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#言葉

詩 浮かぶ教室

詩 浮かぶ教室

窓ガラスの向こう
机ならべて椅子に座って
浮かぶわたしたち
鏡みたいな
ふたつの教室

ぼーっとしていると
皆がどこかに
引いている蛍光ペン
慌てて隣を盗み見て
本当の教室に
世界は戻る

先生の言葉ひとつから
想像の蜘蛛の巣は
どこまでも広がった

どこにも行けなくても
教室で旅をし続けた

豊かな時間は
小さな机に
いつもこうして
はりついている

詩 言えなかったら

詩 言えなかったら

あの日先生に
言えなかった言葉
あの日友達に
言えなかった言葉
あの日教室で
言えなかった言葉

今日をもって
笑顔に変わる

あの日の言葉
わ になって話すと色がつき
いつのまにか
覚えのない約束を果たす
大人たち

話したいような気がして
話したくないような気がして
つっかえてしまった記憶は
つっかえたまま大切に

言葉を少しずつ
貼り合わせて
不格好ながら
温かい今を
ふんわりとただ
噛みし

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詩 生まれる

詩 生まれる

誰かの孤独から
言葉は生まれる

誰かの喜びから
言葉は生まれる

誰かの言葉から
わたしの心は生まれる

わたしの心の誕生から
言葉は生まれる

生まれた言葉は
何十年
散歩して

わたしが消えた後も
きっとどこかに
かけらが
残っているだろう

わたしの言葉も
誰かから拾ったかけら
繋ぎ合わせて生まれてる

繰り返して
練り直して
使えるものが
まだまだ
たくさんあるはずだ

詩 かくかぞく

詩 かくかぞく

あなたのことが
大好きで
でもそればかりじゃ
いられない

あなたのことで
悩んだり
逃げ出したくなったり
それでも帰る場所は
たったひとつ

全てをひっくるめて
あなたなのだとしたら
わたしは
あなたが
とても大切

わたしの胸の中
いつでもどっしり
構えてる
その気持ち

あなたはたぶん
もう家族みたい
わたしにとって

言葉にすれば
こうなるの

あなたの名前は
書くということ

詩 自然治癒

詩 自然治癒

海を見に行こう
山を見に行こう
星を見に行こう

沈む日々に
手を引く言葉
大きなちっぽけ
見に行こう

大丈夫
わたしたちは
大きな星の
光の中

遠くの星の
誰かもきっと
わたしたちの星
眺めては
ぼんやりしてる
ことだろう

海の青さ
山の青さ
星の瞬き
知っている

知っていても
見に行くことは
忘れていたな
いつのまにか

いつか誰かの
手を引く言葉
わたしもこうして
蓄えていく

そん

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詩 縮図

詩 縮図

世界の縮図は
街角にある

怒りに満ちた人
その怒りに共鳴する人
疑問を呈す人
笑い話にする人

すべてが見渡せるこの場所で
人生について
考えてしまう

四方八方
敵ばかりじゃない
でも味方ばかりでもない

考えなくては
考えなくては

どうありたいか
どうある私が好きなのか
どうある私が嫌いなのか
どうある私が心地よいのか

私と私がたたかったとき
何が勝ち残るのか

あたまの中
繰り広げられ

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詩 言葉はずるい

詩 言葉はずるい

言葉だけが
気付かせてくれる
心がある

大切なあまり
たくさんあった
扉のむこうに
続く景色

一気に開くと
あまりの眩しさに
落ちる涙

ほんとうに
満たされたければ
人生をかきわけかきわけ
言葉に出会わなければ

力になってくれる
未来はきっとある

信じる心を
小さくあたためながら
今日をてくてく
歩きます

詩 わたしまだまだことばをしらない

詩 わたしまだまだことばをしらない

わたしはまだまだ
ことばをしらない
ことばのせんたくしを
しらない

だからきょうも
とびらをたたく

わたしのしらない
どあのむこう
だれかのことばが
ひらかれている
そんなせかいに
みをおいてみる

ことばをえらぶこと
あきらめたくない
だれかにひどいこと
いわれても

ぶりょくをそっと
ほうきするほどの
しなやかなことばを
つむぎたい
そうして
あなたとこころを
つむぎたい