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トウキョウ百景

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東京生まれ東京育ちの30代。 太と環は、それぞれの東京で生まれ育ち、二十歳の時に東京で出会いました。 2人が見てきた東京の景色、東京での物語を、紹介していきます。 ぼくらが育…
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2023年12月の記事一覧

新宿三丁目のカラオケに一人でこもる日々

新宿三丁目のカラオケに一人でこもる日々

ああ、今日はもうカラオケに行かないと無理だという日がある。仕事で疲れていたり、ストレスを溜めていたりするときがほとんどなのだが、じゃあ具体的に何が嫌で、何が辛いのかみたいなことを聞かれてもわからないケースが多い。とにかく、カラオケに行って歌わないとダメだと察知するのだ。

2021年〜2023年春ごろにかけて、新宿三丁目に事務所を置く会社に勤めていた。新宿二・三丁目の飲み屋の間にあるようなところで

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敷居が高かった学芸大学が一気に身近になった喫茶店

敷居が高かった学芸大学が一気に身近になった喫茶店

都内の東横線沿線の駅は、遊びに行くことはあっても、住むには敷居が高い。
東京で生まれ育ちながらも、いや生まれ育ったからこそ、そんな風に感じ続けている。

代官山、中目黒、祐天寺、学芸大学、都立大学、自由が丘、田園調布。

自分の経済力的にそれらの街に住むのはハードルが高いというのが前提にありつつ、それを差し引いて考えても、自分ごときが住むのは烏滸がましいという気分になってしまうのだ。

僕が生まれ

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上北台に置いてきた思い出

上北台に置いてきた思い出

「ねえ、上北台って覚えてる?」
「覚えてる!覚えてる!よく練習試合行ったよな〜」
「だよね〜!めっちゃ遠かったよな」

JR新宿駅の東南口を出てすぐの居酒屋で、高校時代の男子バレーボール部の同期や後輩たちと集まっていた。

この日は、キャプテンだった隼人が来年関西に転勤してしまうため、送別会を兼ねた飲み会を開いたのだった。当然、懐かしい話はするわけで、その中で上北台駅が最寄りの高校に行ったという話

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事件は国分寺のマンションの一室で起きた

事件は国分寺のマンションの一室で起きた

大学4年生の頃、就活を終えたと同時くらいのタイミングに、仲が良くて色々と面倒を見てもらっていた一個上の先輩から「久しぶりに会おうぜ」という連絡をもらった。
ぜひ進路の報告をしたいですと返信すると、待ち合わせ場所は国分寺駅近のタリーズを指定された。先輩は、最近国分寺でよく遊んでいるらしい。

タリーズの中に入ると、すでに先輩は到着していた。
学生時代と変わらず元気そうな先輩と向かい合わせで座って、お

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