で僕に抱きついてきた。 抱きつかれながら、ストーカーの気持

      • 隣人トラブル②

        通勤中の電車はたいてい満員なのだが、その日は、人と人が触れ合う必要が無いくらいにはすいていた。 いつも通り、早く降りそうなオーラを出している人の前で立っていると、僕の右側に立ち、寄りかかるようにくっついてくる男性がいた。案の定、その人の右側にはスペースがあった。イライラして窓のガラス越しにどんな人か見てみると、知っている顔だった。隣に住んでいる人ではないか。僕は汗っかきで、電車内では基本的に一年中汗をかいているのだが、今回はいつもと違う種類の汗が吹き出してきた。忘れ物をした

        • 隣人トラブル①

          23の頃、仕事の関係で都心に引っ越しをした。引っ越しをした翌日、インターホンが鳴ったため出てみると、隣に住んでいる人がわざわざ挨拶に来てくれたようだった。都会でもこういう近所付き合いあるんだなと感心した。 その人に誘われて、近くのファミレスに入った。確か僕より3つくらい年上で、芸能人でいうと千葉雄大似の男性だった。どこかミステリアスな雰囲気を匂わす人で、相手からご飯に誘ってきたにも関わらず全然喋らない。なんとか引き出した情報の中に、僕の食いつく要素があった。それは、部屋にグ

        40 翼ふたたび

        マガジン

        • 恋人の手料理日誌
          1本

        記事

          気晴らし

          久しぶりに、ブルーレイレコーダーに録画した番組を見ようとハードディスク内をのぞくと、知らない番組が何週にも渡って録画されていた。いつの間にか、僕の好きな番組が終わっていたらしい。 録画予約を取り消すのも、録画された番組を削除するのも面倒だし、見るのを何ヶ月も忘れるくらいの番組だけどなんとなくショックだったため、現実逃避がてら、いつもなら部屋の中で吸うタバコをベランダに出て吸った。 ベランダには2つ観葉植物が置いてある。サボテンとアロエ。断ることができなくて、いやいや会社の

          気晴らし

          謙遜

          僕は右利きだけど左側に座り、恋人は左利きだけど右側に座る。家でdvdを見ながらご飯を食べているとよく肘と肘がぶつかり、その度にお互いに謝る。座る位置を変えれば解決する話なんだけど、そんな話題も出たことが無いし、このお互いに気を使い合う感じが居心地がいい。 dvdが見終わると、いつの間にか、外は暗く雷がなるくらい天気が悪くなっていた。恋人はいい歳して雷が苦手だ。そんなことは起こるはずもないのに、雷に直撃するのを恐れている。 だから、気分転換というか、ポジティブな話題を提供し

          そろそろイングリッシュマフィン、食べたい②

          一番好きな食べ物はと聞かれたら「ソーセージエッグマフィン」ではなく、「エッグベネディクト」と答えたい年頃に差し掛かってきた気がする。 だから、好きな食べ物のアップデートをはかろうと、イングリッシュマフィン界のカースト上位に君臨する「エッグベネディクト」を食べに、恋人ととあるハワイアンカフェに行った。ちなみに、「エッグベネディクト」は一度も食べたことはない。 席が混んでいたためカウンター席に案内された。目の前で新人と思われる人がホイップクリームを綺麗に盛る練習をずっとしてい

          そろそろイングリッシュマフィン、食べたい②

          ばー

          昨日の夕方に恋人と解散した後、少し呑みたい気分になり、一年ぶりにバーに呑みに行った。久しぶりに会うマスターは、「元気そうで良かった」と、温かく出迎えてくれた。半額シールがプリントされた、自分を安売りしてるようなTシャツを着ていた。水商売にぴったりだと思った。 コロナ禍で、特定の人としか会っていなかった為、色々な人と話すのはとても楽しかった。僕の右隣に座っていたおじさんは、語彙のボキャブラリーが多く、辞書をそばに置いておきたい気持ちにさせた。話に起承転結をきっちりつけたがる人

          一つ前の恋人③

          別れることを伝えようと決心した途端に、不思議とお互いの休みが合わなくなった。当然、その間も連絡は続いており、 「オシャレなカフェ見つけたんで今度行きましょう」 だとか 「西嶋さんと同棲とかしてみたいな」 といった、これからの事を話してくる機会が増えたような気がした。会話を流すことに対しての罪悪感に耐えれなくなっていく。場所とタイミングを選んでいる場合ではない。 その子は大型ショッピングモールで働いていて、そこの駐車場で仕事終わり会うことにした。夜の9時に車の助手席の

          一つ前の恋人③

          一つ前の恋人②

          その子は電話が好きだった。暇なときはずっと電話をつないでおいて、夜になるとそのまま寝落ちするのが理想らしい。 僕はというと、メールは予定の確認くらいしか使わないし、電話は週一くらいが丁度いいと思っている。 その間をとって、週に三回くらいは電話をすることになった。その子は電話している最中に、ゲームをしたりアニメを見たりしていた。電話は空間を共有するためのもの、と認識しているようだった。 ある朝、目が覚め時計を見ると、出社しているはずの時間だった。スマホの充電がきれていて、

          一つ前の恋人②

          一つ前の恋人

          その子とは会って2日で交際が始まった。会うのが2回目という意味ではなく、文字通り、初めてあった次の日という意味だ。 マッチングアプリで知り合って、初日は海沿いをドライブして解散した。愛嬌のあるいい子だと思った。 次の日に、今日も会いたいと言われ、ちょうど予定もなかったためその子の家に行った。 酒を飲みながらバラエティ番組を見ていたところ、急にその子にキスされた。いや、キスというか酒を口移しで僕に呑ませようとしてきたのである。そういう趣味はないためとても不快だったが、その

          一つ前の恋人

          ディズニーデート

          写真を撮るのが苦手な僕らが、パーク内のあまりひとけのない所でひっそりと撮った写真は逆行で顔が見えずらかった。でも、恥ずかしかったため取り直しはそんなにしなかった。この盛れてない写真が、僕ららしくて意外と気に入っている。 13年ぶりのディズニーシーはあつかった。 誕生日シールを胸に貼りパーク内を歩いていると、キャストさんが満面の笑みでおめでとうと声をかけてくれる。常時、僕は照れていた。 亀のキャラクターが指名したお客さんの質問に答える、というアトラクションに乗った。小さな

          ディズニーデート

          そろそろイングリッシュマフィンが食べたい

          朝ごはん何がいいかと聞かれると、たいていイングリッシュマフィンが食べたいと答える。すると、恋人さんはコメダ珈琲に行こうと言う。ちなみにコメダ珈琲にはイングリッシュマフィンは置いていない。 飲み物を頼むと、トーストが一枚とそれにつけるスクランブルエッグが無料でついてくる。それとは別にミックストーストを頼むと、昼ごはんが要らなくなるくらい満腹になる。ホットミルクと一緒にそれを食べるのが、イングリッシュマフィンと同じくらい好きなことを恋人さんは知っているのかもしれない。 メニュ

          そろそろイングリッシュマフィンが食べたい

          おばあちゃんの匂い

          新調した柔軟剤の匂いは、おばあちゃんの匂いがした。 あるサイトでランキング上位だった為買ったのだが、騙された気分だ。同じ被害者がいるだろうと思い、「おばあちゃん」という単語がないかレビューをあさってみたが、一つも見当たらなかった。このレビューはサクラだらけだ。 そのことを付き合っている人に話すと、おばあちゃんの匂いがどんな匂いなのか分かってくれなかった。ちなみに、ここで言うおばあちゃんは、僕のおばあちゃんではなく一般的なおばあちゃんの事だ。 例えば、電車内で目を瞑って車

          おばあちゃんの匂い

          ファッションがよくわからない

          僕はファッションが昔からよくわからない。 中学に上がり、自分で服を選ぶようになった。選んだ服に対して、親は「なんでこの服買ったの」と言ってきたため、若者のセンスがこの人たちは分からないんだと思った。 でも、その服を着て、若者であるはずの友達Hくんに会ったときに「なんでこの服買ったの」と言われた。その当時、同じ言葉を同時に発言した人に対して「ハッピーアイスクリーム」と言うのが流行っていたため、心の中でそれを唱えてショックを和らげた。 それから、Hくんによって僕はダサい人だ

          ファッションがよくわからない

          嫌いな上司

          社内には一人は苦手な人がいるもので、、、 今年の夏頃からその人と同じ部署になってしまい、今日まで働いた感想を書いていこうと思う。 新人潰しの異名を持っている人が、社内には二人いる。西の〇〇(←名前)、東の〇〇。その東の方が僕の苦手な人だ。とにかく気性が荒く、その日の機嫌によって仕事の態度がガラリと変わる。辛辣な言葉も多く、その人から言われた「よく人間として生きてこられたな」という言葉が、僕を傷つけた言葉ランキング上位に入っている。僕の同期はその人が嫌すぎて違う部署に移動し

          嫌いな上司