『が』と『は』の違いを理解して表現力をアップしませんか?
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさん『が』住んでいました。
おじいさん『は』山へ柴刈り(しばかり)に、おばあさん『は』川へ洗濯に行きました。
『桃太郎』の冒頭部分です。
なぜ、一行目は『が』なのでしょうか??
ためしに、『が』と『は』を入れ替えてみましょう。
間違ってはいなさそうですが、どこか不自然な感じがしませんか?
つまり、『が』と『は』には明確な違いがあるはずです。
この記事は、【『が』と『は』の違いを理解していただき、noteクリエイターのみなさまの表現力アップに貢献したい】という思いで書きました。
1.本当に『が』と『は』は違うのか!?
ただ、そもそも『が』と『は』って、本当に違うのでしょうか。
この疑問を解決するために、例文をいくつか挙げます。
(文の頭にある『⭕』や『❌』は、【文として成り立つかどうか】を表しています)
やはり『が』と『は』には、違いがあるようです。
『が』と『は』を入れ替えると、文として成り立たなかったり、意味が変わったりするからです。
2.違い①
文だけで考えても、『が』と『は』の違いがわかりそうにないです。
したがって文章(=複数の文)で考えてみましょう。
以下の3つの文章を『が』と『は』が出てくる順番(どちらが先に使われているか)を意識しながら読んでみてください。
すべての文章において『が』が先に使われています。
ここに『が』と『は』の違いを考える大事ながあります。
実は、『が』と『は』には、主語(※)に関わって以下の違いがあります。
では、さきほどの例文で確認しましょう。
『が』と『は』の使い分けは、やはり情報の【未知】【既知】の違いが関わっていると言えそうです。
念のため、さらに例文を挙げて確認しましょう。
親子で買い物に行っている場面を想像してください。
では、次の例文はいかがでしょうか。
『が』と『は』、どちらでも成り立つ場合です。
これも一文ではなく文章で考えてみると、スッキリします。
実は、この2つの文は事前の「問い」が違います。
3.違い①への反論
しかし、もしかしたら読書好きなnoteクリエイターの方は次のように思うかもしれません。
実に鋭い指摘です。
たしかに『走れメロス』は、
という一文から始まります。
さきほどの、
◆『が』は主語が未知の場合(新情報・初登場)に使われる。
◆『は』は主語が既知の場合(既出)に使われる。
という違いに基づくと、本来、
と書くのが正しいですね。
しかし、この始まり方、どうでしょうか。
【優れた書き出しなのか】という観点でみたとき、いかがです?
非常にリズムが悪いと思います。
神尾アキラさんなら間違いなく怒るレベルです。(リズムにのれないので)
太宰治は、あえて既知情報に使われる『は』を一文目に持ってくることで、読者を物語の世界に引き込んだのです。
映画の冒頭いきなり事件が起こるのと同じ手法ですね。
太宰治・・・・・・。
さすが”味の素”のみを信じる男です。※
4.違い②【取り立て】と【対比】
『が』と『は』の違いは、まだまだあります、
どちらも成り立つ文です。
しかし、意味が違います。
つまり、次のようにまとめられます。
この『が』と『は』を組み合わせると、効果的な表現ができます。
たいへん唐突ですが、目の前にテレビがあり、【おぎやはぎ】さんが映っているとします。
さらに、あなたの隣には、
【どっちが”やはぎ”で、どっちが”おぎ”か、わかっていない人】
がいるとします。(どんな状況やねん、と突っ込んではいけません。真面目な話をしています)
その人が、あなたに、
と聞いてきます。
それも、【おぎやはぎ】さんがテレビに映るたび、毎度毎度聞いてきます。
すかさず、言ってやりましょう。
【取り立て】と【対比】により、「こっちが”やはぎ”」という言葉を強調できるのです。
そのうえ、「何回も同じこと聞いてくるんじゃねーよ」という怒りも込めることができます。
一方、
では、どちらも【並列】なので強調できません。
実生活では、
などと似ているものの案内・説明をわかりやすくするために使えます。
6.まとめ
『が』と『は』の違い下の表にまとめました。
『が』と『は』の違いは、他にもあります。(実は書いたのですが、4000文字を超えたので泣く泣くカットしました。ご要望あれば、コメントください)
たった一文字の言葉ですが、それだけで文の意味が変わってしまう。
まことに興味深いことです。
『が』と『は』の違いを理解し、使い分ければ表現力は確実に向上すると思います。
出版を目指しています! 夢の実現のために、いただいたお金は、良記事を書くための書籍の購入に充てます😆😆