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迎え仮名もあります
「迎え仮名」は怒っていた。
怒りの対象は「送り仮名」である。
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学校や社会生活では「送り仮名」ばかりが扱われる。
そもそも「迎え仮名」という存在を知らない人の方が圧倒的に多いだろう。
この記事は、「迎え仮名」の気持ちを汲み取り、みなさんに、
「『迎え仮名』って便利なんですよ」
と伝えたくて書いたものである。
この記事について⬇️⬇️
![](https://assets.st-note.com/img/1686531466802-gPmwgzrA6G.png?width=800)
❶「送り仮名」を再確認!
「迎え仮名」について語る前に、まず「送り仮名」を確認したい。
「送り仮名」とは、以下のものだとご存じだろう。
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「送り仮名」を簡潔に説明するなら、
単語を漢字で書く場合に、漢字に添える平仮名のこと
といえよう。
「送り仮名」は学校教育でも漢字検定でも頻出で、誰でも勉強したことがあると思われる。
↓漢字検定で「送り仮名」を勉強していらっしゃる方
こんばんは☺
— cacao99% (@PqdecOPPBkuSf69) June 5, 2023
漢字検定の勉強終わりました✏
今日は送り仮名と誤字訂正の問題を
メインに解きました!
失敗してもなんのその😉
また明日復習します😊
今日も一日お疲れさまでした🌛 pic.twitter.com/hAtND6nX0V
というわけで、いったんまとめ。
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![](https://assets.st-note.com/img/1694674111175-wzNd7d16gx.jpg?width=800)
❷迎え仮名とは?
「『迎え仮名』って何?」
という声が聞こえてきたので説明したい。
「三重」という言葉を例に挙げよう。
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「三重」のままでは、「三重」と読むか「三重」と読むかわからない。
そこで、「三重」の上に、「サ」とつける。
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これで、「三重」と読むことがわかる。
この「サ」を「迎え仮名」という。
![](https://assets.st-note.com/img/1686031429388-A29bzXQ9bP.png?width=800)
他の例も挙げよう。
![](https://assets.st-note.com/img/1686032551174-q1VBCpl93w.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1686032556825-cZ6cDMwWqx.png?width=800)
「迎え仮名」とは、
漢字の上(横)に添えられ、漢字の読みを確定させるもの
なのだ。
【補足】
「振り仮名みたいなもの?」と思った人。
その解釈で合っています。
振り仮名と迎え仮名は、”役割の面で”似ています。
「迎え仮名」と「送り仮名」のイメージとしては、
![](https://assets.st-note.com/img/1686031936653-pk5A7JgSZB.png?width=800)
このような感じだろうか。
「ふーん。でも三重と三重なんて、文脈で判断できるんじゃない?」
と思う人もいるかもしれない。
たしかに、下記の文2つを見ても、文脈で判断できそうである。
◆器が割れないよう、緩衝材で三重に包む
◆三重にある伊勢神宮に行った
では、次の文はどうだろうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1686032898810-VXJJdjXNPO.png?width=800)
この文は、二通りの解釈ができる。
◆「人気のない遊園地」
◆「人気のない遊園地」
しかし、「迎え仮名」を使えば・・・・・・、
![](https://assets.st-note.com/img/1686034097361-z50ci5k9q7.png?width=800)
「人気のない遊園地」とスムーズに読めるのだ!
「でもさぁ、やっぱり文脈で判断できるでしょ?」
という人がいることは承知している。
そんな人にとどめをさしたい。
次の表現を見て、誰のことか2秒で判断できるだろうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1686034293791-W35we35Bcg.png?width=800)
この表現では、
◆菅元総理大臣(菅直人さん)
◆菅元総理大臣(菅義偉さん)
のどちらのことかわからない。
しかし、
![](https://assets.st-note.com/img/1686034519802-EydX7JkW7g.png?width=800)
と「迎え仮名」を使えば一瞬で菅元総理大臣のことだとわかる。
二通りに解釈できる読み方も、「迎え仮名」が使ってあれば読み手もすぐ判断できる。
エッセイストの岸本洋子さんは、『日本語文章がわかる。』(アエラムック)で、文を読んでもらうことについて次のように述べている。
読み手は、書き手とはまったく違う状況、思考回路で、書かれた文章の前にいるのです。その読み手に、自分の書いたものを読んで理解してくれと突きつけることは、相手に努力を要求することです。
朝日新聞社
2002年11月1日
わかりにくい表現、二通りに解釈ができる表現では、相手に『高度な努力』を要求することになってしまう。
しかし、「迎え仮名」を使えば、読み手の負担(漢字を読み分ける負担)を減らすことができるのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1686286962304-VLd1uG2Riw.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1694674366829-lfor3Itb9l.jpg?width=800)
❸迎え仮名の嫉妬
「送り」と「迎え」は、セットで使われることが多い言葉である。
◆送迎バスを使う
◆子どもの送り迎え
◆会社の歓送迎会
しかし、「仮名」という言葉とセットになった場合は「送り仮名」ばかり使われる。
それに対し「迎え仮名」は腹を立てている。
業を煮やしているのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1686122995964-swZQHnvAHS.png?width=800)
「迎え仮名」は、戦う決意をした。
そこで「迎え仮名」が思い出したのは『孫子の兵法』で有名な孫子の言葉である。
「迎え仮名」は漢文が好きだったからだ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
(敵の実力や現状を知り、自分のことをわきまえて戦えば、何度戦っても勝てる)
「送り仮名」を倒すには、まずは相手のことを知る必要がある。
「迎え仮名」は早速、辞書で「送り仮名」の意味を調べてみた。
すると、衝撃の事実が明らかになる。
(以下、引用部分の傍点は私がつけました)
【送り仮名】
漢字の読み方をはっきりさせるために、その字の下につけるかな。
「送り仮名」の項
【送り仮名】
漢字の読み方、特に語末を明らかにするために漢字のあとにつけるかな
「送り仮名」の項
【送り仮名】
漢字と仮名を交えて日本語を書く場合に,その漢字の読み方を明らかにするために添えるもの(後略)
日本語学会/編(東京堂出版)2018.10
「送り仮名」の項
そう、「送り仮名」とは、漢字の読みを確定させるものなのだ。
たとえば、
![](https://assets.st-note.com/img/1686035310477-uQCAUlC6dO.png?width=800)
この「細」という漢字。
「ほそ」とも「こま」とも読める。
「細」だけでは読み方はわからないが、
![](https://assets.st-note.com/img/1686035477423-WLv9dgLkuW.png?width=800)
このように「送り仮名」がついていれば、一目瞭然。
◆細い
◆細かい
と読み方を確定することができる。
他にも、
『哀』
◆哀しい
◆哀れ
『行』
◆行った
◆行なった
※『行った』と送り仮名をつけることもできます。
といった例がある。
漢文が好きである「迎え仮名」は、高校の授業を思い出した。
![](https://assets.st-note.com/img/1686135968144-2wGscnNiuO.jpg)
Aの漢文にもBの漢文にも「過」という字が使われている。
このままでは、なんと書いてあるかわからない。
が、ここに「送り仮名」をつけると・・・・・・!
![](https://assets.st-note.com/img/1686201600601-mstoc0lQ0x.jpg)
それぞれの「過」の読み方は、
◆過ちて
◆過ぎたるは
とわかる。
このことからも、
「送り仮名」は漢字の読み方を確定させるもの
ということが改めて確認できるのだ。
このことを知った「迎え仮名」は思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1686202099507-Nv6KpxTs0S.png?width=800)
と・・・・・・!
このように「迎え仮名」は”話せば理解してくれる”ヤツでもある。
そのうえ、「文章を読みやすくしてくれる」、”頼れる”ヤツでもある。
こんな「迎え仮名」、日常で使ってみてはいかがでしょうか?
【2023年6月15日:追記!】
コメントで、
「迎え仮名」は知らない人がほとんどなので、使う前に知名度を上げた方がいいのでは?☺️
というご意見をいただきました。
まったくもってそのとおりだと思います笑😅
まずは学校などで「迎え仮名」について学ぶ機会を作ることが必要ですね!!
![](https://assets.st-note.com/img/1686118306459-2a3bu2iv0T.jpg)
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