この記事は、小学生が親の手伝いなしで弁当を作る「弁当の日」の素晴らしさを伝える記事です。
私がこの記事を書く目的はつぎのとおりです。
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◆教室では学べないことを学べる「弁当の日」の素晴らしさを知ってもらう
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1.家族の絆について
「弁当の日」というと、調理技術を身につけさせる取り組みと思われるかもしれません。
しかし、そうではないのです。もし調理技術の向上が主眼なら、家庭科の時間にみんなで弁当を一緒に作った方が効率がいいですよね。
「弁当の日」のねらいのひとつに、【家族の絆を深める】というものがあります。
その例をいくつか挙げましょう。
2.例① ひじきの炊き込みごはんを作った女の子
「自分で作ったお弁当は、おいしい!」という子が多いです。が、中には味付けを失敗してしまった子もいます。
しかし、その失敗は、ある気づきをもたらしました。
ひじきの炊き込みごはんを作った女の子の作文を紹介します。
誰だって、お母さんやお父さんが喜んでくれたら、嬉しいはずです。
「テストで100点取った!」と報告しても喜んでくれるでしょう。
しかし、料理を作って喜んでもらうことは、100点のテスト以上に価値があると思います。
必ず会話が発展していくからです。
3.竹下先生のねらい
竹下先生は、【「弁当の日」のいちばんのねらい】として、家族の絆について言っています。
第一回「弁当の日」の感想(自由記述のもの)において、圧倒的に多かったのが、毎日の食事を準備してくれる家族への感謝でした。
そして、その感謝の気持ちは次のような態度の変化で表れてきました。
実際、その態度の変化は行動となって表れます。
「弁当の日」を経験した子どもたちは、自ら率先して家族のために、ごはんを作るのです。
4.例② 「作る側」になって気づいたこと
次も、女の子の作文です。
なんと立派な女の子でしょう。もちろん、彼女はこのあとに起こる「悲劇」を知りません。
気の毒です・・・・・・。
あれだけ努力したのに・・・・・・。
しかし、この子が立派なのは、この経験を通してあることに気づきいたことです。
おそらく、この女の子が気づいたのは、「おいしくないと言ってはいけないぞ」ということだけではないでしょう。
【誰かのために作るという体験】を通して、お母さんへの感謝の気持ちが生じたと思います。
5.「弁当の日」で、親にも変化が
家族の絆の深まりは、子ども側だけではありません。
親の方にも、変化が生じます。
弁当を作る過程で、会話が増えるからです。
以下は、保護者の方の感想です。
「弁当の日」のルールに、【親は手伝わないで】とあります。
料理の手伝いはしませんが、子どもの質問に答えたりアドバイスをしたりすることは多いようです。
もう一人、紹介します。
6.なぜ弁当作りで家族の絆が深まるのか?
弁当作りを通して、家族の絆が深まる。
まさに、竹下先生のねらいどおりでした。
なぜ弁当作りで家族の絆が深まるのか?
その答えは、以下の2つだと思います。
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1️⃣弁当を作る過程で、家族の会話が増える
→買い出しや調理の過程で会話が増える
2️⃣作ったものを通じて、家族の会話が増える
→親は「おいしいなぁ」、子どもは「これどうやって作るの?」などの会話が増える
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最後に、エピソードをひとつ紹介します。
7.竹下先生、滝宮小学校から転任
教師に人事異動はつきものです。
竹下先生の転任先は、高松市立国分寺中学校でした。
竹下先生は、中学生に弁当作りをさせるのは、無理だと考えていました。
その理由は、以下のとおりです。
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①小学生と違い、興味より「面倒くさい」という思いが強い
②小学生より忙しい(部活、勉強、塾など)
③親も「中学生なら弁当くらい作れる」という意識になり、あまり褒めない
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しかし、とある講演会でその考えは変わります。
ある男子生徒のたった二行の感想文を読み、
「中学生にも、台所に立つすばらしさを教えなくては」
と、思うようになったのです。
はたして、竹下先生の考えを変えた男子生徒の感想とは?
中学校での「弁当の日」は、成功するのか?
続きは次回です。
ご期待ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
引用した部分は、note上で読みやすくなるよう改行などを加えました。
また、太字にしたのも私です。
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