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映画「PERFECT DAYS」感想|試される価値観、中年の生き様をどう見る?

映画「PERFECT DAYS」感想|試される価値観、中年の生き様をどう見る?

映画『PERFECT DAYS』が米アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートされたらしい。

良い映画だったので納得。

『PERFECT DAYS』の感想一人暮らしの古いアパート。
朝、ほうきを掃く音で目を覚まし、布団をたたんで歯を磨き、育てる植物に水をやる。仕事着に着替え、フィルムカメラを胸ポケットにしまい、車のキーと小銭を掴む。空を見上げて空気を感じ、缶コーヒーを買って車に乗り込む。一口飲んで音

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『ナイト・オン・ザ・プラネット』

『ナイト・オン・ザ・プラネット』

ロサンゼルス
ニューヨーク
パリ
ローマ
ヘルシンキ

5つの都市を舞台にした5つの物語。
タクシードライバーと乗客の会話劇で構成された、オムニバス形式の映画。
ジム・ジャームッシュの名作である。

ウィノナ・ライダーはタバコ吸いすぎ。
めちゃカッコいい。
ロベルト・ベニーニはひとりでずっと何を言ってんだお前は笑。
パリ編はやっぱりオシャレなオチ。
ニューヨークからブルックリンまでの
"ヘルメット

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2022年2月22日 『ドライブ・マイ・カー』を観て良かった

2022年2月22日 『ドライブ・マイ・カー』を観て良かった

これまでどんな経験を経て、
今の自分がどんな状態か。

人によって、観るタイミングによって、
刺さり具合いが大きく違う映画です。

深く刺さるのか、浅く刺さるのか。
まったく刺さらないという人は、おそらく現在までまあまあ幸せなのでしょう。

人それぞれ受け止め方が違うだろうなと思います。だからレビューや批評もさまざまなのは当然です。

映画観てレビューでも書こうかなー
なんて軽い気持ちでいたのです

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是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』

是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』

映画「ベイビー・ブローカー」を観てきました。

日本人監督による韓国映画。

監督はカンヌ映画祭の常連、是枝裕和。
主演はこの映画でカンヌ映画祭「最優秀男優賞」を受賞したソン・ガンホ。

共演は今や韓国のトップ女優となったぺ・ドゥナ。
劇場公開作品での本格的な女優デビューとなった歌手IU(イ・ジウン)

その他にも韓国映画や韓国ドラマでよく見かけるトップ俳優が出演しています。
(Netflixユー

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『マイ・インターン』のロバート・デ・ニーロになりたい

『マイ・インターン』のロバート・デ・ニーロになりたい

老後はどんなふうに生きているんだろう?
周りを見渡しても「リタイアしたらこんなふうになりたいな」と思うような人はなかなか見当たりません。

カフェでひとり本を読みながら、静かに暮らす。
それも悪くないかもしれませんが、、

でもどちらかといえば、「楽しい!」と思えるような心震える瞬間が、生きているかぎりはあったほうがいいではないか。

20年後の未来が見えない。
年は取りたくない。
年月が過ぎてい

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韓国映画『はちどり』のヨンジ先生

韓国映画『はちどり』のヨンジ先生

ヨンジ先生はタバコを吸っている。

学校では不良と見なされる行為であるが、ヨンジ先生は不良ではない。ウニにとって唯一信頼できる大人であり、憧れでもあった。

「先生は自分が嫌になったりしない?」

「何度もある。本当に何度も」

「自分が嫌になる時、心をのぞいてみるの。こんな心があるから自分を愛せないんだって」

タバコというアイテムは、大半が吸わなくなった現代では「心理」を表すアイテムになってい

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韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』に男は何を思うか?

韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』に男は何を思うか?

『82年生まれ、キム・ジヨン』2020年日本公開
監督:キム・ドヨン

韓国で130万部以上のベストセラーとなった小説の映画化作品。子育てに追われる主婦キム・ジヨンは思い通りにならない現実にストレスを抱え、自覚もなく心のバランスを崩していく。学生時代から就職、結婚、出産、子育てまでに女性が受けるさまざまな差別を通して、女性の格差問題と生きづらさを苦しいほどリアルに描いている。

同じ境遇にいる女性

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韓国映画『子猫をお願い』際立つペ・ドゥナの存在感

韓国映画『子猫をお願い』際立つペ・ドゥナの存在感

テヒ、ジヨン、ヘジョ、オンジョ、ピリュの女友達5人は高校時代からの親友だ。卒業してからはバラバラになってしまうが、たびたび集まっては楽しく騒ぎ遊んでいた。

両親を亡くし、祖父祖母と貧しく暮らすジヨンは仕事も失い無職となる。希望を失う中、証券会社で働くわがままなヘジョの振る舞いにジヨンは反発し、ふたりは険悪な関係になっていく。ふたりの仲をとりもちたいテヒは頭を悩ませるが、テヒも家父長な家庭に不満を

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