一つ前の恋人

その子とは会って2日で交際が始まった。会うのが2回目という意味ではなく、文字通り、初めてあった次の日という意味だ。


マッチングアプリで知り合って、初日は海沿いをドライブして解散した。愛嬌のあるいい子だと思った。


次の日に、今日も会いたいと言われ、ちょうど予定もなかったためその子の家に行った。

酒を飲みながらバラエティ番組を見ていたところ、急にその子にキスされた。いや、キスというか酒を口移しで僕に呑ませようとしてきたのである。そういう趣味はないためとても不快だったが、その子を傷つけないように、口の中に入ってきた酒をいやいや飲み干した。それが表情に出てしまっていたようで、その子は泣き出した。


「会って一日しかたってないですが、こんな気持ちになったの久しぶりで、信じてもらえないかもしれませんが、西嶋さんの事が好きです。付き合ってほしいです。」


泣きながら告白されたのだった。とんでもない流れである。もちろん、そんな気持ちは僕にはまだ芽生えてなく、気持ちに答えられないと伝えた。


「まだわからないじゃないですか。付き合っていく中で好きになるかもしれないし。」


なるほどなと思った。確かにまだ分からない。その時初めて自分が押しに弱いことを知った。要するに、その子との交際が始まったのであった。


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