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ひざまくら←頭を乗せているのは「もも」だよね?
下の画像をご覧ください。
女性が男性にしている行為をなんと言いますか?
![](https://assets.st-note.com/img/1681281930414-1UHT9H6MTs.jpg?width=800)
「ひざまくら」です。
異論ありませんね?
下の画像をご覧ください。
女性が手を当てている部位は、なんという名称でしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1681198776069-VFVxjUMYKU.jpg?width=800)
「もも」または「太もも」です。
小学生にもわかりますね?
さぁ、あなたは、強烈な問題に気が付いてしまいました。
「さっきのは、『ひざまくら』ではなく『ももまくら』じゃないか――」
他の例です。
ネコちゃんが、座っているあなたの足に乗ってきたとしますよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1681282029700-Se3JCWeuA7.jpg?width=800)
こんなとき、
「ネコがひざの上に乗ってきた」
と言いませんか?
決して、
「ネコがももの上に乗ってきた」
とは言いません。
そこで、あなたに問いかけたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1681456563356-FkXdsgyFle.png?width=800)
この『オモシロ・オカシイ日本語』について、一緒に考えていきましょう!
この記事について👇👇
![](https://assets.st-note.com/img/1681694974673-KijZuwtL05.png?width=800)
❶「ひざ」は、どこなのか?
「ひざ」は、どこを表す言葉なのでしょうか。
例文をいくつか挙げて考えます。
◆歩きすぎてひざが痛い
◆プールの深さは、ひざくらいまである
◆ひざを曲げる運動
どれも、イメージするのは下記の画像の部位ではないでしょうか。
(関節が曲がるところ)
![](https://assets.st-note.com/img/1681285079084-V30hPuBAmb.jpg?width=800)
念のため、日本最大の辞書『日本国語大辞典』(第二版)で「ひざ」の意味を調べてみましょう。
ひざ【膝】
ももとすねを連結する身体部位の一つ。
やはり、「ひざ」とは、
![](https://assets.st-note.com/img/1681287048395-ytzc9yYxfF.jpg?width=800)
ココのことでしょう。
(以下、『ココ』を「関節が曲がるところ」とします)
![](https://assets.st-note.com/img/1681362262567-mYBH7EJyiZ.jpg?width=800)
❷「ひざ」が他の言葉と合体すると――
「ひざまくら」は「ひざ」と「まくら」が組み合わさってできた言葉です。
もしかして、「ひざ」が他の言葉と組み合わさると、意味が変わるのでしょうか。
例を挙げます。
◆ひざ小僧
◆ひざ蹴り
◆ひざ当て
フローリング床を雑巾がけ。
— 神戸人けんちゃん (@gMENuRmbjcG3bND) December 25, 2021
作業用のひざ当てもって帰ってきて正解!
毎年思う…
五月の連休くらいに1度やっとけば年末楽やのに…
今年も思う… 来年こそは!
と毎年思う…
しろよ! pic.twitter.com/TA4fPmUyvD
どれも、「関節が曲がるところ」をイメージされましたね?
柔道に「膝車」という技があります。
この技は「自分の足の裏」を相手に当てて投げる技です。
足裏を当てる位置は、ひざ(関節が曲がるところ)です。
![](https://assets.st-note.com/img/1681362629274-v4z8TuuEWV.jpg?width=800)
イラストでは、やや上に当てているように見えます。
が、実際は関節が曲がるところに当てます。
つまり、「ひざ」は他の言葉と組み合わさっても、意味が変わるわけではないのです。
答えはカンタンに出そうにありませんねぇ。
しかし、わからないからこそオモシロイのが日本語です。
![](https://assets.st-note.com/img/1681363808811-SSVBYeelix.jpg?width=800)
❸他の部位は、どうか?
視点を広げて、「ひざ」以外の部位について考えてみましょう。
「腕時計」という物がありますね。
![](https://assets.st-note.com/img/1681364059457-tRLCSm3rqc.jpg?width=800)
さーて、どこに身につけるものですか?
・・・・・・そう、手首です。
どう考えても「手首時計」の方がふさわしいでしょう。
実際に、疑問に思った人もいます⬇️
ちょっと思ったんだけど【腕時計】って何食わぬ顔でみんなつけてるけどさ、装備してる箇所って、あれ腕じゃなくて手首じゃない?www
— Johnny (@Johnnys_wave) March 8, 2023
なんで【手首時計】じゃなく【腕時計】って言うのか知ってる人いたらググらずに教えてほしい(というかボケてほしい
いや教えてほしいよりもボケてほしい。朝から。 pic.twitter.com/8csnKhZRNb
次は、飲み会のシーンを思い浮かべてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1681458466658-qDewKpCbsz.jpg?width=800)
同僚が、
「仕事が残っているから、歓迎会には顔を出したらすぐ帰るよ」
と言ったとしますよ。
この人が、飲み会の会場に顔だけ出していたら実に恐ろしいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1681458462113-tr9d5BkpnQ.png)
(※ホラー映画ではありません)
「顔を出す」とは「顔だけ出す」のではなく、全身を出す(会合などに出席する)ことを意味します。
『平家物語』の「木曾の最期」という場面にも注目してみましょう。
【※】
なぜか、多くの高等学校の国語教科書に掲載されている。
英雄のあっけない最期に、97%の生徒は『ぽかん』と口を開ける。
とある武士が、木曾義仲を討ち取り、高らかに勝ち名乗りを上げるところです。
「つひに木曾殿の首をば取つてんげり」
ここでの「首」は、
![](https://assets.st-note.com/img/1681458924945-gVFEyDSWt5.png)
ではなく、
![](https://assets.st-note.com/img/1681459324683-k6nXe40hmY.png)
ですね。
「首」が「首から上(首と頭)」を意味しているわけです。
今までのことを表にまとめてみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1681459571485-cQofWZlbSk.png?width=800)
さぁ――ここから見えてくるものは何でしょうか。
日本語における「身体部位を表す言葉の範囲」はおおざっぱ、ということが見えてきます。
「顔」
→「顔」だけを意味するときもあり、「全身」を意味するときもある。
「首」
→「首」だけを意味するときもあり、「首から上」を意味するときもある。
「腕」
→「肩から肘」を意味するときもあり、「肘から手首」を意味するときもあり、「肩から手首」を意味するときもあり、「手首だけ」を意味するときもある。
意味が「おおざっぱ」というか「曖昧」というか・・・・・・良くも悪くも日本人(日本語)らしいなぁと思います。
日本人でたった二人だけのノーベル文学賞受賞者「大江健三郎」氏が、「曖昧な日本の私」と題するスピーチをするのも納得できるほど、「曖昧」です。
1994年10月13日、大江健三郎のノーベル文学賞受賞が決定しました。
— RekiShock(レキショック)@日本史情報発信中 (@Reki_Shock_) October 12, 2021
受賞記念講演では「あいまいな日本の私」と題するスピーチを行います。
「あいまい」という言葉には、日本の美しい伝統だけではなく、過去の負の側面とも向き合っていくべきだという、両義的な意味が含まれていると言われています。 pic.twitter.com/nfegPro6kI
英語と比較すると、「意味のおおざっぱさ」が顕著です。
![](https://assets.st-note.com/img/1681367062945-iHAX82yZs4.png?width=800)
明確には、場面によって定義が違うことがあります😅
![](https://assets.st-note.com/img/1681459908356-lUJvviKOXw.jpg?width=800)
❹結論!そして・・・・・・
日本語における「身体部位を表す言葉の範囲」はおおざっぱである。
この真理にたどり着けば、「ひざまくら問題」は解決できます。
「ひざ」は「関節の曲がるところ」も意味するときもあれば「もも」も意味するときもあるのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1681368851165-0RoqOQwvmr.png?width=800)
というわけで、答え。
![](https://assets.st-note.com/img/1681460133779-igoCVJj4Mq.png?width=800)
ふー、スッキリ。
しかし、「知れば知るほど謎が増える」のが日本語です。
![](https://assets.st-note.com/img/1681711812951-H9F67G0M6q.jpg?width=800)
❺新たなる疑問
実は、「ひざ」が「もも」を表すときには、条件があります。
以下の4つの文は、すべて「ひざ」が「もも」を表しています。
共通することは何でしょうか?
◆ひざまくら
◆ナフキンをひざに乗せる
◆パソコンをひざに乗せて仕事する
ヒント
その人の姿勢はどうなっていますか?
では、答え。
共通することは、座っているということです。
◆ひざまくら←座っている
◆ナフキンをひざに乗せる←座っている
◆パソコンをひざに乗せて仕事する←座っている
![](https://assets.st-note.com/img/1681712777667-XVzmSoZheA.jpg)
「座っている状態」に限って、「ひざ」が「もも」を意味します。
(座っているからといって、必ず「もも」を意味するわけではありません)
なぜ座っているときに限って、「ひざ」が「もも」を意味することもあるのか?
それは、わかりません。
まぁ、このミステリーがあるからこそ日本語はオモシロイのですが・・・・・・。
もし解明できたら、またnoteでお伝えしますね。
(5年以内に解明したいなー笑)
![](https://assets.st-note.com/img/1681973560564-P9tXvTuk7k.jpg)
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