明治大學理工学部建築学科奥山浩平警視庁公安部外事第一課靖國神社未詳cordname三菱商事株式会社、令和時代三菱健軍神社、令和時代超三菱時代

温暖化ガス削減の中期目標設定における協議について
明治大學理工学部建築学科4年11組11番 奥山浩平警視庁公安部外事第一課靖國神社未詳

1、 はじめに
 1997年に採択された京都議定書で先進国の温暖化ガス排出の削減目標がたてられた。これにより、日本は2008年~2012年に1990年比6%削減の義務を負った。現在は、2013年以降のポスト京都議定書についての国際交渉が進んでいて、今年末の国連会議で決着する見通しである。そんな中、今月10日、麻生首相は日本の削減目標を表明した。日本は2050年までに排出量を60~80%削減すると国際公約をしている。低炭素革命も掲げ、環境立国も唱えている。それに伴う今回の目標設定では、温暖化対策による熱意や責任感のある中期目標が必要であった。果たして日本が表明した目標は、先進国として野心的な目標であるのか。また、この目標設定に対して、日本は今後どのような対策が必要か述べる。
2、 記事内容の概要
 麻生首相は6月10日、2020年時点の温暖化ガスの中期目標を海外から購入する排出枠や森林による吸収分は含めないなどを除いて、2005年比15%削減すると表明した。1988年比に換算すると8%減になる。首相はEUや米国を上回るこの目標値によって、今後の国際交渉の主導権を握る考えだが、交渉では逆に目標値の上積みを求められる可能性もある。7月開催のイタリアのラクイラ・サミットや12月コペンハーゲンで開催の国際気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)を経て、正式な数字が決定する。
3、 主要な論点と意見
今回の目標設定における論点として、日本の国際的な主導権の取得、国民負担、排出権の導入といった問題があげられる。
まずは、麻生首相が国際交渉の主導権を得ることを考慮した中期目標の基準年を1990年比ではなく、2005年比に設定した点について述べる。日本は90年比から2005年にかけて温暖化ガスの排出量が増えたので、仮に1990年比で今回の目標を換算すると8%減にとどまり、EUの同20%に比べ見劣りする。2005年比にすれば、EUの削13%減、米国の14%減に比べ先進国で一歩抜け出した印象を与えられるためだ。2005年比を採用した米国に便乗したかたちとなった。このような基準年の設定で国際的な交渉権を握れるか疑問に思うところがある。温暖化防止は将来の子孫に残すべき地球のありようを問うているので、先進国との比較よりもまずは世界全体を見通した判断が必要である。
次に中期目標設定にあたって、業界の意見について整理していく。経済界は、経団連御手洗会長は2005年比4%減を主張し、経済同友会は7%減案を支持していた。また、世論調査では7%減案が有力視された。一方で、温暖化防止に積極的な企業には15%減を支持するところもあった。高い目標でイノベーションを誘発するべきだと主張する企業もあり、産業界も4%増案支持ばかりではなかった。与党でも公明党は斉藤環境相の主張する15~25%減の考え方を支持し、温暖化対策に熱心な石原東京都知事ら関東知事会も15%以上の削減を政府に求めた。また、環境推進派は30%削減を主張した。現在、民主党は2005年比換算で30%削減を掲げた温暖化対策基本法案を参院に提出済みである。今回の2005年比15%減案は昨年夏、福田首相が削減可能と示した試算値14%にわずかに上乗せしただけで、国際社会は日本の目標を野心的だとは評価されないだろう。私の意見としては、財界にふりまわされている印象をうける。ここは省エネ技術に飛んだ日本は、先進国のモデルとして欧米を牽引できる数値目標を設定すべきだと思う。高い目標設定に対して、企業が環境問題に対して意識し、イノベーションを迫られるであろう。不景気の打開策としてこの環境ビジネスによるイノベーションを起爆剤として、活発にさせるためにも高い目標設定が必要だ。そのためにも、政府は国民に対して十分な理解をもたせ、できるだけ国民負担を軽くする政策が必要であると思う。排出権取引もイノベーションの一種だと思うので、肯定的に捉えたい。
目標達成に向けたコストについて、1世帯あたりの年間家計の負担増が、経済成長の鈍化による所得の減少分4万円と電気代など高熱費の増加分3万円合わせて約7万円になると試算を示している。目標設置による政策への影響としては、エコカーの普及で新車の50%をハイブリット車にするほか、太陽光発電の導入を現状の20倍にする必要がある。現在、エコーカー減税によるトヨタのプリウス販売数の上昇や今後温暖化対策で注目される太陽光発電の政府の補助金導入また昭和シェル石油のサウジアラビアでの共同事業が話題になっている。政府の政策に対して、企業による事業展開がすすんでいるので、今後期待ができそうである。
15%削減という日本の中期目標は国内削減の努力だけの真水の数値という数字であって、排出権取引や間伐など森林管理による温暖化対策は枠組み外である。欧州は90年比で20%、欧州は中期目標において、途上国からの排出削減量買い取りによる水増しを考慮した目標である。EUは90年比で20%削減、2005年比に換算すると13%減となる目標を設定している。また、各国に割り当てられた排出枠の余剰分を売買する排出権取引において、主導権を握っている。大幅削減をアピールしていることもあって、途上国からは支持されている。日本も排出権取引による削減も考慮した中期目標が必要だと思う。排出権について倫理的批判もあるが、排出権取引により、市場が活発になり、悪化した世界経済の回復、新興・途上国の支援も期待できる。
4、 問題解決の方法と課題
 私は、温暖化ガス削減にたいして、高い中期目標設定を求める。環境推進派の2005年比30%削減が妥当なのかもしれない。しかし、今後、CO2の削減だけではなく再生可能エネルギーなどその他の環境分野での政策をとる必要があると考える。日本の省エネ技術は世界でも認められているので、景気対策で、内需拡大に課題を抱える日本は今こそこの技術を生かして、さまざま環境問題へ取り組む必要がある。そうすれば、国際交渉の主導権も獲得でき、中国やインドも納得してポスト京都議定書へ参入するだろう。近年、環境政策を強化している東南アジアにおいて、最も環境政策に熱心なシンガポールでは、今年3月、2030年までにGDP1単位当たりのエネルギー消費量を35%、さらには1人当たり水消費量を10%削減する目標が設置された。具体的な政策としては、太陽光発電設備の設置や家電製品への省エネ基準に導入、水利用効率の改善などがあげられる。このようにして東南アジアでは環境ビジネスが拡大している。日本もグリーンニューディールの導入が必要だ。
 また、国内のCDMの普及も必要である。CDMとは、先進国が途上国に対して、温暖化ガス削減プロジェクトを実施し、国連が認めた温暖化ガス排出削減量をその排出数量の枠に加算できる仕組みである。今後、日本は産業構造の変革を行うためにもCDMといった排出権取引など経済的手法による削減誘導策を進めるべきだ。世界は温暖化防止を軸にして景気刺激を進め、排出削減に対してインセンティブを与える制度づくりに動いている。日本の環境技術を世界に普及させるなら国内外の低炭素革命を加速させる制度づくりに積極的に取り組むべきであろう。
参考資料 日本経済新聞
参考文献 排出権取引ビジネスの実践 
 東洋経済新報社
新聞記事 日本経済新聞
2009年6月11日 朝刊 抜粋

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